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第46話 珍しい動作

 和室に入ると微かなオシッコ臭がする。ケージに入れた容器の砂を変える頃合いのようだ。

 窓際の段ボールハウスに近付くと覗き込む前にハムの姿が見えた。左隅に置かれたカマボコ板の上にいた。俯(うつぶ)せで完全に伸び切っていた。熟睡状態なのか。目は閉じている。

 起こすと悪いので砂の入れ替えは後にしよう。そう思って引き返そうとした時、ハムの珍しい動作に足を引き留められた。

 目を閉じた状態で身体を左右に揺する。躍動感に溢れる動作は十数秒くらい続いた。ぴたりと止まると健やかな眠りに戻る。

 柿の種の後遺症なのだろうか。不安が頭を過る。その場を離れることができず、ハムの動向に目を向けた。

 再び身体を左右に揺らし始めた。やはり目は閉じられていた。その姿をじっと見ていると、ある考えが頭に浮かんだ。


 夢の中で走り回っているのかも。


 ハムスターが夢をみる。そのような事実はあるのだろうか。ネットで調べればそれらしい内容がヒットするかもしれない。なんとなく味気なく感じ、その考えを捨てた。

 夢の中でハムが草原を疾走する。まだ見ぬ新天地を目指し、単身で果敢に挑戦する。その姿はなんと凛々しいことか。夢だけに夢のある話で終わってもいいだろう。

 その場を離れようとして別の考えが浮かんだ。


 夢の中で山のように積まれたカボチャの種を貪り食っているのかも。


 実にハムらしい。そもそも夢ではなくて腹の下が痒くて擦り付けている可能性も無くはない。

 どちらにしても珍しい動作を目にして気分が上向いた。それでよし、としよう。

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