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チートを貰ったが、異世界では……。  作者: 月詠 秋水
第2章 リオーネ編
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第10話 予想通りの洗礼

鳥の魔物コカトリスの肉を分解し、換金しようとリオーネの街のギルドに足を運んだ雪咲達盗賊団一行。


しかし魔物のランクがランクなだけに、雪咲のギルドカードを見た受付嬢は血相を変えてギルド奥の部屋に行ってしまう。


数分後に戻ってきた受付嬢だが、なにやらただならぬ様子で奥の部屋に案内される。


その部屋に待ち構えていたのはギルドマスターらしき筋骨隆々の白髪のおっさん、はたして雪咲達の今後の展開は……?!

「どうぞ、おかけください」


筋骨隆々の白髪のおっさんに言われ、雪咲はソファーの真ん中に座る。その正面のソファーにおっさんが座り、雪咲の右にユリナで左にグランが座る。


「さて、唐突に呼び出して申し訳ない」


「いえ……」


おっさんは頭を下げ謝る、雪咲は少し動揺する。


「俺はギルドマスターのサモル、ちょいと話があってだな……」


すっと頭を上げ手にしていた鳥の魔物の肉片とギルドカードをテーブルの上に置く。


「俺はギルドマスターになる前は冒険者をしていてな、大抵のやつなら姿を見ただけでどんな実力を持っていのか分かるんだが……あんたは得体が知れない、しかもこの肉は……Cランクの鳥の魔物、コカトリスの肉じゃねぇか」


コカトリス……?


雪咲は首を傾げる、ギルドマスターはその様子を見て思わず苦笑いをする。


「嘘だろ、それを知らずに……幾ら帝国国王直下だとは言え、Dランクだろ?なのに1ランク上の魔物をこうも綺麗に倒すとは……」


サモルは手にしていたコカトリスの肉をマジマジと眺め、うぅむと唸っていた。まるで骨董品を手にした芸術家のように、サモルの視線は釘付けだった。


「綺麗に倒す……?」


「あぁ……普通の冒険者は何も知らずにナイフで解体してくる、だから素材の一番いい所が切れてたり潰れてたりしている。だがこいつは潰すどころか、まるで引きちぎったかのようにしてあまり手を加えてないからかまだ生きているようだ」


その言葉に、雪咲は目を閉じ少し前の記憶を遡る。すると異次元袋に入り切らないからと、手で引き千切りながら入れていた時のことを思い出す。


「あぁ、確かあの時……」


雪咲はあの時起こったことを、一部改変して入るもののありのままを話した。


……




「え~っと、つまりお前さんは異世界人で……英雄召喚によって呼ばれたというわけか……?」


「まぁ、ざっくりと言えばそんな感じですね」


サモルはうぅむと唸りながら、顎の髭に触りつつ何かを考え込む。流石にギルドカードを所持していながら、盗賊と言うには無理があるかなと思いきや……。


「……分かった、お前の言うことを信じよう」


以外にも信じてくれた。


「……理由を聞いても?」


「ギルドカードの王印は偽装不可能、更にコカトリスの素材は本物……疑う要素など一つも無い」


「……」


それを言われてしまっては、返しようもない。サモルからギルカを返してもらい、異次元袋に仕舞う。心機一転、雪咲はコカトリスの肉の相場を聞く。


「これくらい有ると……25万ゴールド位かな?」


「「25万ゴールド?!」」


ユリナとグランは、金額を聞くとガタッと血相変えて立ち上がる。それに比べ雪咲は落ち着いていると言うか、物価があまり分かっていないせいで置いてけぼりを食らっている気分だった。


