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チートを貰ったが、異世界では……。  作者: 月詠 秋水
第2章 リオーネ編
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第12話 巨大な大樹に封じられてたのは……

リオーネ付近の森の中で結界を張り、今後の事を話しどんちゃん騒ぎしていた雪咲達盗賊団御一行。


自由なる盗賊団〈フリーダム・シーフ〉と名も決まり、興奮冷めやらずそのまま宴会へと縺れ込んだ。


やがて全員睡魔に襲われ寝てしまう。

次の日、雪咲が目覚めると辺りが薄っすらと明るくなっていた。どうやら朝方に起きたらしく、まだ皆気持ちよさそうに眠っている。急に膝が痺れたと思い見てみると、ユリナが頭を乗せたまま眠っていたのを思い出す。そっと起こさないように自分の上着を丸め、枕代わりにユリナの頭を乗せる。そしてゆっくりと立ち上がり、結界の外へ音を立てずに出ていく。


少し歩くと、小鳥のさえずりや魔物や獣が活動を開始する気配を感じる。だがまだこちらには気付いてはいないようで、普通に無視していくことにした。


「……静かだ」


そう呟きながら薄暗い森の中を歩いていると、何やら大きな魔力を歩いている先に感じる。だがその魔力は何処か不思議で、まるで雪咲を招いているようにも感じた。雪咲は少し警戒しながらも近づいてみる、そこにあったのはとても幻想的な空間でとてもではないが森の中とは思えなかった。


一点の濁りもない透き通った湖、そのど真ん中に聳え立つ巨大な大樹。周りに浮かぶ球体のせいか、日中のように辺りが明るい。昔書物で見た水の都、それのイメージと瓜二つだった。


「……こんなものが」


ゆっくりと湖の方に歩いていくと、突如地響きが起こる。雪咲は驚き飛び退くと、水中から木製の橋みたいなのが浮かんできた。まるで大樹の方へ行けと言われているようにしか思えなかった。


「……」


ここで驚いていても仕方ないので、仕方なく大樹の方へ歩み寄る。1歩ずつ感じる魔力は大きくなり、大樹の傍まで来ると肌がピリピリするくらいに魔力は膨れ上がっていた。何故こんな夥しいほどの魔力を纏っているのかは分からないが、取り敢えず触れてみることにした。弾かれるかなと警戒しつつも触れた瞬間、一瞬で光に飲まれる。


「!?」


咄嗟に目を瞑るが、その光は目が痛くなるような光ではなかった。眩しくもなく、まるで真っ白な空間へ飛ばされたみたいに。だが何もないわけではなく、さっきまでふよふよと雪咲の周りを飛んでいた光る球体も一緒に居た。


此処は……


きょろきょろと見渡してみると、背後に妙な気配を感じた。思わず振り向いてみると、そこには謎の少女が雪咲の瞳を見つめ立っていた。年齢は10~12だろうか、とても綺麗な白銀の身の丈ほどの髪、宝石のように綺麗に輝く花萌葱色の瞳、白い肌に合わせるような純白のワンピースを着ている。


「……」


少女は何も言うことはなく、雪咲の袖口をそっと掴む。柄にもなくドキッとする雪咲、急激な心拍の上昇は恐怖からなのか驚いてなのかは分からなかった。少なくとも恐怖はあまりなかった、だけど底知れぬ不安みたいなものがあった。


「……君は」


一旦気持ちを落ち着かせ、ゆっくりと呟くように言葉を発する。少女はそれに答えるように、言葉を紡ぐ。


「……私はアーシュ、この大樹に封印されし者」


「大樹に……封印?」


「そう、この大樹はただの木ではないの。古代封印魔法”ユグドラシル”……木を媒体として、どんな者も封じ込めてしまう禁術」


雪咲はその名前に少し反応する。出てくる前にアルザース帝国大図書館で見た書物にそんなのがあった気がする。内容は禁術〈ユグドラシル〉とそれに封じられている魔物、禁術はユグドラシル以外にも”バハムート”やら”リヴァイアサン”なんてものがあった。ほぼ全て、神話生物や龍の名に擬えていた。


