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ダンジョン管理者の私、迷惑系配信者をデコピン一発でBAN(物理)しただけなのに地球でバスってた件  作者: セキド烏雲


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17/30

第17話 【悲報】世界ランカーの宣戦布告がただの『騒音』だった件

 アクノシンの消失ロストから3日。


「えー、本日より、東海X-2の単独攻略を禁止することを決定いたしました。なお、今後はいわゆる『世界ランカー』に対し、レイド招集を行う方向で検討を加速いたします」


 総理大臣による政府発表が報じられる。


 そして、一般世論は、ウラマに対する「敵討ち」の声で溢れていた。


【視聴者の反応】


『ウラマ、何やってるんだ』

『アクノシンの仇を取れ』

『世界ランカーなら勝てるだろ』


 しかし、ネット世論では、アスカの地道な配信の影響もあり、リザレ推しの雰囲気が依然と大勢を占めていた。


【ネットの反応】


『管理ちゃん、普通におやつ作っていただけなんだが』

『↑マ?』

『アスカのチャンネル見てこいつhttps://www.tube.xxxxx』

『アクノシンが勝手に自爆しただけだろ』

『正義の執行者なんだよなぁ』

『揺るぎない管理ちゃん推し』


■東京都内:チーム「クロノスタ」作戦指揮室


 ウラマはあくまで冷静だった。


「……状況は最悪か」


 彼は、テレビの報道、一般世論、ネット世論を比較し、眼鏡を直しながら呟く。

 執務室のモニターには、アクノシン戦の映像が映っている。


「アクノシンほどの実力者が、帰還アイテムを使用する暇もなくロストした」


 ウラマは、映像を一時停止した。

 画面には、ザイルの姿が映っている。


「あの黒服の男。ドローンを一瞥しただけで破壊したように見えたが……」


 ウラマは、その映像をコマ送りする。


「私のスキル【不可視の刃】に近い、不可視の手刀を繰り出している。先日、アラクネと戦っていた時のこの男とは明らかに雰囲気が違う。この短期間に何があったのだ」


 彼が操作するマウスの手は震えていた。


「最強の守護者が現れてしまった。それに、リザレ本人はまだ姿すら見せていない」


 ウラマは、拳を握りしめた。


「アクノシンが勝てないのあらば、もはや私の戦闘技術では勝負にすらならない」


 彼は、戦略を練り直した。


「だが、私は勝たなければならない。ならば……勝ち筋はあるか」


 ウラマ独り呟きながら、ホワイトボードに図式を書き始めた。


「リザレは『管理者』。つまり、ダンジョン内では絶対的な権限を持つ」

「だが、その権限は『ダンジョン外』では無効のはず」

「そして、私の得意とするところ……それはRTA」

「ならば――」


 ウラマは、ニヤリと笑った。


「フィールドを変え、勝利条件をずらせば、或いは」


 だが、そこには大きな問題があった。


「問題は、どうやってリザレを『ダンジョン外』へ誘い出すか。災厄級の脅威を地上に呼び出すことに、世間は耐えられるかどうか」


 ウラマは、モニターを見つめた。

 画面には、世論の声が映っている。


『ウラマ、逃げるな』

『世界ランカーの誇りはないのか』

『アクノシンの仇を取れ』


「……なるほど」


 ウラマは、立ち上がった。


「世論は問題なさそうか。ならば利用するとしよう」


 ウラマは、眼鏡を直した。



■岐阜県内:東海X-2ゲート前


 ウラマは報道陣や配信者を集め、ゲート前に立った。


 同時接続数:500万人。日本を代表する世界ランカーの彼の言動に、全世界が注目している。


「皆さん、聞いてください」


 ウラマが、カメラに向かって語り始める。


「私は、アクノシン氏の仇を取るために、ここに来ました」


『おおおお』

『やっと動いた』

『ウラマ、頼むぞ』


