第32話(前編) グランに訪れた春!
今回は、グランをメインとした話を書いてみました。
反乱軍との戦いで立てたフラグを、今ここで回収していきます。
「ふぅ……」
全滅した反乱軍を横目に、ようやく終わったかと一息つくグラン。盗賊団も騎士団もほぼ全員が疲れ果て、地面にゆったりと座り込む。さっきまでギスギスしていた雰囲気が一変、和やかになっていた。だがリーシアの様子がおかしく、ずっと何かを気にしてそわそわしていた。フィーリアやヴァンも気にしていたが、何となく察していたのかグランに様子を見てきてくれと頼んだ。
「は……?まぁ……いいけどよ……」
ダルそうにしつつもゆっくりと立ち上がり、そわそわしているリーシアの所へ向かう。直ぐ側に行くまで気が付いていなかったらしく、肩を優しく叩いた瞬間驚きの余り少しだけ飛び跳ねる。
「……どうした?」
そう声をかけるも、両手を頬に触れさせたまましゃがみ込んでしまう。その様子に、フィーリアとヴァンは面白いものを見るような視線で見ていた。グランもようやくその意図が分かったのか、しゃがみ込んだリーシアの頭に優しく手を置く。
「……お疲れ様、ゆっくり休みな」
リーシアは少しだけ唖然とした表情になるが、少し気恥ずかしそうに顔を赤くしながら労ってくれたことに嬉しさを覚え思わずグランに力いっぱい抱きつく。急に抱きつかれて驚いたのか、体制を崩し倒れ込む。倒れたグランを、リーシアが押し倒す形になっていた。
「す、すまない……」
顔を真っ赤にしながら急いで退くが、周りの雰囲気はすっかり毒気を抜かれ和やか通り越して甘酸っぱい感じになっていた。
「あ……あぁ……」
お互いに顔を赤くしながら見つめ合っていると、間にフィーリアが入ってくる。
「騎士団長さんは普段心強いけど、こういうのには慣れてないから余り遊んじゃだめだよ?」
少し意地悪な表情を浮かべていたが、何よりこの状況を楽しんでいる表情だった。ヴァンは何も言わなかったが、遠くから眺めているだけだった。
「……」
何かを言おうとしたが、全て茶化されると思い口を紡ぐ。リーシアはグランを横目でチラチラっと見て、本当に落ち着きがなかった。
……もし、向こうがその気なら……答えないわけには……
そう思い、グランはリーシアの方へ向く。すると同タイミングで、リーシアもグランの方を向きお互いに顔を合わせる形に。その瞬間2人共顔が赤くなるが、何とか踏み止まっていた。そして……
「あ、あの……!」
「え……えっと……」
ここぞとばかりに息が合い、お互いの言葉が同時に発され掻き消えてしまう。グランはそれで言うのを躊躇ったが、リーシアは完全に流れに身を任せ言葉の続きを口にする。
「も、もし宜しければですが……私を、ずっと貴方のお傍に……居させてください!!」
そう言ってリーシアはバッと頭を下げ、手をそっと突き出す。そのまま少しだけ静かな時間が流れたが、やがてグランはその手を優しく取る。顔を上げてみると、今にも蒸発しそうなほど赤くなりながらも顔を背けながらぶきっちょにはにかむ。
こうして、グランの甘酸っぱい日々が始まっていくのだった。
後編は、ついに雪咲の方で決着が付きます。
壮絶な戦いの末、勝利するのはどちらなのか……!?




