第9話 他種族繁栄都市、リオーネ
村に突如襲いかかる魔物、雪咲はその魔物を素手で倒してしまう。
そして、新たな仲間が2人加わった。魔族のユリナと、ガタイの良い大男のグランである。
はたして、この先何が待ち受けているのだろうか?!
「さてと……」
グラン達の拘束を解き、鳥の魔物の解体作業に移ろうとする。だがここで一つ、刃物系統を持っていない事を思い出す。
「どうしよう……」
持ち物を確かめるが、刃物の代わりになりそうなものはない。グラン達の武器は全て破壊してしまったし、他には何も思いつかない。頭を抱え考えていると、ユリナが服の裾をクイクイッと引っ張ってくる。
「ん……?」
「これ……使う?」
ユリナが差し出してきたのは、小さいナイフだった。雪咲は優しく微笑みながら受け取る。
「ありがとう」
ナイフを握りしめ、鳥の魔物に向かいゆっくりと振り下ろす……すると、頑丈な羽で覆われた体は一瞬にして真っ二つになってしまった。
「「「……」」」
予想外の威力に、その場に居た誰もが絶句した。何処にでも売っている家庭用のナイフでこんな威力を出した雪咲自身も、何も言えなくなってしまった。無残に真っ二つになってしまった鳥の魔物を見ていると、パリンッっと言う音が聞こえた。その音の方に視線を向けてみると、さっきまで手にしていたナイフが跡形もなく消え去っていたのだ。
「……?!」
それに驚き、握っていたナイフの柄を手放す。そして地面に落とした瞬間、一瞬でヒビ割れ砕けてしまう。その光景に、雪咲は内心苦笑する。
一振りだけで壊れちゃうのか……恐らくどんな武器でも駄目なんだろうな……
ため息を付きながら、諦めて鳥の魔物の羽を素手で毟っていく。まるで芝刈り機のごとく、近くに居たグランの隣にどんどん積もっていく。全ての羽を毟り終える頃には、民家一軒分くらいの高さまで積み上がった。
毟った羽全て異次元袋に仕舞い、鳥の魔物の肉も手頃なサイズに手で引き千切り仕舞う。
「さて、これくらいかな」
手をパンパンっと叩き、手についた油は異次元袋の中に入っていたハンカチで拭き取る。そしてハンカチを異次元袋に仕舞いながら歩いていくと、グランと盗賊団全員が後ろからついてくる。
「……もしかして、乗り物とか無いの?」
列をなしてついてこられると、色々と悪目立ちしすぎてちょっと遠慮したい。ちらっと少し離れている民家の付近に立っている小屋に視線を送ってみると、中には馬が数匹生き残っているようだ。雪咲は団員を小屋へ誘導し、そして馬を頂いていった。
雪咲・ユリナが乗っている馬を戦闘に、盗賊団員全員を引き連れ次の街を目指す。何故近くのアルザースに行かないのかというと、あそこの冒険者ギルドは雪咲達盗賊やユリナみたいな魔族を快く思っていない奴らが多くいる。その為、危険を避け別の街に行くことにした。
暫く走っていると、柵みたいな壁で覆われている街を見つける。門に近づくと、門番が門の前に現れた。雪咲はそれに気付くと、馬を門番の前に止める。
「貴様、何者だ!身分を示せるものを出せ!」
「はいはい」
苦笑しながら異次元袋を探り、取り出したのは国王ツァイから貰った雪咲の身分を証明する王印付きのギルドカードである。ランクはDだが、このギルドカードがあれば全てのクエストを受注できるとツァイから聞いていた。
なんかズルしている気分で、良い気がしないなぁ……
内心そう思いながらそのギルドカードを提出すると、門番は青ざめビシっと敬礼する。
「こ、これは……失礼いたしました!国王直属の方でしたか!」
「あ……!」
雪咲は急いで馬から飛び降り、門番の口を手で塞ぎ耳打ちする。
「すいません、その事は内密にお願いしたいのですが……」
「は、はぁ……」
門番が頷くと、ゆっくりと口を塞いでいた手を離す。そして馬を門番に預け、門を抜け街の中へと入っていく。
この街の名はリオーネ、アルザース帝国の次に反映している街だ。ここには魔族や獣人がアルザースよりも受け入れられ、物流はかなり凄いとアルザースの図書館の本に書いてあった気がする。
暫く歩いていると、大きな建物が見える。看板には”冒険者ギルド”と書いてあり、その中に雪咲は入っていく。建物の中はまるで酒場と思えるほどに人が密集しており、誰もが武装しておりガタイの良い男ばかりだった。
カウンターの方へ歩いていくと、受付嬢らしき女性が出て来る。
「こんにちは、何かクエストをお探しですか?」
「いえ、こちらを売りたいんですけど」
異次元袋から先程解体した鳥の魔物の肉と羽を取り出しカウンターに置くと、受付嬢は度肝を抜かれたかのように尻餅をつく。
「す、すいません……お手数ですが、ギルドカードをご提示できますか……?」
ボケットからギルドカードを取り出し受付嬢に渡すと、更にありえないという表情でこちらを見てきた。
「……すいません、少しお待ちを……」
受付嬢はギルドカードを手に、奥の方へ引っ込んでしまった。数分後、再び受付嬢が出てくる。だがその表情は、どこか緊迫していた。
「……?」
「すみませんが、一度こちらへ」
言われるがままにカウンターの中へ入り、ギルドのクエストカウンターの奥の部屋へと案内される。そこに居たのは、筋骨隆々な白髪のおっさんだった。
次の話は、明日に投稿致します




