43 トーコ、拠点整備
天川と特別な関係となったその瞬間から、私はとある計画を立てた。
私はNNKデスに乗り込む! そして天川をカエル化した経緯を問い詰め、元に戻すよう直談判する!
このフィールド内での力関係、私たちが秘密結社NNKデスに生殺与奪を握られてる状態を壊したい。
私は見た。アノールと冒険した時に。ぽつんと建つ、謎のトンガリ塔を。遠目で、森に埋もれるように佇んでいた。てっぺんが四角錐の四角柱。
あそこがNNKデスの本部なんじゃないの?
アノールは私に寄り添ってくれるけど、所属は向こう側の存在。私に協力してくれるかどうかはわからない。情報で密かに私の思考や行動を誘導して来るかも・・・
完全に信頼していい相手ではないけれど、それでもここでは頼らざるを得ない存在だよ。ならば一時的だけでも100%私に懐柔させることが出来る?
取り敢えず、物置部屋から繋がってる物流ルートを自由に使えることになって、私はトロッコに乗って移動する権利も得ているのだから、それって来てくださいって向こうが言ってるようなもんよ?
けど、"彼を知り己を知れば百戦殆からず" って言うし、先ずはフィールド内の探索ね!
農作業はずーっと忙しいってわけじゃない。時期によるの。それに元々ここは、私が手探りしながら1人で運営してた小さな農場。だから私は、畑や鶏たちのお世話の大半を天川に任せて、元祖地下鉄?とも言える地下トンネルトロッコに乗って、フィールド探索に出かけることに決定よ!
けど、天川を説得するのは難しそう。私とまた離ればなれになる時間が増えるし、彼は心配性だし。
でもね。私は口達者トーコよ。
口先で事を自分の思い通りに運ぶ、それが私。
トマト畑での誓いのキスから始まった天川と私の恋人関係。しかも環境は同居から同棲に。
恋に落ちた瞬間からこのフィールドについて悶々と考え続け、決めた計画を翌日の早朝、出荷のためのトマト収獲作業中に天川に打ち明けた。
「トーコさんったら、そんな野望を秘めた無茶をしないでください! しかもそれって僕のためじゃないですか! 僕はカエル人間でも大丈夫です。危険な行動はやめてください。僕はここでこのままトーコさんと2人で幸せに暮らしたいです」
「けれど私の役はウォールクラッシャー。それって実際は物理的な壁を壊せって意味ではなかった。フィールドを探索してゲームの命題を見つけ出せって意味だよ。私が配置されたのはフィールドの住人役じゃない。彼らは現実社会からの選ばれし庇護者なの。私の場合はゲームを進めきゃゲームオーバーで『ハイ、無能は用無し。サヨナラ〜』って監視されつつの閑職に放り返されるのよ?」
「えっと、なら僕は・・・?」
「どう見ても飛び入りのエキストラ。そして遺伝子操作の実験台。デラックスな高級水槽を贈られたことを考えれば、天川は貴重なサンプルで観察対象となった。生かすべく存在だと認められてるはず」
「・・・僕は悔しいです。けど、そのお陰でトーコさんとこうして一緒にいられる暮らしには感謝してしまいますが」
「でもね、もし私たちに子どもができたらその子も実験観察対象ではなくて?」
「そ、それは心外です! 僕だけならまだしも!!」
「彼らもお遊びでやってるわけではないよ? テック産業という経済新興の自分たちが古い利権社会を壊し、新たな利権を創設するための実験場でもあるのよ。社会からはみ出した人々を使ってね? それが彼らの理想世界への構築方法。だから、私は・・・ここであなたと赤ちゃんができる行為をするわけには行かないの・・・。私がゲームクリアするまでは」
「そ、そんな・・・! 両思いになれて目の前でお預けって!! ぼ、僕はどうすればいいんですか? そういえばここにはアレがない! 通販でも・・・買えないのですか? グズン・・・」
そこで泣かれてもさ・・・
「私たちが心も体も一体化するためには、私のゲームクリアか、ゲーム自体を見切って運営を凌駕するしかないと思うの。だからお願い。私の思い通りに行動させて?」
「でもトーコさんが危険にさらされるのは・・・」
「ね? 天川、お願い・・・」
お辞儀角度調節。前かがみ時間、ゆっくり3つ教えてサービス。上目遣い追加。
「これは私たちの未来への必須要件なの」
「えっと・・・わ、わかりました。けど無茶はしないって僕に約束してください」
「ありがとう! 約束するね。私たちの幸せな未来のために頑張る! 鶏さんたちのこともよろしくね」
「ジャナールはボクの相棒ですし、他の子たちもかわいいです。できるだけ速くトーコさんがゲームクリアになるように僕は協力します。その時・・・その時、僕たちは遂に・・・(〃ω〃)」
────ということで、私は気兼ねなく冒険出来る環境を整えた。
生活費拠点と精神の置き場所、心の置きどころ、幸せへのタネ付け、完了。
世の中とか社会のためなんて私には関係ない。天川と私の未来の為にNNKデスの作略に乗ってあげるわ。
多分だけど、世の仕組みは皆そんなふうに回ってるはずよ。誰もが社会全体のことよりも、個人的事情優先。
だからどうせこの世は地獄にしか向かわない。
けれど、それらが同方向に青空に向いていたら?
*
────さあ、私は行くよ!
早朝特有の、緑の息吹が私の全身をザザッと駆け抜けた。
すがすがしい大空に向けて、私は両腕を広げて大きく息を吸いこんだ。
うーん ( ´ー`)φ
なんだか最終回で終わりっぽくなったから終わってしまおうと思ったけど、これではストーリーに重みもなく背後がモヤモヤ過ぎるからまだ続く‥‥しかないのかな _φ(゜Д゜ )




