第86話 食べ残し
ハムの餌の補充前、取り込まれたおが屑を指で取り除く。
その次にヒマワリの種の状況を確かめる。最初の頃は気にしていなかった。ネットの中で書かれた内容を目にしてから注意するようになった。
ヒマワリの種は高カロリーなので過剰摂取は控えた方がいい、等の内容が記事として書かれていた。
そこで俺は自分の基準として一日に六粒までと決めている。わざわざ数えてきっちりと容器に入れていた。
ハムは毎日、残さずに食べていた。それが今日は違う。一粒だけ、残っていた。一度に食べないように深く潜らせていてもハムは必ず見つけ出し、平らげるのが常だった。
ふと具合が悪いのかと思い、餌の容器を取り上げた状態でケージの中を見た。
どこかに隠し持っていたのか。乾燥バナナをカリカリと齧っていた。この間、買ってきたグラノーラのミックスに含まれている物だった。
ヒマワリの種の『好敵手、現る』と言ったところか。偏食が過ぎると体調が心配になる。飼い主としてはバランスよく食べて貰いたいものだ。
朝食後、今日もネットで調べ物を始めた。そこそこ情報が集まった。息抜きを兼ねてハムスターにあげるバナナについても調べてみた。
餌として生で与えても良いと書いてあった。ただし高カロリーなので注意が必要とも。
お前もか。
ヒマワリの種と同種であった。共に高カロリー。
ハムが寒さで丸くなる姿には愛嬌があるが、あれは太っている効果も加わっているのではと思わなくもない。
どうしたものかと考えながら立ち上がり、段ボールハウスへ近付く。
ハムはケージの中のおが屑に埋もれて丸くなっていた。周りにはヒマワリの種の殻や乾燥バナナの欠片が見て取れた。
無精で太々しい、いつものハムの様子に自然と気が緩んだ。




