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【仮】適性看破スキルで幸せになりたい ~魂がブサイクって何!?雑転生で殺されかける~  作者: ファンタジー世界に恋焼かれ


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第17話:まーっ!?りょーりちょー!たべてみて!

2話目まったり進行で投稿〜


 料理長がランタンを片手に先導して降りていく。階段の途中でティアさんが辺りを照らすための光の玉を列の真ん中と最後尾に浮遊させてみんなの視界を保つ。


 階段を降りながら欲しい食材は特徴と共に伝えた。えのき、長ネギ、豆腐、シラタキ、白菜、生で食べれる卵。この辺りがあると嬉しいと。結局豆腐とシラタキと生卵は無かったが問題ない。他の食材、特にお肉と白菜があれらそれっぽくなるはずだから。


 後ろから着いて来ていた他の料理人が先に必要な野菜を持って切りに戻り俺達は肉の選定へ。肉の種類や部位によって食感が変わるので見てほしいと言われたが俺も分からないんだよなぁと内心思いながらもすき焼きの肉に似てる物は無いかとじっくり見始めたら文字が浮かんできた。



 ミノタウルス牛:すき焼き適性B

 万能と呼ばれるミノタウルス牛。薄く切れば目的に合うだろう。



 …肉の適性まで分かるんかい。思わず内心ツッコんでいるとティアさんに声を小さくして周りに聞こえないように声をかけられた。



 「リヒト、どうしたの?」


 「…このミノタウルスぎゅうのすきやきのにくてきせいがみえた」


 「え"?そ、そんなものまで分かったの?」


 「うん。でもこれでおいしいおにくでたべられるね!レベッカさん、じゅんばんにみせて〜」


 「分かったわ!」



 結局、他の肉は「好みによる」とか「美味しいがミノタウルス牛程ではない」とかだったのでミノタウルス牛だけ持って調理場に戻った。戻ると既に野菜は切り終わっていた。


 ミノタウルス牛をかなり薄めに、ステーキの感覚を捨てるくらいの気持ちで切るように伝えると「そんなに薄く、ですか?」と怪訝そうな顔をされたがちゃんとイメージと同じように切ってくれた。


 次にざわめきが大きくなったのはすき焼きのタレの少なさである。小さめの鍋に1人前の具材を火が通りやすいように薄めに入れてもらい、タレを鍋の5分の1くらいだけと伝えるとみんなが口々に少なすぎると言い出したが「これでいーの!」と言うと口には出さなくなったが顔が「本当に?これだけ?嘘でしょ?絶対足りないでしょ?」と訴えてきた。ティアさんが。


 中火で煮込み始めて沸騰してきたタイミングで料理長に指示を出す。



 「りょーりちょー、ふっとうしてでてきたきえないあわをスプーンでとってすてて?」


 「え!?坊っちゃん!これが1番旨味が凝縮している部分じゃないですか!?」


 「そうなの?でもそれがにがみのげんいんだよ?」


 「「「えぇー!?」」」


 「まさかそんな…。この消えない泡を取るだけで苦味が消えるわけが…」


 「たべたらわかるよ。ほら!とってすてて〜」


 「は、はい」



 10分弱して灰汁も出なくなったのでミノタウルス牛を入れてもらいさっと色が変わる程度に茹でて火を止めてもらう。



 「この程度だとお腹を壊してしまいますよ?」


 「そうよリヒト!魚と違ってお肉は冷氷室に入れているとはいえ、時間が経ってるから…」


 「じゃあよわびでもうすこしだけにこもう。もちろんきえないあわをとってね?」


 「あぁ…。ミノタウルス牛の旨味が…」


 「でも良い匂いだわ〜」


 「本当♪こんな匂い嗅いだことがないわっ」



 少し悲しそうな顔をした料理長はそれでもしっかり灰汁を取って捨ててくれた。


 匂いに気づいたティアさんとレベッカの言葉に他のみんなも鼻を鳴らして匂いを嗅いだ。誰かは分からないがお腹の鳴る音や涎を啜る音が聞こえた。そうしてようやく完成したのだ。