「だが、私は無謀な突撃はしません」


 ウラマは、冷静に続ける。


「私は『理論』で戦う。そのために、リザレに『公平な決闘』を申し込みます」


『公平な決闘?』

『どういうこと?』


「つまり、こことは異なる、別のダンジョン内での勝負です」


 ウラマは、宣言した。


「リザレの実力は、管理者によるところが全て。彼女が本当に『強者』なら、管理者権限に頼らず、純粋な実力で勝負できるはずです」


『なるほど』

『別のダンジョンなら、管理者権限使えないもんな』

『地上被害も出ないし完璧』

『これは賢い』


 ウラマは、さらに続ける。


「そして、もしリザレがこの挑戦を拒否するなら――」


 彼は、カメラを真っ直ぐ見つめた。


「それは、彼女が『管理者権限』なしでは戦えない、臆病者だということです」


『おおおお』

『これは効く』

『リザレ、出てこざるを得ないだろ』


 ウラマは、完璧な布石を打った。

 そして、彼は最後の一手を放つ。


「それでは、リザレに宣戦布告をします」


 ウラマは、懐から奇妙なアーティファクトを取り出した。


『拡声の角笛メガホーン


 これは、ダンジョン内に音声を届けるための特殊なアーティファクト。

 ウラマは、それをゲートに向けて構えた。


『管理者リザレよ!私と勝負を――』


 プオオオオオオ!!


 角笛が、轟音を響かせた。



■地下迷宮「ユリカゴ」:第10階層・行商人のテント


 その頃リザレは、ゴズのテントの前で、アスカのチャンネルに出演し、この場所の平和をアピールする配信をしていた。


「今日は、どんな商品を入荷したんですか?」

「へい、これ、見てくだせぇ!!あの伝説の闇鍛冶、ビヴォールが叩き上げた黒剣!!切れ味はごらんの通り!!」


 ゴズは剣を振るって、目の前の野菜をあっという間に千切りにする。


「おぉ!殆ど触れただけで……凄い切れ味!!!」


『野菜が一瞬で腐った件』

『誰がテレビショッピングをやれとwww』

『ゴズ、胡散臭くてワロ』

『どうせ紛い物だろ』


「あはは!!ゴズ、信用ゼロじゃん!!」


 アスカのデバイスを眺め、視聴者の反応を見て楽しんでいるリザレ。


「この、凄まじい性能を持つ黒剣!!どうせ高いんでしょ!?」

「そう思いますかい?ところがどっこい!!通常、60金貨のところを……あねご特別価格!!30金貨で提供しやす!!」

「なんと!!半額!?皆さん!!これは凄いですよ!!あ、ちなみに金貨30枚というのは、円でいうと6,000万円の価値です!!いいなぁ……私も欲しい」


 ゴズとアスカの掛け合いは匠の領域へと達していた。


「高ッ!!ゴズ、どこにそんなお金あるのよ!?」


 リザレは、下っ端暗殺者だった前世の金銭感覚が抜けず、驚きを禁じ得ない様子。

 しかし、それより遥かに高価なアイテムを、ゴミを出すようにゴズに渡している自覚は未だに無いようだが……。


「いや……それはあねごが……」


 その時、サクラモチが、肩でぷるぷる震え始めた。


「ん、どうしたの?」


 直後。


 プオオオオオオ!!


「……ッ!?」


 耳をつんざく轟音が、ダンジョン全体に響き渡った。


「な、何!?」


 慌てて、遠視モニターを映し出し確認すると、画面には、ゲート前で角笛を吹く男の姿が映っている。


『管理者リザレよ!私と勝負しろ!』


 プフォオオオオオオ!!


「リザレさん!これって!!」


 アスカが取り乱す。


『別のダンジョンで、公平な勝負だ!』


 プフォッ、プフォオオオオオ!!


「あねご!!不味いことになってませんか!?」


 ゴズは慌てて商店を畳む準備を始める。


『もし拒否するなら、お前は臆病者だ!』


 プ、プフォォォオオオ、プフ!!


 一気に血の気が引いていく。


「うるさっ!ヤバ!この音は流石にやばい!!」


 だが、角笛は止まらない。


『私がアクノシンの仇を取る!』


 プオオオブブッ、プフォオオオ!!


