第42話 秋を感じる
今日の朝は寒かった。部屋の温度が二十度に届かない。土中に埋まる幼虫のような状態で目が覚めた。
一階に下りると真っ先に和室へ向かう。
当然のことながらハムは姿を見せない。段ボールハウスの右奥、木屑の山にいるようだ。甘ったるい声で、ハムちゃ~ん、と呼び掛けると一部がもぞもぞと動く。
それだけで潜ったまま。かなりサービスが悪い。息を吹き掛けるとさすがに大きな反応を示した。顔だけを出して俺の方を眠そうな目で見つめる。数秒、視線を合わせると顔を引っ込めた。ハムスター専用のカイロを使う日は近い。
邪魔が入らない間にケージの蓋を開けて中を掃除した。零した砂や餌の残骸を取り除き、ほんの少し木屑を足した。これで少しは寒さを凌げるだろう。
給水器の水はほとんど減っていない。最高気温が二十七度の現在、毎日、水を入れ換える必要はないように思う。
餌の容器を取り出す。ヒマワリの殻が目立つ。取り除くと中身は半分に満たない。肥満が心配になる食欲を見せた。
ハムが好きなカボチャの種とヒマワリの種を足した。出汁用のイリコも少々。市販のミックスも加えた。
ケージに目をやると、いつの間にかハムがいた。中の壁を前脚で懸命に掻き毟る。
餌の容器がないことへの猛抗議に思えた。
「さっきまで寝てたくせに」
愚痴っぽく言って餌の容器をそっと置いた。ハムは頭から突っ込み、前脚で引っ掻く。ヒマワリの種やイリコが次々に弾き出された。探し求めていたカボチャの種を見つけると一心不乱に齧り付いた。
小さな女傑はわがままで、とても愛らしい。十分に和んだところで俺は遅めの朝食を摂った。




