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第35話 ようやくロボットになれた

 両脚の甲と両膝の腫(は)れが少し落ち着いてきた。まだ若干、ロボットのような歩き方になっているが、移動に支障はないくらいに回復した。

 そこでハムのケージを大々的に掃除することにした。昼前、段ボール箱に囲まれたケージを覗くと腹這いの状態でいた。下のプラスチックの部分の冷たさを全身で堪能しているようだった。

 かなり邪魔なので扇子(せんす)による風でやんわりと起こす。起きた時に合わせて餌(えさ)の容器をゆっくりと取り出す。慌てて走ってきても間に合わない。後ろ脚で立ち、早速、催促の踊りを始めた。

 俺は容器の中からヒマワリの種を摘まみ、ケージの外へ誘導。端まで歩かせてそこでポトリと落とす。ハムは前脚で掴み、前歯を使って器用に殻(から)を剥いていく。

 その隙にケージを丸ごと取り出した。トイレ用の容器と給水器を取り払って上部にビニール袋を被せる。あとは一気に逆さまにすれば掃除は完了。

 ケージの中には何も敷かない。トイレ用の容器の砂を入れ替え、給水器を取り付けて元の位置に戻す。目敏(めざと)く見つけたハムは右奥の隅から抜け出し、ケージの開いたドアから中へ走り込んだ。

 環境の変化でうろうろするが、すぐに腹這いになった。丸っこい生き物がそこまで平たくなるのか、と驚くほど伸びた。目を見るとかなり細い。寝入り端(ばな)を起こしてはいけないと思い、そのまま遠ざかった。

 ようやく日常が戻りつつある。ハムに構える時間も増えるだろう。


 ということで『うちのハム』は、まだ続きそうだ。

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