禁術になるのは主にいくつかある、それは〈代償〉〈威力〉〈範囲〉〈使用する魔力量〉のどれか2つ以上が特化……若しくは膨大過ぎると、それに該当するものが禁術とされている。ユグドラシルが特化していたのは使用する魔力・代償だ、これは術者の全てと他100名以上の命と魔力を引き換えに、どんな強力な魔物……ましてや神さえも封印することが可能な魔法である。ただ媒体となる木もただの木で良いわけではない、だが肝心な所で読んだ書物が途切れていた。


「……アーシュ、一体何者なんだ?」


まどろっこしい事を考えるのは止め、素直に聞くことにした。


「私は……龍神、龍族全てを収める王……よりも高位の存在。少なくとも数万年前まではそう呼ばれていた……」


龍神……龍族の中では神と同列の存在、唯一無二の力と自在な力を併せ持つ龍。だが記憶している書物の中で、龍神どころか龍族の資料すら見かけなかった。


「……」


雪咲は少し考え込む、するといくつかの疑問を覚える。だから、いくつか質問をしてみることにした。


「……呼ばれていたと言っていたけど、今は違うのか?」


「分からない……新たな龍神が生まれ継いでいるのか、それとも滅びたか……」


とても曖昧な返しが返ってきた。


「次……何故ユグドラシルに封印されていたんだ?」


「私の力……それを利用しようと人族が……」


「力……?」


「そう、私には認めた相手だけに力を共有する力を持つ。不老不死や無限の魔力、彼等が求めたのは恐らくこれ」


「……」


これは……


思っていた以上に物凄い能力に、正直どうすればいいか迷っていた。確かに龍神に暴れられたら世界は壊れる、だから封印した……というのは表面上だろう、恐らく私利私欲で封印したのだろう。だがユグドラシルの代償を知らないばかりに、利用出来ずにこの世を去った。


脳裏で推測していると、アーシュが顔を覗き込んでくる。


「どうした?」


「貴方……不思議、普通の人族は逃げるか立ち向かってくるのに……その気が全く無いのね」


「まぁ……」


正直な所、雪咲はどうする気もなかった。もしこのまま逃してくれるのであればお言葉に甘えるが、戦えと言われれば即答で拒否する気でいた。幾ら神様からチートを貰った所で、完全にほぼ暴走状態な上に把握しきれていない。負けるだけならまだいい方、下手すれば死ぬ可能性がある。それは是非とも避けたいところではある。


どうするか悩んでいると、一つの案を思いつく。


「なぁ、アーシュはユグドラシルから出たいか?」


「……?」


唐突だったか、何言ってるんだ?みたいな顔をされた。


「もし出たいなら条件付きで出してあげてもいいけど」


苦笑気味に言うと、心の中を見透かしているのか分からないが小さくため息をつかれた。


「出るも何も、ユグドラシルの封印を解くことは出来ないでしょ……?」


「あ~……」


確かにと言わんばかりに、ゆっくりと頷く。ステータスウィンドゥを出して確認してみると、現在地点の欄に”ユグドラシル内”と書いてある。


え、封印の中……?


少し気になりマップも開いてみると、辺りには何もないまっさらな地形が映し出された。出口どころか換気口的な物も無く、完全に密封空間だった。


「どうすればいいかな……」


ステータスを見つめながら唸っていると、一つ気になるスキルが目に留まる。それはイメージスキル、いわば想像魔法というものらしい。説明欄に、丁寧に説明が書いてある。


”イメージスキル〈想像魔法〉:それは脳裏で想像した魔法を膨大な魔力と引き換えに実際に発動させるユニークスキル。どんな事でも出来るが、その分魔力はかなり必要となるため魔力切れ〈オーバーブロー〉には注意!”


これだ……!


「もしかしたら、アーシュをここから出してあげられるかも知れない!」


「……?」


雪咲の嬉しそうな言葉は、辺りに響き木霊となり消える。そしてアーシュは、理解不能と言いたげに首を傾げる。

正直ネーミングセンスが皆無過ぎて、ありきたりかなと内心思いました。


次の話は、明日に投稿したいと思います。

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