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第76話 なるようになった

 今日も朝からハムが気になる。足音を立てずに段ボールハウスに近づき、上から覗き込む。

 走り回る姿は見られず、ひっそりとケージの中にいた。屎尿(しにょう)用の容器の中で丸くなってうずくまる。鼻の近くにはヒマワリの種の殻が散らばっていた。

 おが屑を持ち込んで魔改造はしていない。リラックスできるスペースとして利用しているようなので、相変わらず、用途は違う。

 俺はしばらくハムを眺めた。ほとんど閉じられた目でゆらゆらと身体を左右に動かす。起きているようにも思えて指を近付けてみた。

 無反応で噛み付く様子は見られない。ぐっすりと眠っているようだった。

 給水器の水を換える機会と考えた。目をやると中身が減っていない。気泡ができないように入れ換えているので一目でわかる。

 ここ最近、天候不順が続いた。最高気温は二十℃の後半が大半だった。

 そのせいで喉が乾かないのだろうか。体調不良の可能性も頭を過るが餌はちゃんと食べている。容器に盛った状態でも一日を過ぎると半分くらいに減っていた。


 過保護が過ぎたか。


 そんなことを思っているとハムがむくりと起きた。こちらに艶やかな黒目を向けて数秒、唐突にケージを飛び出した。

 段ボールの壁の前に後脚で立ち、前脚で頻りに引っ掻いた。俺に対してのアピールだと思うが、意味がわからない。

 近くに置いていたミックスの袋からヒマワリの種を摘まみ、ハムの口元に持っていく。口と前脚を使って受け取るとケージの中へ走り込み、背中を向けて食べ始めた。

 それで満足したのか。屎尿用の容器の中へ入ると適当に砂を掻いて丸まった。


 よくわからない行動がハムなんだな。


 目にした俺は思い、納得して洗濯機の大物ボタンを押した。

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