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ダンジョン管理者の私、迷惑系配信者をデコピン一発でBAN(物理)しただけなのに地球でバスってた件  作者: セキド烏雲


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第18話 【朗報】知性派ランカー、勝利を確信する

■岐阜県内:東海X-2ゲート前


 リザレが姿を現した瞬間、世界が凍りついた。


「うっさい」


 たった一言。

 だが、その声には、膨大な数の銃口による威圧など全く意に介さない、圧倒的な「格」があった。


 ゴクリ……。


 ウラマは、初めて体感した突き倒されるような威圧感に、乾いた唾を飲み込んだ。


(……これが、リザレ)


 彼女は、怒っていた。

 明らかに、怒っていた。

 だが、その怒りは「挑戦されたこと」ではなく、「うるさかったこと」に向けられているように見える。


「あぶないですよ!アクノシンがいるかも知れませんし!」


 リザレの背後から、アスカが叫びながら追ってきた。


「良いか、リリに近づく奴には容赦するな」


 さらに、黒装束の男たち――ザイル率いる黒の監視団が現れ、殺気を放ちながら周囲に目を光らせる。


 国防軍が、一斉に銃口を向ける。

 だが、リザレは気にも止めない。

 彼女は、手に握られた羊皮紙の束を確認した。

 新たな書き込みはない。


「……ふぅ」


 リザレは、少しだけ表情を緩めた。

 そして、ウラマを見た。


「あのさ、流石にうるさすぎ。怒られるの私だし、ほんと勘弁してほしい」


「怒られる?何を言っているのか分かりませんね」


 ウラマは、眼鏡をくいと動かした。

 その仕草が、リザレには鼻についた。


「それに、本当に出てくるとは思いませんでした」

「は?呼んだのオマエだよね。あの変な角笛まで吹いて」


 リザレは、露骨に不機嫌だった。


「貴方と勝負がしたかったので」

「……は?勝負?何するの?」

「ダンジョン踏破競争です」


 リザレは、辺りを見渡した。

 これだけの視線の中、眼の前の男は、まるで協奏曲の指揮者のように、あまねく感情をコントロールしているように見える。

 地球側では、実力と立場のある人物のようだ。


「ふぅん……」


 リザレは察した。

 これはチャンスだと。

 私の庭にたかろうとするハエ避けの。


「良いよ。でも、ここ(ユリカゴ)ではダメ。別のところで」


 ◆ ◆


(……え?いいの?)


 私は拍子抜けした。

 何故なら、苦労しておびき出した彼女が、自らダンジョン外での決闘を提案したからだ。


(管理者権限を、自分から放棄するようなものだぞ?!)


 私は内心、歓喜と混乱の渦に飲み込まれそうになったが、あくまでポーカーフェイスを崩さない。

 これだけの大衆が見ているのだ。私は常に「全てを予期していた知的なリーダー」でなければならない。


(これは、何かの罠か?いや、考えてもわからない。ここは素直に聞くのが吉か)


「……なぜですか?」

「怒られるから」


 リザレは、真顔で答えた。


「騒ぎすぎると、筆圧MAXで業務日誌に書かれるの。あれ、本当に怖いから」


「…………」


(……業務、日誌?)


 思考回路が一瞬停止した。

 業務日誌。日報。サラリーマン?いや、彼女はダンジョンボスだ。

 筆圧MAX?上司がいるのか?魔王か?


(いや待て、落ち着けウラマ。言葉通りに受け取るな)


 私は冷や汗が背中を伝うのを感じながら、必死に脳内検索をかける。


(そうだ。『業務日誌』とはメタファーだ。恐らく『アカシックレコード』や『システムログ』の類……。管理者が一定以上の力を振るうと、システムによる『罰則ペナルティ』が発生する。それを彼女なりの幼い語彙で『怒られる』と表現しているのだ!)


 繋がった。

 完璧な論理的推論だ。


「成る程。そういうことですか」


 私は余裕たっぷりに頷いてみせた。

 心の奥底では「意味不明だ」と叫びながらも、顔だけは「全て理解した」という聖人のような微笑みを浮かべる。


「だからさ、違うところないの?」


 彼女との決闘フィールド。それを決定してよい権限を、敵である私に委ねるというのか。


(……浅はかだ。力に溺れた者の典型か)


 私は、予てから想定している決戦の地を思い浮かべつつ、背後に控える政府、国防軍、警察官の大幹部たちを一瞥する。

 彼らもまた、私の判断を固唾を飲んで待っている。

 私は、眼鏡の位置を直し、勝利を確信する笑みを隠して告げた。


「いいでしょう。場所は――北陸S-1。そこで踏破競争を申し込もう」

「……いいよ。いつ?」


(二つ返事?!交渉すらなしか!)


 あまりの思考停止ぶりに、笑いがこみ上げてくるのを必死に堪える。

 罠を疑った自分が愚かだった。彼女は限りなく何も考えていない。自分の敗北ですら想像できていないのだ。


「では、2日後の正午」

「分かった。じゃあね。あ、あと、今度うるさくしたら許さないから」


 リザレは、そう言い残し、あっさりとゲートの中へ戻っていった。

 まるで、近所のコンビニから帰るような気軽さで。

 ゲートが閉じた瞬間、私は心の中でガッツポーズをした。


(勝った……!フィールドが変わる。もはや管理者権限などただの妄言。私の勝率は99.7%……いや、100%に確定した!)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【現在のダンジョン状況】


  ■人類到達領域

  第90階層:苔生した神殿(深層)※ただしツアー

  第50階層:密林地帯(中層)※正規アクノシン


 ■友好関係

 ・サクラモチ(E級ピュア・スライムLv65)

 ・オハナ(S級古竜Lv91)

 ・藍野アスカ(Cランク探索者、チャンネル登録者100万)

 ・ゴズ・ヴェン(C級よろず屋Lv30)

 ・ザイル・ヴェルンブラ(S級超越者Lv24)

 ・モフ(S級巨狼Lv89)

 ・北沢ケンタ(Eランク探索者)

 ・藤村ユウキ(Eランク探索者)

 ・にく(A級サイクロプスLv61)

 ・ユザメ(S級ラヴァドラゴンLv78)

 ・ベンリ(S級アラクネLv85)


 ■BAN対象(永久追放)

 ・狭間キョウヤ(Dランク探索者)

  罪状:スライムへの執拗な虐待

 ・臼井クロト(Bランク探索者)ほか4名

  罪状:冒険者達への陵虐


 ■BAN対象(装備ロスト)

 ・城嶋ジャック(Bランク探索者)ほか103名

  罪状:上司の機嫌を損ねたため


 ■BAN対象?(常闇の世界)

 ・獅子堂アクノシン・ヴォルコフ(Sランク探索者)

 

 ■管理者コメント

  癇に障る上から眼鏡

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 リザレ「上司が怖い(直球)」

 ウラマ「なるほど、システムペナルティの隠語か……!(深読み)」

 ウラマさんの完璧な論理的推論(大外れ)に笑ってしまった方は、 ★★で、彼の「勝利確信ガッツポーズ」を応援してあげてください! ★をただけると、ウラマの眼鏡がより一層輝きます(曇ります)。

 次回、管理者の移動手段。 転移? 飛翔? いいえ、「〇〇〇(指定席)」です。 お楽しみに!


★カクヨム様にて先行配信しております。

 https://kakuyomu.jp/works/822139843894075364

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