閑話 眞弓
今回は昨日(?)に投稿した閑話 皓と同じ時の眞弓編です。
私……このままでいいのかな……。
リオーネの街の森の中でオークを討伐し終え、今まさに街へと向かっている最中の馬車に揺られながら窓越しに外を眺めて呆けている眞弓。先の戦いでも皓と冬望の足を引っ張ってしまった、何より魔物だろうと命を奪うのがとても怖かったからだ。それと同時に仲間の命も奪われるのが嫌、その両方の気持ちを抱え苦悶していたのだった。
「……」
馬車の中はとても静かな空気なのだが、何処かピリピリしていて気安く話かけられる様な雰囲気ではない。お調子者の皓ですら、疲れたような表情で馬車に揺られている。冬望も何かを考えるように、腕を組みながら外を眺めている。途中皓が何とか話しかけてきてくれたのだが、何も答えることが出来なかった。
……早く魔王退治終わらせて、雪咲くんと一緒に居たいな。
雪咲の事を考える度に、眞弓は小さくため息をつく。あの時言葉を遮られ、あまつさえ答えを先延ばしにされた……それがかえって、気持ちを加速させていたのだ。
そう考えている内に、馬車はリオーネの街に着く。門番が通してくれて、馬車はやがて宿屋の前に止まる。中に入ると少し高身長のおじさんが出てくる、皓はお金を渡すと3人はそれぞれの部屋に案内される。
「ふぅ……」
部屋に案内され、ゴロンとベッドの上に横たわる。ようやく1人に……雪咲を思う事が出来ると思っていた矢先、急に部屋のドアがノックされる。
「は、はい」
急いで起き上がり、ドアの方へ駆け寄り開けてみると……そこには皓が立っていた。彼曰く、息抜きついでに街を見て回りたいと言っていた。そして一緒に行くかと、眞弓の部屋を訪ねたという。
「……私は疲れちゃったし、大丈夫」
そう言うと、皓はあっさりと行ってしまう。ドアを閉め再びベッドの上に倒れ込む、そして今日一日のことを振り返る。オークと戦ったことや、魔物とは言え命を奪ってしまったこと、皓が使った魔法の事、眞弓の矢が冬望の髪をかすめたこと……思い返すだけで、何故か少し怖くなってしまう。1人になるのは嫌なのだが、誰かに打ち解けようとしても体と口が追いつかない。本当は話してしまいたいのに、結局誰にも言えずにいる。
「……」
そんな事を黙々と考え込んでいると、地響きと共に大きい音が聞こえてくる。眞弓は驚き窓を開け外を見てみると、大きな建物らしき所から人が打ち上げられている瞬間を目にしてしまった。
「何……あれ……?」
他の建物とかで誰が打ち上げたのかは部屋の窓からは見えないが、とてつもなく強い人なんだろうなと心の中で思う。すると、すぐに雪咲の事が脳裏を横切る。しかし今朝はアルザース帝国で旅立ちの儀で見送ってくれた、だからこんな所に居るはずが無いと思い窓を閉める。
「……雪咲くん」
掛け布団を丸め、雪咲の事を思いながら抱きしめる。すると、不思議と心が安らぎ……涙が自然と溢れ出てしまう。夕焼けの赤い光が部屋に差し込み、閉じた瞼の裏側さえも赤く見えた。
冬望の話は、今日中に投稿致します




