第6話:私の契約精霊達なのに!?
落ち着いたら投稿した話を肉付けしたい気持ち。話の流れは変えずにね
◇
訓練場の地面に置いてあったショートソードとロングソードをそれぞれ左と右の手に持ち、軽く素振りをしているティアさん。何回か振った後、演舞の様に軽快に跳ねたり振ったりして首を傾げながら何度か同じ動きをしている。
「舞台上でやる演舞なら良い動きではあるな」
「えぇ。何か儀式で行われる奉納の舞みたいだわ」
「でも、まだ、しっくり、してないみたい」
「元々合わなくて止めたらしいからな双剣。その子が言うには長さが合ってなかったらしいが…」
「…長さ?それだけで変わるものじゃないでしょう。魔法だって杖が良い物でも実力が無ければ暴走します。それくらい自分用の武器は拘りが必要です。それを長さだけの変化なんて…」
「あっ、でも見てよ。どんどん動きが良くなっていく。それに風を斬る音が出始めてるわ」
「…流石は元エルフ族の戦士だ」
「エルフぞくの、せんしだと、すごいの?」
「エルフ族って長命種、長生きする種族だから武道とか何かしら極めてる人が多いのよ。だから数が少なくても他の国の軍隊とやりあえるの」
「しかもアイツは戦士長の娘だ。…森を出ているが俺達と出会った時ですら人間の寿命の2、3倍以上生きていたし森を出るまで毎日訓練していたらしい」
「そうは見せないけど、努力家なのよ。あの子。だから…」
「あってると、いいね」
「そうだな…。……ってお前が言ったことだろう?」
「だって、これがなんなのか、わかってないもん」
「こんな時だけ子供みたいなこと言いやがって!」
「子供でしょ?…子供よね?」
「「え?」どういうことですか?」
「あー、まぁ後で伝えることだしいいか?」
俺は閣下を見ながら頷く。
「前世の記憶があるらしい」
「「えっ?」ということは…」
「詳しい話は後にするがヴァネッサが聞きたいことは違うだろう?」
「えぇ。……中身はオジサンなの?」
「「「「「「………」」」」」」
ち、沈黙が、重い。この空気、重いっ!!
「おもいだせる、きおくだと、…、めがねの、おにいちゃん、くらい?」
「「「「「……」」」」」
「う、う〜ん。微妙な線ね」
「そう?見たい目が子供だし、可愛い子供でいいじゃないですか!」
「…ふっ。確かにレベッカの言う通りね♪」
「ちなみにだけど」
「…何かしら?」
「いじられた、せいなのか、うーん、そう。えほんをよんで、それがあなたが、すごした、じんせいですよ、っていわれた、かんじ?そうなの?みたいな?」
「「「「「……あー。…ん〜?」」」」」
「あっ。うちこみ、はじめる、みたい」
俺の言葉で周りにいた全員が訓練場の中心に視線を送った。
ちゃんと稽古の様にやっているみたいでティアさんがどう振るかアレクさんに伝えてから動き、アレクさんも頷きながら盾を使って受け流してる。
ティアさんはある程度振ったらこちらに走ってきて嬉しそうに「以前よりも全然振りやすい!!凄い!!もっと試してくるー!!」と言うだけ言って戻っていった。
戻った後ティアさんは「それじゃあドンドン速くしていくわね!」と言いながら振り始めていた。それに対して「もう振ってるじゃないですか」と軽く抗議をしつつ上手く受け流していく。しかし徐々に異変が起き始める。
「…なんか、お兄様が受け流しきれてない様に見えるんですが?」
「え、えぇ。盾にぶつかる音が増えてます、ね?」
「いや、受け流すとその勢いを更に上乗せした剣が来るから適度に止めているんだ」
「…それでも止まらずに舞うように動き続けてるわ。あんな戦い方見たことない…」
「ふふん。さすが、ティアさん」
「なんでお前さんが自慢してんだ」
「あっ。距離をとったわ」
「じゃあ実戦形式でいくよー!ポーションあるから打撲くらいならさせて良いからー!」
「…はぁ。分かりましたよ。守ってばかりでそろそろ飽きてきたところです。…それでは。行きますっ!!」
凄い!あんなに重そうな装備をしているのに速い!盾を前に構えてそのままぶつかるつもりだ!それに対してティアさんは…。
「ちょっとティア!避けないと危ないわよ!」
「いや。あれで、あってる」
「…あれがお前さんの悪巧みか」
「うん。せいこうしたら、すごいよ?」
俺のその言葉を聞いて全員が黙ってティアさんを見つめた。彼女の姿勢は、…クラウチングスタートだ。何か小声で話したと思った次の瞬間。いなくなった。と思ったら大きく鉄のぶつかり合う、いや、壊れる音だ。ティアさんが持っていた右手のロングソードが刀身の真ん中で折れていた!しかしアレクさんの盾が腕ごと大きく上がって、いや、身体ごと浮いている!!
