第10話:次はアンナ。あなたが見てもらいなさいな
また長くなってしもうた
◇
「そういえばティアさん」
「んー?どうしたの?」
「なまえ、つけてほしい」
「…え?わ、たし、が?」
「うん。だめ?」
「ダメなことないけれど…。私でいいの?」
「ティアさんがいい。こうしゃくけのみんなもたすけてくれたけど、さいしょにたすけてくれたのはティアさんだもん」
「ん~、そうねぇ…。【リヒト】ってどうかな?」
「【リヒト】?」
「うん。どこの国か忘れたけど、光とか希望とか知識とか真実って言葉だった、はず。あの公爵家の光景もあなたという光に照らされて生み出されたのよ」
「…なんか、てれるね」
「ちょっとね。でも自分で言ってて良い名前だと思うわ!どうかしら…?」
「良いとおも…、う…。リヒト、りひと?…理人。そうか…」
「ど、どうしたの?」
「うん。僕の名前は【理人】だ」
「っ♪気に入ってくれて嬉しいわ♪じゃあリヒト!そろそろ混ぜてもらいにいきましょう!」
…部分的にだけど。取り返せたみたい。僕の名前は理人。苗字はまだ思い出せないけれど。確かに家族に、友人に、仕事先の人に、【理人】と呼ばれていた。
「いや~。すまんな気を使ってもらって。改めて、感謝する」
「良いのよ。それよりもこの子の名前なんだけど!」
「ずっと呼び名が無いのは気になっていたのよね」
「あぁ。どうしようかと思っていた。忘れているだけなら下手な名前を付けて後で混乱するのも良くないと思っていたんだが…」
「【理人】それがぼくのなまえだよ」
「思い出せたのか!?」
「いえ、私が付けました!どこかの国で光とか希望とか知識とか真実って言葉だった!はず!」
「ちょっとティア?大事な名前をそんなうる覚えの知識で付けちゃダメでしょ?」
「ううん。【理人】がいい。じっさいのいみじゃなくてつけてくれたひとのきもちが、だいじ」
「…うぇへへっ♪」
「変な声出してんじゃないわよまったく。…じゃあ改めて。…リヒトちゃん、よろしくね♪」
「「「「よろしく」」」!!」「「「「よろしくお願い申し上げます」」」」
「うん。みんなよろしくね」
「それで話は戻るがホーキンスの執事適性はなんて書いてあったんだ?」
「おおくてかききれてないみたい。でもぜんぶゆうしゅう。しつじとしてホーキンスいじょうのひとがいたらびっくりするレベル。ホーキンスでさえひとりでいえをまわせるちしきとぎじゅつがある。ホーキンスがこくどによるけど3にんくらいいたらくにのうんえいはばんじゃくにできるとおもう」
「そ、それ程か?」
「それほどとくべつだよ。ぼくのことばではひょうげんしきれないくらい、とてつもなくすごい。ホーキンスをこうぐうしないあるじは、ばかくそまぬけかす。しんだほうがいいレベル」
「そ、そこまで言うか…」
「ふふっ♪『真実』の言葉の意味を持つリヒトちゃんが言うならそうなのでしょうね♪私達はそうならないように気をつけましょう、ね?あなた?」
「もちろんだ。ここまで適性を正確に見抜いているのを見てリヒトの言葉を信じないのはそれこそバカクソマヌケカス、だからな!」
「それで結局ホーキンスの武器適性は何なの?」
「リヒト。もう一度見てくれないか?」
「わかった」
もう一度ホーキンスさんの目を見ていると浮かび上がった。
武器適性:ナイフC(限界値C)※衰えにより、他の技能はE 以下なので省略。
※備考:自身の手の指先から手首の間よりも短い長さの物を投げる才はむしろ鋭くなっているので、暗器の類がオススメ。その運用に限りBランク相当の強さになれる。
「お〜」
「その様子だと良いのが出たみたいだな?教えてくれ、リヒト」
「うん。ナイフがいちばんだけど、ほかのぶきてきせいはおとろえてさがってるみたい」
「そうですね。確かに昔に比べると取り回しにくさを感じています」
「…悪いことな気がするけど?」
「レベッカ。まだ続きがある、だろう?リヒト」
「うんアレクさん。ホーキンスのゆびさきからてくびのながさよりもみじかいものをなげるさいのうはむしろのびてるみたいだから、あんきとかがオススメでそのたたかいかたであればナイフでたたかうよりもうえのレベルでたたかえるって」
「…旦那様」
「言わんでも分かるぞ。行ってこい」
「ありがとうございます。それでは、少々失礼します」
アレクさんとクリスさんと同じように奥の扉の向こうから複数の小さいサイズの物を広場に広げ、手のひらに当てながら確認している。設置されている的に向かって投げて試しているみたいだ。
「次はアンナ。あなたが見てもらいなさいな」
「奥様。私は戦い等したことないので必要ないかと思いますが?」
「せっかくだし。それにホーキンスみたいな今までと違うものが見れるかもしれないわ」
「そっちの方が気になられてるんですね。分かりました。リヒト坊っちゃん。よろしくお願い致します」
側にいたアンナさんはそのまま膝をつく様に視線を合わせてくれる。アンナさんは細身で穏やかな笑顔が特徴の女性だ。どこか薄幸の未亡人の様に感じるのは何故だろうか?
