105/196
春の歌見て 5
予選敗退なんて、そんなの絶対に嫌だから。優勝は無理だと思うけど、目指すだけはしたい。なんにしても、本選に進むくらいはしたいんだ。それだってそんなに簡単なことではないけれど、悔しいもん。
歌を知ってくれている人なんてきっと殆んどいない。その意味では、ソロパートでのミスは誤魔化せば何とかなる。そんな微妙な励まし方をして、私は緊張を振り払う。
「本当の気持ち君にあげる♠ honey splash剣野真琴だ」
忘れることなく、台詞だってきちんということが出来た。歌は散々練習したからともかく、台詞は緊張で飛ばないか心配だったんだよな。
ステージを降りて、私はホッと一息吐く。何も覚えてはいないけれど、今までで最高の歌を届けられたとは思う。これで負けたとしても、それは今の私たちの実力だ。経験不足としか言いようがないだろう。




