第82話 使い捨てカイロの効果
今日は朝の五時に目が覚めた。寝相の悪さで掛けていた毛布がずれたらしい。
喉が渇いていたので冷蔵庫から豆乳を取り出し、牛乳と混ぜて飲んだ。虫歯を気にして水で軽く口をゆすぎ、布団の中へ潜り込む。
とても静かな夜だった。新聞配達のバイクも走っていない。
ハムはどうしたのだろう。
思いながら瞼を閉じた。なかなか眠れない。寝付きが悪いわけではないが妙に気になる。今もケージの中で丸まった姿でいるのだろうか。
ガバッと起きた。俺の安眠を確保する為に部屋の明かりを点けて段ボールハウスを覗き込む。
予想通り、ハムはケージの中で丸まっていた。蓋を開けてじっと見つめる。小刻みに動く背中が寒さを訴えているように思えた。
昨日に買った使い捨てカイロの出番が早々とやってきた。専用のケースの中に仕込むと回し車の下に置いた。その状態で見守る。
ハムは見向きもしない。隅の方で丸まった状態でいた。ケースの温かさを感じないようなので上から指で触れてみた。
指先から温かさを十分に感じる。そこでヒマワリの種をケースの上に置いた。一粒では魅力に乏しいと判断して三粒にした。
その時の微かな音を聞き取ったようでハムは顔を上げた。寝ぼけたような感じで周囲を見回し、ちょこちょことケースの方へ移動した。
早々と置かれたヒマワリの種を食べ始める。ケースの温かさに気付いたと思い、俺は寝る体勢に入った。
心配事がなくなったおかげで秒単位の二度寝に成功した。次に目覚めた時は七時を回っていた。
布団の中で上体を起こし、軽く伸びをした。
ハムの様子でも見てみるか。
ホクホク顔でケージを見るとケースには乗っていなかった。屎尿用の容器と餌の容器の隙間に陣取り、おが屑に顔を突っ込むスタイルで丸くなっていた。
ケースを直接、利用していなくても置いているだけで温かくなる。そう思い込むことで俺は納得した。




