アレックスの日記 ―本音編―
□月×日 曇り一時雨
この間のカーリンには参った。
せっかく誕生日を祝おうとホテルまで手配したのに、目を離した隙に泥酔状態となって朝を迎える。
いきなり「抱かせてくれ」と言って戸惑ったのだろうが、ビンテージワインをがぶ飲みすることはないだろう。
いや、カーリンなら大いに有り得るか。
取り敢えず部屋へ連れてきたものの、ヘラヘラと笑ってぐったりしている。
ベッドへ寝かした際にスカートが捲れて、すらりとした脚が目のやり場に困ってそっと裾を戻してやった。
酔った彼女が「しょーさ」だの「きょーかん」だの肩書で呼ぶので、この際だと名前で呼ぶよう促すと
「アレックス♡」
これには心臓が止まるかと思った。実際、瞬間的に止まったかも知れない。
当然ながらカーリンはまったく覚えていないのは惜しいところだ。もっとも覚えていたら絶叫して部屋中を駆け回るだろうが。
ソファに寝るかベッドの端で寝るか悩んでいたらカーリンに引き寄せられた。酔った人間は時に馬鹿力を発揮するらしく、握った腕を振りほどこうにもなかなか放してくれない。
結局、幸せそうに眠る彼女に添い寝して夜を明かす羽目となった。
細い腰、スカートからはだけた美脚、押しつける胸の膨らみ。
おまけに抱き枕と勘違いしているのか足を絡めてくる始末だ。
まさに蛇の生殺し状態に、一体、なんの罰ゲームかと恨めしく思うほどである。
俺も健全な一般男性なんだから限界がある。頼むから早く朝になってくれと願わずにはいられなかった。
こんなに俺を苦しませたのだから、次は覚悟しろよ。カーリン=リヒター・ド・ランジェニエール!!
パソコンで日記を書く者が多いなか、アレックスは手書きにこだわる。
そして、彼の日記が他人の目に触れても読めることはない。
何故なら、乱筆かつ癖が強く解読不能だから。
彼が意図したわけではないが結果往来と言うべきか




