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第32話 意外と走る

 我が家のハムは順調に育っている。段ボール箱で拡張された空間を元気に走り回っていた。

 最高の環境を提供できたと思っていたのだが、ふとしたことで不安が膨らむ。ある調べ物をノートパソコンでしていた時、たまたま目に留まった。


 ハムスターは一晩で五キロ以上走ることがあると。


 回し車の距離も入れるのだろうか。段ボール箱で拡張したとしても二メートルには届かない。この中を一晩で五キロも走ることができるのだろうか。もっと広々とした空間で遊ばせる必要があるのでは。

 取り敢えず、納屋の中を探してみた。子供の頃に使っていた昆虫採集のカゴが見つかった。ハムの移動用の容器に相応しい。

 移動は電車を考えている。手回り品切符を購入しないといけないケースがあるらしい。ハムスターのような小動物も例外ではない。最寄りの駅に問い合わせる必要がありそうだ。

 あとの注意点はなんだろう。ネットで検索してみると電車酔いが表示された。確定ではなくて、そのようなハムスターもいるという。具合の悪さで亡くなるパターンもあると。逃げ足の速いハムは天国までまっしぐら、の様子が目に浮かぶ。


 近所の公園で十分。


 結局はそのような判断で落ち着いた。いや、それも良くないか。

 最近、空を猛禽類が悠々と飛んでいる。日々、数が増えているように思える。子育ての時期なのかもしれない。

 ハムが脱走した時のことを思い出す。部屋の中で放し飼いが、一番、安全で幸せな時間を過ごせるのではないだろうか。鍋掴みがあれば好きな時にハムを段ボール箱へ戻せる。

 一応の答えを得た。それにしてもハムの遊び場を決めるのは意外と難しい。

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