外伝2 【輪廻】ヤバい転生者ホイホイの街に行ってみた
【リザレ視点】
地下迷宮「ユリカゴ」での平穏なおやつタイム。
私はオハナ(古竜)の背中にもたれかかり、アスカが淹れてくれた紅茶を飲んでいた。
バシッ!!
「……っ!」
唐突に、虚空から「業務日誌」が飛び出し、私の膝の上に落ちた。
ページが勝手にめくれ、見えないペンが猛烈な筆圧で文字を刻む。
『――オルトゥーラの東、帝国ゼーデンの果てにある田舎町ハルデン。そこが最近、妙に「面白い(カオス)」らしい。視察してこい』
「はぁ!?」
私は頭を抱えた。
上司(デヒメル様)の無茶振りだ。平和なおやつタイムを邪魔するなんて、神様とはいえ許せない。
「ど、どうしたんですかリザレさん!?」
「……上司のパシリ。アスカ、一緒に行く?」
「行きます!異世界探訪、動画のネタになりますし!」
アスカは即答した。最近の彼女は、完全に配信者の顔になっている。
私たちはゲートをくぐり、指定された「田舎町ハルデン」へと向かった。
◆ ◆
ハルデンは、のどかで何もない辺境の町だった。
オルトゥーラのような活気はないが、妙な緊張感が漂っている。
「なんか、ピリピリしてますね……」
「この町、二つの貴族がずっと対立してるらしいよ。まあ、私たちには関係ないけど」
のんびり歩いていると、前方から奇妙な男が歩いてきた。
やたらと姿勢を斜めに構え、片目を前髪で隠している。
「フッ……見ない顔だな。俺の『深淵の魔眼』が、お前たちの特異なオーラを捉えたぞ」
「……は?」
私は素で怪訝な顔をした。
「俺は『漆黒の堕天使』。かつて神殺しを成し遂げた男だ。お前たち、俺の『パーティー』に入れてやってもいいぞ?光栄に思え」
「…………」
私は無言でアスカを見た。アスカも目を丸くしている。
「ねえアスカ、この人何言ってるの?脳の病気?」
「え、えーと……」
アスカは焦りながら男を観察する。
「あの、もしかして……『ステータス・オープン』とか言います?」
「フッ、当然だ。俺のステータスは全て『SSS(多分)』。いずれこの世界を裏から支配する存在だからな」
「……リザレさん」
アスカが私の耳元でヒソヒソと囁く。
「この人、多分『転生者』です。しかも、地球でよくあるラノベの読みすぎで、自分を主人公だと勘違いしてる『痛い』タイプかと」
「てんせいしゃ?痛い?」
「はい。さっき『神殺し』とか言ってましたけど、手にはマメ一つないし、足元もおぼつかない。ただの一般人が、異世界に来て急にイキってるだけだと思います」
アスカの分析に、私は感心した。
「なるほど。ただの痛い人か」
「おい!そこの銀髪!なにをヒソヒソ話している!俺の圧倒的なカリスマに恐れおののいたか!」
私は面倒くさくなって、指先をピンと弾いた。
デコピン(極小出力)。
パァン!
「はぶぇッ!?」
男は綺麗な放物線を描いて、近くのゴミ捨て場に突っ込んだ。
「……さて、業務日誌書かなきゃ」
私は羊皮紙を取り出した。
「えっと、『痛い人がいた』……これでいいかな?」
「リザレさん!それだとデヒメル様に筆圧MAXで怒られます!」
アスカが慌てて業務日誌を覗き込む。
「私に書かせてください!配信者として、こういう『痛い人』の生態考察は得意なんです!」
「おお。助かる」
アスカは羊皮紙に、ズラズラと詳細な考察を書き始めた。
『ハルデンにおける特異な転生者の生態について:自己愛の肥大化、現実逃避の傾向、および周囲との圧倒的な温度差……』
「アスカ、文才あるね。助かった」
「えへへ。でも、この町……こういう『痛い転生者』がやたらと吸い寄せられてくるみたいですね。まるでホイホイみたい」
「へえ。……まあ、私が管理するダンジョンじゃないし、どうでもいいや」
私たちは、ゴミ捨て場でピクピク動く『漆黒の堕天使』を放置して、美味しいと噂の『黒猫軒』の『蒸し鶏とハーブのサラダ』を食べに、お店を探した。
【アスカからの特別なお知らせ!】
はいはーい!配信者のアスカです!
皆さーん、今回私たちが視察に行った『ハルデン』という町、実はとんでもなくカオスな場所だったんです!
なんと、地球からやってきた『痛い勘違い転生者』たちが、次々とこの町に吸い寄せられ、そして秒で自滅していくらしいんですよ!
その様子を、ギルドの受付嬢さんとモブ冒険者さんが生暖かい目で見守る(?)という、最高に斜め上なコメディ小説がカクヨムで読めちゃいます!
タイトルはこちら!↓
『転生したら異世界だった件——勘違いした痛い転生者が秒で自滅する特異点ギルドの日常とモブ達の物語』
https://ncode.syosetu.com/n8141mb/
最初は『ざまぁ』なコメディかと思いきや……後半から一気に『流れが変わる』、ちょっと切なくて純愛なサスペンス展開が待ってます!
全11話でサクッと読めるので、絶対にオススメです!
『地下迷宮の管理者』を読んでくれた皆さんなら、このシュールな笑いとテンポの良さに絶対ハマるはず!ぜひぜひ、リンクから飛んでお気に入り登録をお願いしまーす!!」




