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第24話 真脱走経路

 家の中をうろついていたハムを捕まえ、段ボール箱に入れた。餌に食らい付く姿を見て一安心。用意した素麺に箸を付けた。

 その十数分後、ハムはキッチンの床にいた。椅子で困惑する俺をオブジェに見立てて素通りしようとした。

 見逃すわけがない。瞬間的に立ち上がると真横の壁に吊るしていた鍋掴みを両手に嵌めて、挟み込むようにしてキャッチ。そのまま駆け足で棲(す)み処(か)へリリース。魚ではないがキャッチ&リリースを決めた。

 すぐには立ち去らず、ハムの脱走経路を見極めようと待機した。

 ハムは即座に行動に移す。ケージの中に駆け込み、砂を収めたケースの上に躊躇なく飛び乗った。そして斜め上に向かって跳んだ。意図がわからない。

 黙って見ていると二度目は前脚が上部に引っ掛かった。続く三度目は上がれそうな状態で藻搔いて落ちた。

 本来、ケージには蓋が付いている。餌や砂の入れ替えが便利なので普段は取り外していた。そこを狙われた。運よく縁の上に立てれば段ボール箱の壁を超えることは容易(たやす)い。十センチに満たない間隔なので。

 この方法こそ、真の脱走経路であった。ハムが跳ぶことを想定していなかったので想像も出来なかった。


「そういうことか」


 感心した俺はにこやかにケージに蓋を取り付けた。それでもハムは跳ぶのをやめない。五回ほど蓋に頭をぶつけて急速に勢いが落ちる。最後は隅の方に丸まって不貞寝(ふてね)した。

 俺はささやかな勝利を噛み締める、そんな日曜日の午後であった。

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