第84話 季節を感じる
目覚めた時、部屋は暗かった。何より寒い。もそもそと布団から這い出て壁のスイッチを押した。
明るくなった部屋に置かれた目覚まし時計は午前四時半を指していた。寒暖計は十八度。パジャマ代わりに着ていた半袖では少々、厳しい温度になってきた。
こうなってくるとハムが頭に過る。静かなのは安眠できていいが、同時に焦りも生じた。
近づいて見るとケージの中で丸まっていた。段ボールハウスの広さが返って仇になっているような気がする。
その次の俺の行動は早かった。専用のケースに使い捨てカイロを収め、回し車の下へ押し込んだ。例えハムが上に乗らなくても周囲に温かさは伝わるはず。
ハム自体は何も気にせず、おが屑に埋まった状態で丸くなっていた。
以前のように見守ることもしない。出来ることはしたので、さっさと布団の中へ舞い戻る。
一度、起きて毛布を追加した。二枚重ねのおかげですぐに意識は遠のいた。
六時半に再び目が覚めた。自然な目覚めで特に寒さは感じなかった。
部屋の中はほんのりと明るい。四つん這いで段ボールハウスへ行くと出不精のハムがケージの端っこでうずくまっていた。見える背中の速い鼓動はたくましく思える。
今の大人しい状態を活かし、餌の補充と給水器の入れ換えを手早く済ませた。
カーテンを開けると部屋が更に明るくなった。窓越しに眺めた空は青く、雲はほとんど見られない。
食卓には昨日に干した梅干しが網かごに入った状態で置いてある。個々を指で確認したが若干、湿っているものが含まれていた。
もう一度、干せば完璧に仕上がる。
にんまりとして昨晩の食器を洗い始めた。