「クソッ!!」
「なんだと!?」「うそっ!?」「まさか…」「えー!?」
誰もが驚く中。ティアさんはカチ上げた姿勢から勢いを殺さず空中で回転し、アレクさんの上に着地しながら左手に持った短い方の剣を逆手にして胸に刺す動きをした瞬間、地面に2人で落ちた。
アレクさんの首の横で地面に刺さっているショートソード。誰が見ても勝敗は明らかだ。
「あ、アレクに勝ったー!!」
武器を手放してジャンプしながら喜びながらこちらに走ってきてヴァネッサ夫人から俺を奪い取る様にして強く抱きしめてくるティアさん。
「よ、よかったね。ティアさん、い、いたい」
「あっ!ごめんね!嬉しくてギュッとしちゃった!!」
「最後のは何だったんだ?変な姿勢をしたと思ったら消えた様に見えました」
乱れた髪や鎧についた土を手で払いながら近づいてきたアレクさん。その顔はとても悔しそうだ。
「あれはね!…ふふんっ♪な〜い〜しょっ♪」
「ぐっ!確かに自分の技をペラペラと話すわけないか…。しかし本当にやられるとは思わなかったぞ?」
「でもあれ、せいれいの、ちからつかったから、そうけんは、まだまだ、れんしゅう、ひつよう」
「「「「精霊の力?」」」」
「…風の精霊か」
「ふふふっ、ひみつ」
「…かぁー!分かった!降参だ。教えてくれ」
「だってよ、ティアさん」
「しょうがないな〜♪あれは風の精霊にブーストしてもらって速さを上げたのよ!」
「でも昔同じことしたら制御出来ないって言ってたじゃない?」
「だから制御しなかったよ!」
「…どういうこと?うん。私も降参するわ。だから教えてちょうだい?」
「あれはね、かぜのせいれいさんが、はやくなるみちを、つくってくれたの」
イメージは空港とかである横移動のエスカレーターだ。
「その道を光の精霊に光で示してもらってその上だけを途中まで乗せてもらう感じで風に乗ったのよ!凄いでしょ!」
「…あー、確かに言われてみれば地面がほんの少し明るかった気がするな?」
「こっちからは分からなかったわよ?」
「私が知覚出来る程度で充分だからね!」
「でも、けんをふりあげる、タイミング、とかはティアさんの、じつりょく。しっぱいしてたら、かおからたてに、ぶつかってた」
「えっ!?危ないじゃない!!」
「そのために水の精霊はぶつかりそうになったら水をクッションにしてくれる準備をしてくれていたのよ!凄くない!?これ全部この子が考えたのよ!?」
「待った。それは確かに凄いがティア。昔、精霊魔法は1つずつしか使えなかったはずだろ?」
「そ、それは…」
「はいっ。こんかいだけ、おねがい、しましたっ」
「再現性は無いのね…」
「たぶんある、よ?」
「「「「「え?」」」」」「えー!?そうなの!?」
「何でティアが1番驚いてるのよ」
「ど、どうやったら複数の精霊を!?」
「ティアさん、いってたでしょ?ふくすうの、せいれいのちから、つかうひと、いたって」
「うん!いた!」
「そのひとは、とてもながいきしてたって」
「うん!そう!え?じゃあもっと生きたら使えるってこと?」
「ちがう。せいれいさんのそんざいが、あがるか、もっと、なかよくなるか」
「存在が上がる?大精霊とかってこと?それに仲良くなる?」
「せいれいさんたちの、すきなこと、きらいなこと、わかる?」
「え?水の精霊は綺麗な水がある場所。風の精霊は風の強いところ。光の精霊は光が当たるところじゃないの?」
「…せいれいさんたち。まちがってたら、かるく、ティアさんに、それぞれまほうを、つかって。あ、ひかりのせいれいさんは、とくによわめにね?」
俺がそう言うとティアさんは全身水塗れにされ少し仰け反るくらいの風を吹かれ瞼を辛うじて閉じるか閉じないかレベルの明るい光の玉が現れた。「ありがとう」と言うと今度は俺に微風と小さい水の玉と光の玉が目の前に現れた。それを見て笑っていると地面に両手と両膝を着いて項垂れたティアさん。
「そ、そういうものだと教わっていたのに…」
「せいれいさんたちも、それぞれ、こせいがあるんでしょ?だから、すきなものも、きらいなものも、このみがあるかなって、おもった」
「な、なるほど。言われてみれば確かに…。……うん?思った?」
「うん。おもった」
「知ってて言ったのではない、のか?」
「ううん、しらない。せいれいさん、みたことないもん」
「えぇーーーー!!!?」
「想像で話していた、のか?お前さんは?」
「うん。でもさっき、ちゃんと、ティアさんに、きいてから、かんがえた」
「…子供の発想力には驚くことは多々あったけれど、あなた。これ、普通に精霊学の学者達が知りたいことなんじゃない?」
「後で書状を…、いや、残念だがこの子の情報は出来るだけ漏らしたくない。今はまだ知らせないでおく。」
「というか!普通にあなたの言うこと聞いてたわよね!?私の契約精霊達なのに!?」
「ふしぎだねー?」
「不思議だねー♪じゃないわよー!!」
ティアさんの虚しい叫びが訓練場に響き渡った後、俺の腹が限界を迎えた様でティアさんに負けないくらいの腹の音が鳴ったので食事をすることになった。
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