第60話 給湯器が死にそう
寒い日が続くと給湯器の調子がおかしくなる。明け方近くにピーピーと鳴き出し、ボタンを押しても電源が入らない。最悪、勝手に湯を沸かそうとする。空焚きもあるので一階へ駆け下りて止める必要が出てくる。十年以上の使用で認知症になったようだ。
そこで買い換えることにした。専用のサイトがあるのでそこから申し込もうと試みる。が、ここで問題が発生した。給湯器の型番や設置場所を伝える必要があるらしく、画像の添付を求められた。
頭の片隅にデジタルカメラがぼんやりと浮かぶ。母親が野山の散策に使っていたものだ。置き場所はわからない。俺は空き巣となって方々を探したが見つからない。仕方がないので母親が残したスマートフォンを利用することにした。
まずは給湯器の写真を撮る。コントロールパネルや浴槽の状態を画像に収めた。取り溜めたものは俺が仕事で使っているノートパソコンに転送すればいい。その方法はネットで調べていたので五、六回の失敗を経て完了した。
早速、専用サイトに必要事項を書き込み、画像と共に送った。一時間も掛からず、メールで細々とした内容が届いた。料金はかなり安くて二十万以内に収まった。銀行振り込みで手数料は取られるが、それでも満足のいく価格だった。
そこでハムのことを思い出す。過去、一度だけ段ボールハウスを写して近況ノートに載せたことがある。あの画像はノートパソコンを持ち上げ、アプリのカメラで写したものなので解像度があまりよろしくない。
今ならばハム本体を綺麗に撮れるはず。昨晩に与えたカボチャの実も気になるのでスマートフォンを片手に上から覗き込む。種と違って齧った跡もない。ネットでは食べると書かれていたが、どうやら個体差があるようだ。
まずはハムが潜んでいる紙の山に息を吹き掛ける。二度目で動きがあり、顔を出した。鼻っ面に見せびらかすようにカボチャの種を近付ける。前脚で掴もうとするが取られないようにしてケージの方に誘導した。
ハムは思った通りに動き、ケージの中に収まった。そこで三枚の写真を撮った。写りは悪くないがまともな姿で撮れていなかった。少し考えたが、これもハムの姿と思い、近況ノートで公開することにした。
読者はどのように思うだろうか。そろそろ朝食の用意をしないと。




