第41話 ガリガリ
今日の朝ごはんは昨晩の残りでイワシの煮付けだった。骨まで食べられる。缶詰仕様だ。もう一品はゆで卵。目玉焼きや出汁巻きではない。小さな醤油皿にゴロンと置かれていた。
「朝はゆで卵でしょ」
確かにトーストには合う。茶碗でもりもり食べる今回で言うと不向き。
最後のお楽しみ、卵かけご飯ができないのが辛い。そうは思いながらゆで卵の殻を剥き、茶碗の中に入れた。真ん中を箸で割るとトロリとした黄身が零れた。醤油を掛ければギリギリの卵かけご飯となった。
ハブ茶で口の中をさっぱりさせて席を立つ。食器を重ねてシンクに入れた。洗面台に歯磨きに向かう途中でガリガリと音が聞こえた。
和室の窓際に置いた段ボールハウスに立ち寄る。左手前の角にハムがいた。俯せの状態で底を齧っていた。俺に気付くと瞬時に上を向いた。
穴の状態がよくわかる。見事に貫通して畳が見えていた。俺は急いでハサミを持ち出し、段ボールハウスから食み出た一部を切り取って穴を塞いだ。更にガムテープで補強した。
穴から外に零れた木屑や紙片を片付けて、ようやく一息入れた。油断も隙も無い。ハムは塞がれた穴に関心を向けず、対面の角を齧り始めた。そこは三枚のカマボコ板に守られた要塞なので安心して見ていられる。
朝から余計なことをするもんだ。ただ、エッセイのネタも提供してくれたので少しは感謝している。ほんの少しだが。