お嫁さん適性:愛情A(限界値A)・炊事C(限界値C)・洗濯B(限界値B)・家事C(限界値C)・礼儀作法C(限界値C)・教育A(限界値A)・資産管理C(限界値C)・書類管理C(限界値C)・目利きC(限界値C)等
「お〜」
「何か見えたみたいね?リヒトちゃん、教えてくれるかしら?」
「うん。およめさんてきせいがでてきた」
「およめさん?」「てきせい?」
「さ、流石にこの年でお嫁さんなんて扱いされるのは少々、気恥ずかしいですね」
「でもすごいよ?ホーキンスはへいきんてきにたかい。アンナはホーキンスのじょうげにブレはあるけど、おなじくらいゆうしゅう。こうぐうしないとだめ。アンナのだんなさんはしあわせもの。だいじにしないとおばか」
「ふふっ♪ですってよ?アンナ」
「おーい!ホーキンス!リヒトがアンナを大事にしないとおバカだってよ!!」
「ってことは、ふたりはふうふ?」
「えぇ♪」
「はい…。ホーキンスは私の主人でございます…」
アンナさんが少し照れていると閣下に呼ばれたホーキンスさんが戻ってきて話を聞いて少し照れていた。
「ちゃんとふたりはなかよし?」
「「…はい」」
「ふたりのじかんはある?」
「毎日仕事終わりに話したりしておりますよ」
「夕食も食べれる時は一緒に食べています」
「…おでかけは?」
「「……」」
「かっか、ヴァネッサふじん」
「おう?」「はい?」
「ふたりのこと、だいじにしないと、だめっていった」
「…あー、そうだな。うん。その通りだ。良いかヴァネッサ?」
「えぇ。もっと早くするべきだったわね。ごめんなさい、アンナ。ホーキンス。私達はあなた達に甘えていたわ」
「そんな!謝らないでください!公爵家の皆様によくしていただいてるおかげで我々は住む場所や食べることに困らず、子宝にも恵まれて幸せの日々を過ごしているのですから!」
「その通りです。お給金もしっかりいただいておりますし我が子達にも良い教育を受けさせていただいております」
「いや!決めたぞ俺は!お前達2人の大切さをより実感するために、そうだな…。よし。明日から3日間、休みを与える」
「お給金とは別にボーナスを与えるからしっかり休みながら2人の時間を楽しんでね?」
「そ、そんな!そこまでしてもらうわけには!」「そうです。我々は当然のことをしているだけですから」
「受け取ってちょうだい?じゃないとウチの新しい家族が納得出来ないみたいだし♪ね?あなた♪」
「あぁ。可愛い我儘じゃないか。勿論、休んだ後はまたしっかり働いてもらうつもりだ。頼むぞ?」
「ちなみにかっかたちはちゃんとやすんでる?」
「俺達は公爵家当主夫妻だしな。休んでる暇は…」
「あっ、あなた?リヒトが…」
「ふたりも、やすまなきゃ、だめ」
「いや、しかしだな…」
「リヒト坊っちゃん。私には家を1人で回す能力があるんですよね?」
「うん。…っ!アンナもいっしょならすうじつくらいよゆうだろうね!」
「っ♪えぇ♪リヒト坊っちゃんの可愛い我儘。ですよね夫人?」
「…ふふっ♪これは逃げられないわね?あなた♪」
「分かった分かった!ホーキンスとアンナの休みの後にちゃんと休暇を作る!これでいいだろう!?」
「ほかのみんなも!」
「分かった分かった!こうなったらヤケだ!全員に順番にはなるが休暇を与える!働きを応じてにはなるが少しボーナスを出す!これでいいんだろう?」
