リラ・ペンシル③
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禁書庫内のルール
その1、館内を綺麗に保つこと。館内におけるあらゆる殺傷行為を禁ずる。
その2、禁書・及び禁書庫に関する如何なる情報も外部へと持ち出せない。
その3、不必要な魔法の使用を禁ずる。眠っている禁書を起こすべからず。
その4、読んだ本はもとの場所へ戻すこと。
その5、書物・及び備品を乱暴に扱わないこと。
その6、以上のルールを遵守すること。ルールを破る者は、禁書庫の番人がそれらの行為を許さない。
その7、みんな仲良く本を読みましょう。
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禁書庫内でのルールをオビとサチから聞かされたリラは、その内容を反芻し思い出す。
先程、私は掃除をしようと安易に魔法を使用した。そしてその魔法発動がルールその3に抵触したから、書庫内で強風が吹き荒れたのではないかと。
リラの推測は当たっていた。
そして先のキュティの禁書庫内での行いも、ルールに抵触したから起きた摩訶不思議現象であった。
まず館内での魔法の発動はルールその3に抵触。更に苛立ちをぶつけようと本棚に蹴りかかろうとした行為はルールその5に抵触する。
キュティのこれらの行いは禁書庫内のルールに抵触し、禁書庫の番人がそれらを許さなかった。
故に禁書庫の番人は報復し、キュティは禁書庫内の記憶ごと消され、ルールその2が必然と発動したのだ。
ふむふむと解説を聞きながら、一つ一つのルールを確認していく。
ルールをうっかり破って、間違って禁書庫を出禁にでもなったら……想像したくも無いが、リラにはもう〝退職〟という道しか残されていないのだから。
「でもね〜、実はルール、これだけじゃないんだよ〜〜?」
ちなみに、ルールには明記されていない〝裏ルール〟があるという。
禁書庫の番人は意思があり、気難しい性格をしているが反面、面白いことが大好きである。
禁書庫へは滅多に新しい人間が訪れることが無いため、時に禁書庫は新鮮さを求めているのだ。
故に、
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禁書庫内の裏ルール
※禁書庫の番人が許した人間はお咎めなしとする。
面白い人間は、大歓迎。
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「なんじゃそりゃっ!」
リラは思わず叫んでしまいそうになるが、ルールを聞いた後なので語尾を萎めて声量を途中で落とした。
オビとサチもうんうんと頷いているが、
「でも仕方ないよね。ルールだし」
といった悟った顔をしていた。
二人にとってこれらのルールはもう当たり前になっているのだろう。
まぁ、郷に入れば郷に従え。と言うものね。
慣れようではないか!
さて、それよりも今のルールを聞いて、リラには思うところがあった。
「オビ先輩は禁書庫の担当になって7年目なのよね?」
「そうだよぉ〜。大抵の質問なら答えてあげられる位には、先輩だからねぇ〜」
「じゃあ……私にとって最も大事な質問があります……!」
リラは無意識に佇まいを直し、真剣な声音で答える。
オビの目を曇りないキラキラとした目で見つめ、期待を露わにするリラ。
「ん?何でもどうぞ?……ちなみに〜、俺は恋人いないよ〜!良ければ今度お茶でも……」
「そんなどうでもいい内容じゃないわ」
オビの言葉は遮るように、ピシャッと否定された。
「ガーン。俺、ショック……(メソメソ)」
「オビ……話が進まないじゃない。で?リラは何が聞きたいの?」
サチが言葉を引き継ぐ。
何だかサチ、頼りになるなぁ〜。
何だか二人の関係性が見えて来た気がする。
最初はサチがオビを頼りに甘えているように見えていたけれど……それは極度の人見知りを発動していただけで、実際はサチがお姉さんで、オビは手のかかる弟。
……みたいな立ち位置ではないかと。
「サチ、ありがとう。……私が聞きたかったのは、禁書庫内でも本を読めるのか。という事よ!」
「……禁書庫の本を読みたいの?」
「えぇ。それはものすごーーーく読みたいわ」
リラは前の担当で仕事を忘れるほど本に夢中になった。それも仕事を放棄で、解雇通知を受ける所までいったという前科がある。
次は無いと本人も思っているので(マック・レガー館長の影がチラつくし)、同じ過ちは繰り返さないが〝禁書〟という響きが読書欲を駆り立てている。
読めるのか、読めないのか。
それはリラにとっても最重要な確認であった。
「……結論から言うと、読めるわよ」
「…………(!!!!!!!!!!!)」
伝えるなり、リラは声にならない声で喜びを爆発させていた。
その場でクルクルと回ったり、小躍りを始めている。今にも飛んでいきそうなほどに、浮かれ立っているのが誰の目から見ても明らかな行動だ。
オビもサチもその様子を見て、リラを微笑ましく思った。二人で顔を見合わせてクスッと笑ってしまうほどに。
だが……禁書庫担当になったからには、〝先輩〟として最初に忠告をしておく必要がある。
二人は、真剣な表情で問う。
「……でもね、気をつけてほしいの。……ココは〝禁書庫〟だから」
「リラちゃんはそれでも、どうしても本を読みたい?」
二人の真剣な表情にリラも心を鎮め冷静になる。
二人はリラに問うている。〝禁書庫で働く覚悟〟があるのかと。
きっと楽な仕事ではないだろう。実際に、リラも〝禁書庫の洗礼〟は先程受けたばかりだ。
あれ以上に危険なことが起こると、二人は警告してくれている。
今なら引き返せると、そう伝えてくれている。
それでもこの身に溢れ出る〝読書欲〟には抗えない。
私はどうしても本が読みたい。
そこにまだ見ぬ本があるのならば……!!
「私は、それでも本を読みたいです……!!!!!」
私、リラ・ペンシルは、その為に生まれ変わったと言っても過言では無いのだから。