「やめてっ!!」


『お前は管理者権限がなければ、ただの魔物に過ぎない!』


 ププフォォォオオオオ!!


 その時、虚空から、私の「業務日誌(羊皮紙の束)」が勝手に引き出され、勝手にめくれた。


「ほら来たぁぁッ!!」


 私は慌てて業務日誌を閉じようとしたがもう遅い。

 羊皮紙の白紙ページに、再び見えないペンが走る音が響く。


 ガリガリガリッ!バシィン!!


 文字が書き終わると、羊皮紙の束が私の胸の前に叩きつけられる。


「うぐぅぅっ!!」


 私は眩暈に耐えながら、羊皮紙に描かれた文字を恐る恐る覗いた。


『――すぐやれ』


「は、はいぃぃぃぃ!!もちろんでございますぅぅぅ!!」


「あっ!!リザレさんっ待っ……」


 私は光よりも早く、忌まわしい声の発信源に向かった。



■岐阜県内:東海X-2ゲート前


 プオオオオオオ!!


 ウラマは角笛を吹き続けていた。


(……仕方ないとはいえ、この間の抜けた音、私のキャラが崩壊しそうだ。それに……。結構きつい、そろそろ限界だ)


 彼の顔は、汗だくになっている。その時だった。


 ゲートの表面が揺らいだと思ったその時、ウラマが吹いていた角笛が一瞬で消失した。


 バァン!!


 音が遅れて聞こえる。粉々に砕け散った角笛が宙を待っている。そして……彼の目の前には鬼の形相をしたリザレが静かに立っていた。


「……ッ!!??」


 その場の誰よりも先に、ウラマが彼女の存在を認知した。そして遅れて……


「で、で、出たぞぉぉぉぉっ!!!総員!!構えっ!!!」


 国防軍の警備兵が一斉に銃口を構える。


 しかし、リザレは膨大な数の銃口による威圧など全く意に介する様子がない。だた一言……


「うっさい」


 ゴクリ……


 ウラマは初めて体感した突き倒されるような威圧感に、唾を飲み込んだ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【現在のダンジョン状況】


  ■人類到達領域

  第90階層:苔生した神殿(深層)※ただしツアー

  第50階層:密林地帯(中層)※正規アクノシン


 ■友好関係

 ・サクラモチ(E級ピュア・スライムLv65)

 ・オハナ(S級古竜Lv91)

 ・藍野アスカ(Cランク探索者、チャンネル登録者100万)

 ・ゴズ・ヴェン(C級よろず屋Lv30)

 ・ザイル・ヴェルンブラ(S級超越者Lv24)

 ・モフ(S級巨狼Lv89)

 ・北沢ケンタ(Eランク探索者)

 ・藤村ユウキ(Eランク探索者)

 ・にく(A級サイクロプスLv61)

 ・ユザメ(S級ラヴァドラゴンLv78)

 ・ベンリ(S級アラクネLv85)


 ■BAN対象(永久追放)

 ・狭間キョウヤ(Dランク探索者)

  罪状:スライムへの執拗な虐待

 ・臼井クロト(Bランク探索者)ほか4名

  罪状:冒険者達への陵虐


 ■BAN対象(装備ロスト)

 ・城嶋ジャック(Bランク探索者)ほか103名

  罪状:上司の機嫌を損ねたため


 ■BAN対象?(常闇の世界)

 ・獅子堂アクノシン・ヴォルコフ(Sランク探索者)

 

 ■管理者コメント

  あの音イラつくなぁ

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 ウラマ「完璧な作戦だ(キリッ)」

  上司「うるさい(筆圧MAX)」

 リザレ「胃が痛い」

 ウラマの計算違いと、リザレの中間管理職としての悲哀に笑っていただけた方は、 ぜひ広告下の【★★】で応援をお願いします! いただいた★の数だけ、リザレの胃痛が回復します(多分)。

 次回、リザレが「移動手段」でさらに伝説を作ります。お楽しみに!


★カクヨム様にて先行配信しております。

 https://kakuyomu.jp/works/822139843894075364

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