第12話:…あなた本当はドワーフ族やピクシー族だったりしない?
本日の投稿〜
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ガタゴトと整えられていない地面とスプリングの無い馬車の車体が揺れに合わせて中にいる4人を大きく揺らしている。慣れているみたいでそこまで気にしている様子は見受けられないがティアさんの腕の中にいる俺ですら激しく揺れていると感じた。
それに…、馬車内の空気が重い。3人共、何か言いたそうに何度もチラチラとティアさんに視線を向けている。助け舟を出すようにティアさんの腕の部分の服を軽く引っ張るとこちらを見てため息を吐いた。
「分かっているわ。人間なんて10年も会わなければ変わってしまうくらい。それでもあの2人が家のためにリヒトみたいな子供を利用する前提の話を目の前でしたのが許せなかったのよ…」
「いや、あれはウチの家族が酷かったので別に良いです。本当にごめんねリヒト、ウチの家族が無神経で…」
「ううん。ほんとうにきにしてない。それにレベッカさんはとめようとしてくれてた。だってすごいちからがあればためしたくなるのはみんなそうでしょ?むしろでてきたのがしんぱい」
「レベッカが門番に伝言を頼んで後で手紙を出すと伝えたでしょ?それが届くまでの間、頭を冷やしてればいいのよ」
「…正直、本当によかったです。嫌になって縁を切るなら私を同行させたり、距離をとる場所で私の領地に行くことを選ばないでしょうから。貴族としての考えを捨てることは出来ませんがそれ抜きにしても私はティアさんとの交友関係もリヒトみたいな弱ってる子供を放っておくことも出来ないもの」
「…頼っといてこうして出ていくのは私も不義理だとは思うわ。結局同じ家のレベッカを頼ってるし…。それでも、嫌だったのよ…」
「どちらかというと、ぼくよりティアさんとこうしゃくけのみんなのあたまをひやすかんじだね」
「うっ…。なんであなたはそんなに落ち着いているのよ?」
「え?うーん?つかえるものはつかうしゅぎだからかな?ろうじんでもこどもでもつかえるとはんだんできるちからがあるならたよったほうがよくない?」
「リヒト坊ちゃまは合理的なんですね」
「きほんはね?もちろんかんじょうめんもかんがえるよ?いやいやるよりもきぶんよくやるほうがさぎょうこうりつもせいしんてきにもいい」
「…なんか子供に窘められてる気がするわ」
「そんなことないよ。ぼくはそうしたいとおもってるだけだし、ぼくだってかんじょうてきにこうどうするよ。きょくろんだけど、ひとはどんなにとりつくろっていてもかんじょうてきでじこちゅうしんてきないきものだからね」
「それは…どうなんでしょうか?」
「たとえば、はいりょしなきゃいけないとかんじるから、そういうふんいきだから、ルールだから、ってまわりがげんいんっぽくかんじるけど、それにあわせてるのはじぶんでしょ?かどがたたないように、あらなみたてないように、けんかしないように、へんなちゅうもくしないようにって、ひがいをおさえたいかんじょうやじぶんをまもるためのこうどうでしょ?」
「客観的に自分のことを見ている、という主観的な考え。みたいな話しと同じ類ですかね?」
「そうそんなかんじ。おとなだからおちついてはなしましょうといってもおとなだってかんじょうてきにはなすひとはいるし、おとななんだったらかんじょうによりそったはなしかたをしましょうとか、おとこだから、おんなだから、きぞくだからとかね。けっきょくみんなじぶんのつごうのよいのみこみかたをおしつけてるだけっておもってる」
「リヒト様は、難しいことをお考えになられますね」
「ことばあそびみたいなものだけどね?」
「…あなた本当はドワーフ族やピクシー族だったりしない?」
「さぁ?でもそれもおもしろそうだね。まほうとかつかってみたいし」
「…悪い話だけど、あなたに魔力は一切感じないからたぶん使えないわ」
「あっ、やっぱり?」
「リヒトは落ち込まないんですね?子供が自分に魔法適性が無ければ落ち込んだり認めたくなくて暴れたりするものだけれど…」
「些か落ち着き過ぎかと思いますが…」
「うーん。けいいてきにわざとそういうふうにされててもおかしくないなって。むしろてきせいをみれるほうがおかしいとおもうけどたぶん…」
「最後の温かいものに包まれたって時ね。…もしかして唯一、でなくて……。いや、やめておきましょう。それよりあなた達は信じられそうだしちゃんとリヒトのこと伝えておきましょう?良いかしら?」
「うん」
改めてティアさんが俺がどのようにしてこの世界に来たか説明してくれた。時折訂正しながらも予想も入れつつ話し終えた。最初にティアさんに助けられるところは3人共少し顔が強張ってたので、ゆるい感じで相槌をしたら余計に顔を硬くさせてしまった。話終えるも「にしても」と馬車の中の雰囲気を変えるためか疑問をぶつけてきた。
「あなたは自分の元の状態のことを絵本の中の話しというけれど、さっきまでの話しを聞くとちゃんと自分のことと思ってそうよね?」
「うーん。たぶん、まざってきてるんだとおもう。ぼくのかんかくだとからだにひっぱられてこうどうしてるけど、かんがえはまえのままってかんじがするもん」
公爵家の皆が怖く感じてティアさんの胸の中に隠れるとかね?…今更だけどティアさん美人なのに感情豊かで可愛いんだよな。……照れる。
「…あら?どうしたの?熱でも出てきたかしら?」
「ちがう。あらためてティアさんのみためもよくて、てれちゃった」
「ふふん♪エルフの見た目は神に愛されているからと言われるくらいですからね!」
「クレアもせいそでかわいいし、ノーマもクールでびしん。レベッカさんもおおがたけんみたいでかわいい」
「え?私が可愛い?こんなに大きいのに怖くないの?」
「え?うん。だってレベッカさんぼくにきがいをあたえないどころかこわいおもいされないようにきをつけてそうだもん」
「っ!?わ、わかっちゃった?」
「ぼくのなかのイメージなんだけど、からだがおおきいじょせいってこわがられないようにするかふりきってわがみちをいくかに分かれてるいんしょうがある。もちろんぜんいんがそうってはなしじゃないよ?」
「「「あー」」」
「確かにレベッカは身体が大きいものね。でも私もあなたのことは可愛いと思ってたわよ?というか、あなた自身が可愛いものが好きでしょ?付き合いの短い私でも知ってるわ!」
「メイドの間でも爵位関係なく、気さくに我々に話しかけてくれて、人気です」
「はい。他家の使用人に話しを聞いたことがありますが、そのような扱いをしてくれる家は少ないので使用人はみんな感謝しています」
「そう、だったんだ」
「というか、公爵家の娘を大型犬みたいって表現されたことについては良いのかしら?」
「可愛いと言われたことが嬉しくて…。それにリヒトが名前の発表の時に言ってた事実よりも気持ちが大事って言ってたから悪い意味じゃないと分かってるし。この子難しい物言いはするけど、結構真っ直ぐでしょ?」
「確かに。男性は女性を素直に褒めるのを恥ずかしがるものね。…もしかしてリヒト、前は結構軟派だったの?」
「え?うーん。いや、はずかしがってたね。むしろぜんぜんそういうこといわなかった。たぶんからだにひっぱられてすなおになってるのかも?」
「お嬢様方。町が見えてきました」
ティアさんに抱えられながら一緒に窓の外を見ると港町のようだ。レベッカさんが治めているこっちの港町はどちらかと言うと交易ではなく漁業が盛んな町らしい。美味しい魚とかあるかな?
次回、一方その頃公爵家では…
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