第14話 お手軽な気分転換
ほぼ毎日、何かしらの文章を書いている。知名度の向上を狙って掌編に励む。コンテスト用の短編や長編小説に打ち込む。依頼された単発の仕事を淡々とこなす等。
その中の一つに商業PBWがある。金銭の為と割り切って活動はしていない。制約に縛られた状態で客側の要望を満たす。このウルトラF難度を決めることに快感を覚えていた。その苦労はたまに目に見える形でふらりと訪れる。運営を介して届くファンレターが、それに当たる。
一言で中身を表現すれば『絶賛』となる。これ以上の賛美を思い付けない程の言葉と熱量で書かれ、稀に分割して届く。長文酔いしそうで頭がくらくらする。読み終わると毎度、凄まじい万能感に満たされた。
俺は神だ。
このような尊大な気分を平然と抱き、何も手に付かない。しばらく時間を垂れ流す羽目になる。執筆の原動力になるので一概に悪いとは言えないが。
今日も三時間、集中して書いた。目の疲れは目薬が解決してくれる。それに対して頭の休憩は意外と難しい。執筆の手を止めても先の展開を考えてしまう。山登りは時間を取られ過ぎて焦りが生じ、自分自身を追い詰める。
時間を取られず、手軽で気分を一新するような内容が望ましい。
そこで思い付いた。ネットの検索欄に文字を打ち込む。
うちのハム
結果を期待してリターンキーを押した。ノートパソコンの画面に料理の写真がずらりと並ぶ。下にスクロールさせるとキーワードとして『鶏ハム』が表示された。更に進めると馴染み深いロースハムが出てきた。
そのハムではない。立派なハムではあるが。検索方法を見直し、ダブルクォーテーションの力を借りることにした。
"うちのハム"
瞬時にトップで表示された。カクヨムの作品が。後続にハムスターの動画が続々と紹介されていた。
今回、検索に使用したダブルクォーテーションは挟んだものだけを厳選して調べる方法である。応用として『+』を間に挟み、語句を増やせばかなり精度の高い結果が得られるだろう。
今回は最初に表示されたことで満足した。いい気分転換になった。
その後の執筆は快調に進んだ。




