第55話 思考の終着……
どうも、秋水です。
今回の話で、冬望の気持ちを書かせていただきました。次の話では雪咲がメインです、前よりも違った思考を手に入れた雪咲が出した結論とは……。
皆が寝静まった夜、皓と冬望は宿屋の一室で話をしていた。
「……どうして私が雪咲に執着するか……よね」
「あぁ……」
皓はどうしても聞きたかった事なのだが、いざ聞こうとすると少しだけ怖いという感情が芽生えてくる。だがこれを聞かなければ、今後どうなってしまうか分からなかったからだ。
「……あいつの事好きなのって、眞弓だけじゃなく……私もなのよね。だけど目を離したらすぐにどっか行っちゃうし、他の女の子連れてきちゃうし……」
そう呟くように言葉を発している時の冬望は、まるで落ち着かないかの様にもじもじとしながら頬を赤らめていた。
「それってつまり、嫉妬……なのか?」
「そういうのとは違うんだけど……なんて言えば良いのかな……」
ポリポリと頭を書きながら言葉を模索し、次に口にしようとしている言葉を探している。
「不安……なのかな、正直。途中で死んじゃったらとか、他に好きな人ができちゃったらとか……それに雪咲って強いから、一緒に戦ってくれたほうが心強いし……」
「成る程な……」
そっと腕を組み、背凭れに凭れ掛かり小さく頷く。冬望まで雪咲の事が好きなのは薄々と勘付いてはいたが、まさかこれほどまでとは思っていなかった。それに、雪咲に執着する理由もわかった気がした。
「……だけど、それが執着していい理由にはならないだろう?」
「だ、だけど……」
「あいつは何よりも自由を望んだ、向こうの世界では手に入らなかった物を……今度は冬望がその手で自由をあいつから奪い去るのか?」
「そんなつもりじゃ……」
「そっちにその気はなくても、あいつからしたらそう思うんだろうな……」
皓の口調は段々苛立ちを含んできた……皓は雪咲の事になると、たまに冷静さを見失うことがある。例えその相手がどんな輩でも、怯まずに正論で捻じ伏せてしまう。
冬望の様子は段々憔悴していき、終いには涙ぐんでいた。少し動揺する皓だが、無言でそっとハンカチを差し出す。それを受け取った冬望は涙を拭い、膝の上にそっと乗せて綺麗に折りたたむ。
「……そういえば、冬望は知らないんだっけ。眞弓も……」
「何を……?」
「雪咲が、一体どんな生活をしていたのか……」
その言葉に動揺したのか、ハンカチを折りたたむ手は一瞬止まる。顔を見てみると、少なからず動揺を隠そうとしていた。
「……図星か」
「……」
皓は小さくため息をつき、少しだけ雪咲の過去について語ることにした。後で眞弓にも伝えるつもりだった、伝えても問題のなさそうな話だけを厳選して……。
その頃雪咲とアメノウズメは、誰も居ない星の灯しか無い草原の下で寝転がっていた。なにか敷いているわけではないが、この世界には蚊などの小さい虫は存在していないらしい。
「……いつ見ても綺麗な星だ」
「そうね、でも何処か儚い……そんな感じがしますね」
そんなやり取りをしている中、雪咲は少し気になっていたことを口にする。
「……どうして偶に敬語が出てくるの?」
「まぁ……癖みたいなものです、気にしないでください」
アメノウズメはクスッと無邪気に微笑む、それを見た雪咲は動揺してしまい黙って空をまた見上げた。胸の鼓動が高鳴り、顔が熱くなるような感覚……。
もしかして……いや、そんな筈は……
悶々と心の中で考え事をしていると、肩を突かれる感覚を感じる。視線を向けてみると、アメノウズメが雪咲の方を見ていた。
「どうしたの?」
「先程言っていた”永遠に繰り返す”とは、どういう意味なのでしょう……?」
「それか……」
雪咲は少しだけ話すのを躊躇い、沈黙の時間を作ってしまう。だがそれが逆に、冷静になれるチャンスだと思った。暫くすると思考が正常になり、心の整理も付いていた。
「……聞きたい?」
「はい」
小さく頷くアメノウズメ、雪咲は黙って空を見ながら小さく呟くように話し始めた。
次話、雪咲メインのお話となります。
雪咲の出した結論に、アメノウズメはどう答えるのか……!?