「うん。ありがとう、かっか」
「まさか初めての我儘が私達みんなの休暇とはね♪でもありがとう。みんなのことを考えてくれて♪」
「あぁ。言われなかったら確かに休暇を出すこと等考えなかったからな」
「せいかつのためにはたらくのとてもだいじ。でもよゆうができてきたら、やすまないとだめ。つかれちゃう。やすんだらまたがんばれる。きもちてきにもだいじなこと」
「なんとなく分かるわ。依頼を毎日していたら精神的に疲れちゃって思わぬ怪我を負ったことがあったわ。それからは疲れを感じたら休み始めたんだけど、それ以降はそういう失敗がかなり減ったのよね」
「ひとによるけど、ずっとがんばるのはそこそこのごはんをたべつづけてせいかつしている、みたいなかんじ。たまにはおいしいものやごうかなものたべてリフレッシュしたほうががんばれる」
「「「「「あー」」」」」
「確かに遠征している時は大変で食事も非常食が多いから拠点に帰ったら美味しいのが食べたくなるな」
「そう。そういうこと。せんそうとかもいきてかえったらおいしいごはんがたべれるってきもちでかえってこれるひともいる。なにもかもぜつぼうてきだといきるきりょくがなくなって、ぜんりょくでたたかえないかもしれない。『腹が減っては戦はできぬ』ということばもあるくらい」
「…内政官としては遠征軍の食費を考えたら悩ましい提案ですけどね」
「でもたたかってるひとたちはいのちをかけてる。できるかぎりのことはしてあげたほうがしきがあがる。ぜんいんじゃなくてもがんばったぶたいにはいいごはんとか。でもいつもおなじぶたいがかってたり、けんりょくがたかいひとたちだけがよいおもいをするのはだめ。はんこうしんがうまれるから」
「なるほど。実際に階級差があるのは致し方ないことだが上から下まで一丸となって張り切るきっかけになるかもしれないな」
「けんりょくをたてにえらそうなひとがいるときはだめ」
「部下に無理させたり八つ当たりする可能性があるから。でしょ!?」
「ティアさん、せいかい」
「ふむ。丁度数日後に盗賊討伐があったな?アレク、やれそうなメンバーか?」
「はい。我が家の騎士団にはそのような者達はいないはずですが。今度の討伐隊にはそういうことを楽しんでやれそうなタイプが多いので有りかと」
「なら試してみるか」
「もしさいごまてかてないぶたいがいたらつうじょうよりもすくなめでおいしいごはんをさいごにすこしたべさせてある。そうしたらえんせいちゅうにこんなにおいしいごはんがたべれるならくんれんがんばる。ってなるかも」
「なるほど。訓練にやる気を出させる理由にもなるのか」
「あと、みかたのぼうがいはぐんぽうでもなんでもいいからきんし。あしのひっぱりあいでそもそものもくてきをはたせないのはいちばんだめ」
「そうだな。その通りだ。あくまで上手くやるうえでの話だな」
「問題は遠征中にどうやって美味しいご飯を用意するかよねぇ?」
「そこなんだよなぁ〜。冒険者やってる少人数の時ですら難しい問題なんだよなぁ〜」
「遠征軍に便乗してついてくる商人もいますが割高に請求してきますからね彼らは」
「「「「うーん」」」」
意図的に主人公のセリフはひらがなとカタカナのみにしていましたがここではわざと感じを入れている部分があります。
良ければリアクションだけでもお願いします