25万……国王から頂いた支度金は50万ゴールド、つまり半額位だから……。


数分かけて計算を終え、金額の大きさに少し驚き始める。


「そ、そんなに貰って良いんですか……?」


「状態は良好、鮮度も良く量も多い……これでも少ないくらい位なのだが」


「い、いえ……十分です」


ユリナは若干遠慮気味に言うが、サモルはこれ以上は値段は下げられない……との一点張りだった。



3人は約束通り25万ゴールドを受け取り、ギルドマスターの部屋から退室した。ギルドの広場に出ると、何故か周りの視線が刺さるような痛みを含んだような視線になっていた。


「……?」


内心不安を覚えながらもギルド内から出ようとした瞬間、冒険者らしき甲冑を着込んだ男性ら10人が出口を塞ぐ。邪魔だと睨むように目を細めると、それが気に障ったのかいきなり雪咲の胸ぐらを掴む。


「……何だよ?」


「てめぇ、ここらじゃ見ねぇ顔だな……見てたぜ、あんな量の素材……大層な額になったんだろうなぁ?」


如何にも狙いがお金ですと、リーダーらしき甲冑の男が不敵に笑みを浮かべる。それに反応したのか、ユリナとグランが臨戦態勢になる。それを雪咲は横目に見て、大きく息を吸い込み……。


「手を出すな、2人とも!」


まるで暴龍の咆哮が如く、酒場が吹き飛ぶような大声で叫ぶ。その瞬間、胸ぐらを掴んでいた甲冑男は気を失い地面に倒れ込む。


「て……てめぇ……何をしやがった……!」


辛うじて意識を失わなかったのは、甲冑男の後ろに控えていた細身の男性。彼は耳を塞ぎ、何とか耐えしのいだようだ。


「別に、ただ少し腹から声を出してみただけさ」


クスッと微笑み、だが細身に向けた視線には無意識に敵意と殺意が篭っていた。


……これでビビって、大人しく引いてくれれば……


そう思っているが、雪咲の思惑とは裏腹に細身の男性は腰に携えていた剣を抜く。


「ふざけんじゃねぇ!!」


剣を構え雪咲に斬り込んでくる細身の男性、しかし雪咲はその剣を摘む様に受け止める。細身の男性は驚き身を引こうとするが、雪咲が掴んでいる剣だけは押そうとも引こうともびくともしなかった。


「ぐっ……!」


「……この程度?正直言って遅すぎるよ」


期待外れと思った雪咲は、摘んでいた剣を離し……細身の男性の額に軽くデコピンをする。刹那、ギルドの建物の壁を突き破り遠くの彼方へと飛んでいってしまった。


「あちゃー……」


男性の影が消え去るのを確認し、ユリナ達の方へと振り返る。2人共さっきの大声にびっくりしたのか、ずっと耳を塞いでこちらを見ていた。雪咲は苦笑を浮かべ、ジェスチャーで伝えると耳を塞ぐのを止める。


「しっかし、変なのに目をつけられましたね……」


「浅はかな男達ね、相手の力量すら測れないなんて……」


2人は呆れたようにため息をつく、雪咲はそんな2人を連れてギルドの外へ出た瞬間……外で見ていた野次馬に囲まれてしまっていた。なんでもさっきの大声に驚いて様子を見に来ていたらしく、見たら冒険者達を軽くあしらっている雪咲に見とれていたらしい。面倒くさいと思った雪咲は、盗賊団員を連れて目に止まらぬ速度でその場から逃げ出したのであった。


後になって聞いた話だと、雪咲達に突っかかってきた甲冑男達はランクAAのパーティー”4つ首の犬”(クアトロ・パピー)だそうだ。実力もランクと比例して強く頼りがいのあるパーティーらしいのだが、最近調子に乗りすぎて新人イビリや恐喝じみたことをしていて誰も手が出せないらしいのだ。あの騒動の後日雪咲は1人でギルドに出向きギルドマスターに謝りに行くと、問題児だということを説明された後いい薬になったろと言って笑って許してくれた。

次の話は、閑話となっております。


雪咲以外の視点の物語となっておりますので、本編とはあまり関連はございません。

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