↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/96

第17話 この野郎

 執筆の手が止まってしまった。茶髪の若い女性が同性に向かって、この野郎、と叫ぶ場面。違和感なく書いたものの、ふと疑問が頭に過って文章を消した。『野郎』は男性限定の言葉なのではと思い直す。

 ネットの辞書で調べてみた。男性を貶(おとし)める言葉と明記されていた。

 昔、テレビで観た女子プロレスが脳裏に蘇(よみがえ)る。体格の良いヒール役がほっそりした女性の長髪を掴んで、この野郎、と観客にアピールするように叫んでリング内を引きずり回していた。この女郎(めろう)とは決して言わない。

 余計な情報が割り込んで考えが一向に纏まらず、頭が静かに煮え立つ。頭を冷やさなければ。一階に下りると冷蔵庫から冷えたビール缶を取り出し、中身を喉へ流し込んだ。

 実に美味い。平日の夕方もあって背徳感の味がする。


「ハム~、ハムちゃ~ん」


 少し陽気になった俺は歌うように段ボール箱へ近づく。ハムは後脚で立った状態で出迎えてくれた。気分よく手を差し出すと薬指の先端を噛まれた。いつもより強い力に驚き、一瞬で手を引き戻す。

 瞬間、俺は怒りを忘れて階段を駆け上がる。自室の椅子に飛び乗り、急いで文章を書き足した。


「ふざけんじゃねぇ、この野郎! ぶっ殺すぞ!」


 ビールで勢いも増した。雌のハムのおかげと言える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。