閑話 冬望
今回は、冬望の物語。
彼女の内心と不安が交差する。
遂に、PV1500を突破致しました!
こんな作品をこれだけ見ていただいて感謝感激です!!
これからも頑張って書き続けていく予定なので、至らない点など御座いましたら言っていただけたら少しずつ改善していきたいと思っています!
腹立つわね……。
冬望は、リオーネに向かっている途中の馬車の中で腕を組みながら外を眺めていた。馬車に揺られ誰も気付いてはいないのだろうが、冬望はかなりストレスが溜まっていた。
全く……眞弓はオークを倒す事に抵抗があったようだし、皓……は多少なりと強いから助かるけど。なんで肝心の雪咲が付いてきてくれないのよ……。
ご立腹の理由は、雪咲が付いてこないことだったようだ。雪咲が何をしようとしているのかは、誰からも聞かされていない。皓に問い詰めても、適当な返事ではぐらかされてしまう。想い人が行方知れずというのが、一番冬望にとっては不安要素になっていた。
……兎に角、街について宿で落ち着いたら状況整理しなきゃ。
1人で意気込んでいる内に、馬車はすっかりリオーネの宿屋の前に止まった。いつの間にと言いたげな表情になるが、さとられぬように平静を保っていた。
部屋に案内され静寂だけが残る、誰もいない1人だけの空間……冬望は、1人外を眺めていた。
……本当に異世界なのね。あんな化物とか見てきて順応した気でいたけど……。
小さくため息をつき、椅子を窓の近くに置き腰を掛ける。
「……雪咲」
小さく呟くと、誰かが急に部屋のドアをノックする。誰かと思い出てみると、皓だった。どうやら気分転換に街に行くらしいのだが、一緒にどうだとお誘いに来たようだ。
「……ごめんね、今日はそういう気分じゃないの」
申し訳無さそうな表情で謝ると、皓は大丈夫と優しく微笑みかけその場を後にした。再び部屋に戻り、椅子に座る。外を眺めていると、夕焼けの光が窓から差し込み眩く思える。
「……」
それでも目を逸らさずに外を見ていると、突然地響きと共に下から上に向かって何かが飛んでいくのが見えた。
「……何よあれ」
思わず苦笑気味に呟く、すると何故か雪咲の事が脳裏に浮かぶ。昨晩の事で覚悟を決めたはずなのに、なぜだか揺らぎ始めている。逃げないと約束してはくれたが、一抹の不安が冬望の心を締め付ける。
「……っ」
グッと胸元を握りしめ、歯を食いしばる。気が付くと、止め処なく涙は溢れ出る。
”もし、雪咲が眞弓を選んだら……?”
”もし、自分が選ばれなかったら……?”
”もしも、雪咲が何処かで他の人を作っていたら……?”
「そんなの……分からない……けど……私は……」
止まることのない涙を流しながら、ずっと俯いていた。押し寄せる不安と絶望と悲しみが一度に押し寄せ、感情を操る事が出来なかった。溢れる言葉は泡のように消え、涙は服と手の甲を濡らしていく。
「怖い……怖い……よ……」
夕日が赤く染める部屋で、冬望は1人泣いていた。そして数時間と立たない内に、泣き疲れて眠ってしまっていた。泣いた後は不思議と、不安感や焦燥感と言ったものが先程よりも和らいでいた。
11話は、明日投稿致します!!




