17 そういえばスマートウォッチ
「暮科先輩こそ、どうしてこんなところにいたんですか? 僕は驚きましたよ。こんな田舎に出向していたなんて。ここはどこなんですか? 何か僕たちが知らないところで何か仕出かして、顧客の別荘の管理人に左遷されたんですか?」
「天川。しっかりしてよ。ここが私の出向先のわけがないでしょ? 私だって気がついたらここにいたのよ。状況はあんたと変わりはないよ」
「暮科先輩も・・・?」
「記憶では、私は消えた前の夜の帰宅後に玄関で倒れたのよ。仕事で疲れ切って家にたどり着いて、玄関に入った途端に。目が覚めて気づいたらそのままの格好でここにいたのよ」
「倒れたんですか? 暮科先輩はご自慢のスマートウォッチで体調管理してたじゃないですか」
そういえば・・・腕につけてたスマートウォッチが消えてる。今更思い出すなんて。
あれは昨年の暮れ、ホールを貸し切って行われた会社の忘年会のビンゴの景品は、プレミアのスマートウォッチだった。我が社の筆頭株主のテック企業が自社製品を提供してくれたとか。私もビンゴして頂いたの。私は売買アプリで売らずにありがたく使っていたのよ。
────もしか・・・スマートウォッチに仕込まれたバックドアにて、私が倒れたことがどこかに直ぐに知れてここに運ばれて?
っていうか、私の日々の健康情報がどこにお知らせされてたかがヒントよね。
当然ながらタダでくれたテック企業が仕込んだ線が濃厚じゃない? それに実行部隊には身近な人もいるはずだわ・・・
そういえば、こんな高価なものをゲームの景品として結構な人数にタダでくれるなんておかしい。個人の健康情報を集めていたのかも? それが私にとって良かったのか悪かったのかは微妙なとこだけど。
もしかしてこのハイテク世界と関連があるんじゃない? 天川に思わぬヒントをもらって閃いた。
「・・・先輩、難しい顔をしてますけど大丈夫ですか? 思い出して辛かったとか?」
「あ、 うん。なんでもない。ねえ、私たちの会社の株主にAIの新興企業がいたわよね。なんてとこだっけ? わかる?」
「えっと、「ネオ・ノーブル・キンドルAI」略してNNKAIです」
「NNK!! やっぱり関連があるのね!」
「・・・あの?」
「まずはこれを読んでみて」
私は2枚のNNKデストロイ管理組合からのお手紙を天川に見せ、これまでの経緯と今思いついた推測を聞かせたのだった。
そして天川が言った言葉は───
「すみません。僕にはほとんど意味が不明です。もしかして、イバラの壁というのを壊さないとここから出られないってことですか? なら僕は当分このままでいいです」
────は???




