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第22話 脱走経路が判明

 段ボール箱の右端の奥が怪しいと思い、集中して引っ掻かれた壁の辺りにガムテープを貼り付けた。滑らかな表面が上ることを阻むと睨(にら)んだ。

 実はその部分、脱走経路ではなかった。足掻いた跡で早合点した。

 昼前、鈍い物音に気付いた俺は段ボール箱を覗き込む。ハムは右端の角、聖地で後ろ脚を器用に使って耳の辺りを掻いていた。

 聖地は鉄壁で突破は不可能。四枚のカマボコ板が侵入を頑(かたく)なに拒む。その状態は今も保たれていて表面には僅かな噛み跡があるだけだった。そこが盲点となって全体が見えていなかった。

 急に目覚めたかのようにハムは後ろ脚で、すっくと立ち上がった。角の壁に前脚を掛けて激しい踊りに興じるように暴れ出した。その勢いで身体が持ち上がり、左の後ろ脚が横向きの板の出っ張りを捉えた。身体が上がると縦の板の上部に右の前脚が引っ掛かる。更なる高みを目指したところで落下した。

 仰向けは数秒、すぐさま体勢を立て直す。その時、意欲も一緒に落ちたのか。小走りでケージの横を抜けた。右端の紙の山に頭から突っ込み、小さな四肢を駆使して潜り込むと引き籠りの姿勢を見せた。

 その隙に俺は縦のカマボコ板の上に別の板を置いた。ガムテープで貼り付けて上部に届く足場の一つを潰した。

 穴が貫通しない限り、脱走は不可能と思いたい。それとは別に逃げ出すことを期待している部分もある。


 おいしいネタを程々の頻度でお願いしますよ、ハムさん。

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