第74話 新しいおやつ
ハムの餌がかなり減ってきた。ミックスの袋を開けて、まじまじと見る。底の方にあるので一週間分くらいか。
そこでスーパーにハムの餌を買いに行くことにした。小動物用の売り場としては小さいがハムスターに関しては種類が充実していた。
ただし、そこそこ遠い。覚悟して出かけたものの日差しは強く、数分で肌に汗が滲んできた。持ってきたハンドタオルを押し当てて懸命に足を動かす。
一時間が過ぎる頃、ようやく下りの先に店舗が見えてきた。駐車場の方へ回り込むと午前中にも関わらず、結構な数の車が停まっていた。
クーラーの効いた店内に入り、専用のカートを押して右端へ向かう。木材や農具を通り過ぎた先に小動物用の餌が置いてあった。
まずはハムスター用の定番のミックスをカゴに入れた。続いてヒマワリの種の袋に目がいく。小粒と表記されている通り、薄っぺらくて小ぶりであった。ミックスに入っている方が大きいので無視した。
これは買ったことがないな。
袋には乾燥フルーツが八種類と表記されていた。甘味と酸味が調和したおやつという注釈があった。あと限定商品なのか。二十グラムの増量の文字が目に留まる。
迷いながらも俺はカゴに入れた。ついでにメダカの餌にも手を伸ばす。
千五百円の出費は妥当に思えた。足早に帰る途中、誘惑に負けて自動販売機でビールを買った。最初の一杯が喉に染みて震えるほど美味かった。
家に帰ると早々に一つの袋を開けて覗いてみる。大きな乾燥バナナが目に付いた。摘まんでハムのところに行くとケージの中で寝そべっていた。蓋を開けてバナナを口元へ持っていく。
匂いを嗅ぐような格好からいきなり咥えた。そのまま奥へ駆け込み、丸めた背中でカリカリと食べ始めた。
悪くない食い付きに満足して風呂場へ向かった。




