第八話「魔法生成 其の一」
第八話です。
ではどうぞ。
『生きる』と『死ぬ』。
それらの価値観は人それぞれだが、『生きる』の価値観は殆ど一緒と言える。
人々にとって『生きる』は『試練』である。
それぞれに与えられた長い長い『試練』。
だが、『死ぬ』は違う。
『死ぬ』は『生きる』という名の『試練』のもとについてくる付属品である。
―――――それが試練に対する『果報』なのか『罰』なのか。
それは所謂『人それぞれ』だと言えよう。
平日。今私は学校へ向かっている。
研究員の仕事は、毎日あるわけではないそうだ。
200年前の歴史についてなにか新しい情報があれば、それに対応するだけのもの。
それなのに研究員を7人も必要とする理由がわからない。
まあ今更言っても仕方がないか。
「今日からの魔法の授業はみなさんそれぞれ魔法を作っていきます。そして1週間後みなさんが作った魔法についてまとめたレポートを授業で発表してもらいます」
魔女の研究員になったという状況に追い打ちをかけるように面倒くさい課題が出された。
「魔法生成」
その名の通り魔法を作る行為のことを言う。
この世界では魔法は作れる。
作り方は魔法文字を組み合わせる他、昔の人々が残した呪文を組み合わせることで魔法はできる。
しかし、魔法生成はそこらの下級生では到底できないことだ。
なぜなら魔法を作る土台となる、魔法文字や呪文の「意味」を理解できないと魔法は作れないからだ。
魔法を作るなら、それらの知識が必要となる。
そういう生徒が我がマージェリー学園のような名門校に集められるのだ。
「はあぁ……色々大変だな」
「ねえシャーナならどんな魔法を作る?」
帰り道でアフェに突然尋ねられた。
「全然検討もつかない。いいよねアフェは。自分の家が魔導書を作る会社で」
アフェの父は魔導書をつくる会社の社長であり、そこそこの金持ちである。
「あら嫉妬? でも残念。家がそういう会社だからって魔法生成のテクニックはなんにも知らないド素人だよ。だから正直困ってるね。あとこの課題は、自分でやりたいしぃ」
「うん、アフェらしいよ」
しばらく二人で、うーんと悩み続けたところアフェが突然何かを閃いたように、口を開く。
「今思ったんだけど、昔魔法ってどのくらいあったのかな?」
「いや、数は知らないけど、普通に考えて今よりは少なかったでしょ」
「なんかさぁ、私馬鹿だから詳しく言語化できるかはわからないけど、エレストリアとかゲルデットとか昔そんな並外れた魔法使いがいたわけじゃん? それまで、そんな人はいなかったわけだし」
「そうだね。だけど、それがどうかしたの?」
「その二人の存在ってこう……それまでの『常識』を壊すような感じだなと」
「そ、それと魔法生成とはどういう関係が……?」
アフェとは長い付き合いだが、たまに理解できないセリフが飛んでくるときがある。
私が理解できず戸惑っていると、慌ててアフェが言い直す。
「いや、えっとそういう『常識』を壊すのが魔法なんじゃないのかな……と。例えば、うーん……この前習ったさあ、『魔法には罰、生死には報復』っていう言葉、あったじゃん? これはさ、世界を成り立たせる、規則でありそれを構成するための定義だって。それをひっくり返せるような魔法、とかさ」
その言葉で私の頭の中では何かが繋がった。
まるでパズルのピースが当てはまっていくような感覚。
なんだろう、これ。
アイデアが……木の枝のように広がっていく。
「うーん。でもこれは魔法を作るヒントって言うより、『こうしたら面白い』っていうアイデアだね。なんか、いいのが……」
「いや、大丈夫。今ので魔法が作れそうだよ」
「え?」
「ありがとう! アフェのお陰でいいレポートができそう! それじゃあまた明日!」
「えー私にはなにかアドバイスはないのー?!」
この世には人間と魔法使いが共存する。
つまり、本来は対立するはずの「科学」と「魔法」が共存しているということだ。
科学はこの世でできる全てのものを証明し表現できる。
それを「常識」と言うのならば、「魔法」はそれとは逆の「非常識」なのではないか。
魔法はこの世ではできない全てのものを証明し、己自身を表現できる。
さっきのアフェの言葉でようやく気付かされた。
「魔法には罰、生死には報復」
世界では「常識」となっているそれを「壊す」ことができる魔法。
「……面白い」
部屋にある魔導書やらを漁っているうちに……。
一週間が過ぎた。
第八話どうでしたか。
最近はユニークアクセス、ページビューがだんだん増えてきたので、今日は2話分投稿させていただきました。
平日は投稿が難しい分、土日に頑張ろうと思います。
是非、ブックマークや評価ポイントよろしくお願いします。
(調べてみたらリアクションというのもあると知ったので、そちらのほうもよろしくお願いします)




