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第37話 きれい好き

 ハムスターはきれい好き。ネットの検索でよく表示される。

 うちのハムは後ろ脚で耳の辺りを掻(か)き、前脚で顔を洗うような行動を取る。大体、三回くらいで満足する。飼い主の視点では、痒いから掻いている、と思っていた。

 今日の正午のハムはいつもと違う。前脚で耳の横を掻く。一度では満足できず、同じところを三度も掻いた。続けて横っ腹も掻く。


「いつまでやるんだ?」


 訊(き)いても行動は止まらない。ハムは後ろ脚をペロペロ舐(な)めると、また耳の横を掻き始めた。頭を傾げ、夢中になって掻いた。見ている俺の首も曲がる。

 終わると股間を舐め始めた。毛づくろいと思うことにした。思い出したように耳の横を後ろ脚で掻き、再び顔を洗うような動作を始めた。

 この一連の行動をいつまでも続ける。俺の目も気にならないようだった。

 きれい好きの範疇(はんちゅう)を超えた病的な潔癖症(けっぺきしょう)に思える。またはケージの中を掃除しろ、という皮肉を込めたアピールなのだろうか。確かにハムはケージ内をよく汚す。

 気ままに糞や砂を撒(ま)き散らす。餌の入った容器に頭を突っ込み、ヒマワリの種や麦を前脚で掻き出した。定期的な掃除は欠かせない。

 ケージをすっぽりと覆った段ボール箱はどうだろうか。敷き詰めた白樺(しらかば)の木屑は微かに香り、森を想像させる。清潔感は保たれていた。


 ハムの気紛れ。たぶん、これが答えなのだろう。

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