 「クレアさん!まずはきのこ!」


 「は、はい。ふーっ。ふーっ。はいっどうぞ」


 「あーん。……うんうん!つぎははくさい!」


 「はい。ふーっ、ふーっ、ふーっ、どうぞ」


 「あーんっ。…うん!じゃあはいごにおにく!!」


 「リヒト、流石に肉は止めておいた方が…」


 「ティアさん?ぼくのおにくをよこどりしたらおこるよ?」


 「いや、しかし…」


 「まぁまぁティアさん。もしこれでお腹を痛めたら同じことはしないでしょう。先生も部屋にいますので」


 「う〜ん、心配だけれど分かったわ」


 「では、ふーっ、ふーっ。ふーっ、ふーっ。はいどうぞ」


 「あー、んっ…………うーっ」


 「どうしたリヒト!?」


 「やっぱりまだ火を通し足りなかったのでは!?」


 「まーっ!?りょーりちょー!たべてみて!」


 「そ、それほどですか?では失礼して…」



 厨房にいるみんなが料理長の一挙一動に視線を送っている。俺と同じ順番に食した。何も言わずにスプーンで食材を掬い、匂いを嗅ぎ、口に入れ、口を閉じる。目を見開き、舌で転がし、歯で噛み締め、瞼を閉じ、飲み込み、余韻を堪能し、次の食材でまた同じように繰り返す。


 何も言わずにただ食べ続ける料理長に感想が待ちきれないみんなは「どう?」「料理長?」と声をかけている。そしてミノタウルス牛を食べ終わり、余韻を楽しんだ後、頭に乗せていた帽子を脱いで胸に抱えて俺を抱いているレベッカさんに身体を向ける。



 「私が公爵家長女レベッカ様に調理場を任せられている立場で無ければ全て食べてしまいたいと思うくらい、そうして我慢しなければならないのが悲しいくらい、…美味しゅうございました」


 「そ、そこまで!?…ちょっとリヒトをお願い!」


 「あっ!ズルいわよレベッカ!ノーマ!任せた!」


 「…クレア、パス!」


 「ちょっとノーマ!?不敬よ!?それにレベッカ様にティア様まで!!」


 「美味いっ!美味いぞこれ!?」


 「これがただのミノタウルス牛!?嘘でしょ!?」


 「…美味しい。生きてて、良かった…」


 「いやはや。料理人として何十年も過ごしてきたのに消えない泡が凝縮された旨味という教えを疑いもせず、ずっと苦い料理をお嬢様方に出していたと思うと申し訳なく…」


 「でも今日知れたからあなたの料理はこれからはもっと美味しくなるわね!」


 「レベッカお嬢様…。まだ私に機会を与えてくださるのですか…?」


 「はむっ。当たり前じゃない!ウチの料理長はあなたよ!ゴクッ」


 「お嬢様っ!ありがとうございますっ!…坊っちゃん、いやっ、師匠!また何か試したい物があれば是非声をかけてください!」


 「ぼっちゃんでいいよー。またつくるときにてつだってね?」


 「はいっ!」


 「あっ!?ノーマ!!お肉ばっかり食べないでよ!?」


 「そうよ!!量が少ないんだから!?」


 「いくらレベッカお嬢様とティア様であろうとこの肉は渡さない」


 「ノーマ!?あなた何してるか分かってるの!?」


 「これを食べたらクレアもそんなこと言えない」


 「私はっ!パクッ。………美味しい」


 「でしょ?」


 「…美味しい。美味しいわぁ。……はっ!?美味しいのは分かったけどダメよノーマ!!」


 「ちっ、分からず屋。頑固」


 「なんですってぇー!?」


 「…とりあえずりょーりちょーさん。みんなの分をお願い」


 「はい♪皆さん、すぐに作りますからお待ちください!お前達も早く手伝ってくれ!」


 「早くね!!今日は私達の後に同じ物をあなた達の賄いで作って良いわよ!」


 「「「「さっすがレベッカ様!!」」」」



 お、おれのすき焼きが…。まぁあの感じだとすぐにまた出来るから良いか。こうして、レベッカさんのお屋敷に灰汁を取るという新しい常識が生まれたのだった。……うん?




 食いしん坊適性:ティアA・レベッカB・ノーマC(肉に関してのみA)




 …うん。そうだね。

実は先日すき焼きを食べたので…。美味しいですよね、すき焼き。

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