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第53話 ハムの好意的な行動

 ハムスターが飼い主に見せる好意的な動作。そのような主旨の話をネットで見つけた。試してみたくなった。甲斐甲斐しく尽くしてきたので少しは期待してもいいだろう。

 まずはハムに掌(てのひら)を差し出す。自ら手を動かしてはいけないそうだ。自発的に来るのを待つ。で、五分くらい動かずにいるのだが寄って来ない。

 そこで餌(えさ)で釣ることにした。カボチャの種を掌に置いて同じように差し出す。ハムは用心しながらも近づき、カボチャの種を素早く咥(くわ)えた。そのまま逃走。紙を積み上げたところに頭から突っ込む。姿が見えない状態で齧る音だけが聞こえてきた。


 まあ、そういうことだな。


 掌にハムが乗らないので指を舐める仕草まで確認できない。そこでもう一度、試すことにした。輪切りにしたニンジンを掌にどんと置いた。咥えて運ぶには困難な大きさだった。

 ハムが姿を現した瞬間、実行に移す。すると指の上に乗ってニンジンを齧り出した。ほくそ笑んでいると指も噛まれた。またニンジンに食い付く。口直しにまたしても指を噛んだ。

 その行動を見ていると指を舐めるとはとても思えない。俺を舐めていることはよくわかるが。

 天気予報では今日の最低気温はマイナスになるらしい。専用のケースにカイロを入れてやらないという選択肢はない。渋々ながらカイロを仕込む。

 紙の山に差し込むとハムが掌に乗った。二秒ほどのサービスだが悪くない。


 夕飯時、いそいそと熱燗の用意を始めた。

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