第27話 誤食の危険性
白樺の木屑にハムが慣れたようだ。右端の奥の角にふかふかの寝床を作り、その上に横向きで半ば埋まっていた。横目にしながらケージの蓋を取り去って中の餌の容器を持ち上げる。中身はあるように見えてほとんどが殻。手早く取り除き、新たな餌を加えた。
戻そうとすると決まってハムがケージの中にいた。容器を下す僅かな時間が待てず、後ろ脚で立って強引に顔を突っ込んでくる。その後はこちらを見向きもしないでガツガツと食べる。見慣れた光景なので黙って眺めた。
腹が膨れたのか。ハムはケージを出て食後の運動とばかりに走り始めた。合間に休憩を挟む。そこで見慣れない行動を見せた。
目の前の木屑を噛み始めた。食べてはいないように見えるが、はっきりとはわからない。近くに置いていた商品の袋を見ると食用とは書かれていなかった。大量の誤食は消化不良を起こすと注意喚起はされていた。
改めてハムの口元を見つめる。噛んではいるが、食べているとは言い切れない。動きが細かい上に高速で俺は何度も瞬きをした。
こちらの心配を余所にハムは走り始めた。木屑を蹴散らし、カマボコ板で囲った角の聖域を夢中になって齧る。体調不良には見えないので誤食を過剰に怖がる必要はないのだろう。
喉が渇いたので浄水器の水を飲んだ。冷たくはないが少しは潤った。
二階に上がる前にもう一度、ハムの様子を窺う。前脚で掴んだ木屑を噛んでいた。
「食べるなよ」
意味のない言葉と知りながらも声に出す。ハムは聞く耳を持たず、高速で口元を動かした。




