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チートを貰ったが、異世界では……。  作者: 月詠 秋水
第2章 リオーネ編
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閑話 皓

今回の話は、皓視点でお送りいたします。


明日の話は、冬望か眞弓視点での話をしようかと思います。


ただ皓と同じ感じになってしまいますので、文字数はかなり少なくなってしまいますのであしからず。

雪咲と帝国で別れてから数時間後、英雄達はリオーネ付近の森の中で身の丈よりも大きなオーク3体と戦闘が始まっていた。皓はロングブレード・眞弓は機械弓・冬望はランスを使用し、必死に戦い抜いていた。


オークの1体が皓に向かい石斧を振り下ろす、それを皓は必死に受け流す。体制を崩したその一瞬で冬望が心臓にランスを深々と突き刺す。オークは薄緑に近い色の血を大量に吹き付けながら、その場に倒れ込む。それを見た残りのオーガ達は、冬望にターゲットを変更し襲いかかる。


「こ、こっち来んなぁぁ!」


冬望が叫びながらランスを構えると、背後から矢が飛んでくる。矢は冬望の髪をかすめ、オークの右目を射抜く。余程の激痛だったのか、眼を射抜かれたオークは石斧を放り投げ地面に転がる。


「ちょ、ちょっと……髪を思いっきりかすめたんだけど?!」


「ご、ごめんなさい……まだ慣れきっていなくて……」


先程の矢の件に、冬望はオークそっちのけで眞弓に突っかかる。


「2人共、今は言い争いしている場合じゃない!!」


地面に転がったオークの首を落とし、2人の元へ駆け寄ろうとした瞬間……最期の1頭のオークが2人に向けて猛スピードで襲いかかる。


「「……?!」」


恐怖で動けず、思わず獲物を手放してしまう。


「眞弓、冬望!!」


後少し……だが、皓の手はオークよりも遠い。必死に手を伸ばしても、オークのほうが早く2人を捕まえるのが早いだろう。


くそっ、どうすれば……


必死に考え走っている中、地面にロングソードの鋒がコツンと当たる。それに皓は、とっさにあることを考える。2人の方に視線を向けると、後数センチで怯え震えている2人を掴むことが出来そうな位置だ。


迷ってる暇は無いな……


そう思い、渾身の力で手にしていたロングブレードをオークの腕に投げつける。空を切る音と共に、掴みかけたオークの手をスパッと切り落とす。


「よし……”我は英雄、世界を救う光の御子。邪悪なる魔物を討ち滅ぼす力を、我に貸し与え給え”!」


詠唱を唱えながら2人の前に立ちはだかり、両手をオークの方へ突き出す。すると、黄色い魔法陣が展開される。


「……”穿て 閃光矢”!」


文言を唱えた瞬間、魔法陣から目に見えぬ速さで光の矢が打ち出される。貫いたのはオークの心臓、貫いても尚止まること無く閃光の矢は遥か彼方へと消え去ってしまった。


「た、助かった……」


「ありがとう……皓くん……」


2人はまるで呪縛から解き放たれたかのようにホッと安堵のため息をつき、その場にへたり込む。顔色は少し青白くなっており、冷や汗もかいている。それを見かねた皓は、心配になりタオルなどを渡して馬車の中へ乗せてく。


「大丈夫?」


顔色が悪く浮かない顔をしている2人に、少しあっけらかんとした表情で話しかける皓。


「えぇ……怖かったけど……」


「……」


冬望は何とか返事をすることが出来たが、眞弓はもやは口すら聞けないほどに恐怖の記憶が焼き付いているようだ。皓はこれ以上は口を開かなかった……2人を気遣ってなのか、考え事をしていたのかは分からない。


馬車に乗り少し走っていると、リオーネの門手前まで来る。


「よ、ようやく街ね……」


「……」


まるで家に帰ってきた時のように安心している2人、皓も固かった表情を少し緩める。門番をパスし、中へ入ると……色んな種族の人たちがそこらを歩いているのに3人は目を輝かせた。


「わぁ……色んな人達が……」


「獣人や魔族ね」


「賑わってていい街じゃないか」


正直な感想を各個で呟き、やがて宿屋の前で馬車が止まる。3人は馬車を降り、宿屋の中へ入っていく。お金を払い部屋へ案内してもらい、冬望・眞弓・皓は別々の部屋で武器の整備やアイテム整理等をしていた。皓は1人早く終わらせ、2人に言って1人で街を出歩くことにした。


「色んな物があるんだなぁ……雪咲に土産でも買ってやろうかな」


気が付くと、そんな事を考えていた。魔王退治の為に行動している皓達と、盗賊として活動していく雪咲……決してとは言わぬが、会うことはかなり少ないだろう。もう前のようには戻れない……そう考えると、少し胸が締め付けられるような感覚に陥ってしまう。


これでは駄目だと頬を少し強めに叩くと、その音よりも更に大きな音が町中の方から聞こえた。


「……魔物か?」


不安になり、急いで走っていく。すると、ギルドの前にかなりの人集りができていた。気になり間を縫って騒ぎの原因を見てみると、とても良く知った顔が冒険者に絡まれていた。


「まさか……雪咲?!」


呼びかけては見るが、こんな騒ぎの中ではかき消されてしまう。助太刀しようと腰に下げていた剣の柄に手を置いた瞬間、雪咲に斬りかかった甲冑を纏った冒険者達がものすごい速度で吹っ飛んでいった。


「……」


あまりの強さに、思わず苦笑してしまう。


……相変わらずだな。


こんな騒ぎで別れたばかりではあるが、雪咲の安否を確認出来たのは一番の収穫かもしれないと思った。


皓は何も言わず、その場を立ち去り宿屋へと戻っていく。

次回は明日の夜に投稿できたらしたいと思っています

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