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魔法に永遠を  作者: にこだ
第一章
10/19

第九話「魔法生成 其のニ」

第九話です。

ではどうぞ。

「次にシャーナ・ヴィテリーさん。お願いします」

レポート持って教壇へ。

「はい。今回私が作った魔法は―――――」



レポートを黒板に貼る。




「『生まれ変わりの魔法』です」




ザワザワと教室が少し騒がしくなった。

当然だ。「生まれ変わりの魔法」なんて生まれ変わらないと成果が見られない、実態そのものがない魔法なのだから。

「これは、魔法そのものを作る呪文と『永遠』を表す魔法文字を組み合わせました。『生まれ変わりの魔法』を直訳すると『魔法に永遠を』となります」

私の発表はまだ続く。

「ついこの間、文学の授業で『魔法には罰、生死には報復』という言葉を習いました。これは世界を構築する規則であり、定義だと教わりました。意味は魔法とは己自身を表現できるが、いつかは身を滅ぼすことがあるから罰を与え、生死は罪を犯した人を罰するものであるから報復を与えるべきだということです。しかし私は魔法というものはそもそも『常識』という概念を壊すことにあると考えました。だから私はこの言葉を壊すような魔法を作り、永遠を与えるべきだと思いました」

一応シナリオを作ってきた。言いたいことは言えたつもりだ。次は質問の時間だが……。




「先生から一つ質問していいですか?」

「はい」

「今のスピーチだと、魔法に永遠を与えることは難しいと思われます。もし与えることができたとしても、『常識』を壊すことになり、世界の基盤はたちまち壊れていくでしょう。それでもよいと考えていますか?」


思った通りの質問だった。

もうその答えは用意してある。

「そうですね」

人は皆、『常識』が……世界が壊れることを恐れている。

それなら魔法がなぜこの世に存在するのか。そんなことを恐れていては魔法そのものの存在価値がなくなってしまう。

世界が壊れてもいいなんて……そんな無責任なことはいえないとわかっている。

それでも私は……。

「今日のシャーナのスピーチめっちゃよかった! 拍手喝采だったね。先生も感心してたし」

「いや、私は私なりの考えを言っただけだもの」

「でも一つ言えるのは……シャーナは魔法が好きなんだね」




「そうかもね」





そう言い微笑んだ。




次の日の天気は曇りだった。

今にも雨が降りそうなくらいどんよりとした雲が空を覆っていた。

世の中にはこういう迷信がある。

その日悪天候だと悪い出来事が起きると。

まあ、あくまで迷信だし、本気にしてないけど……。



「マジか」



連絡用の鳥が朝の知らせの紙を届けに来たと思ったら、エレストリアの研究員の招集命令だった。


「迷信が現実になったのを初めて実感したよ」


誰に言うわけでなく、ボソッと呟くだけ。


正直今の研究員の仲は良くない……というよりみんななにか変というか、なんだろう?

ほぼ勘だが、裏がありそうな人ばっかりって感じがするんだよね。

その中で研究なんてできるのだろうか?

少し不安だ。

招集は3日後。それまでに体調を整えておくように、とのことだった。





ついに始まる。





コツコツとリズムの良いテンポで、そして一つにまとめた髪をサラサラと揺らしながら階段を下りる女性。

ガチャ……と扉を開く。

耳が痛くなるほどの静寂。

それが、この部屋が王宮の地下にあるからなのか、他の人がいないからなのか。

なによりこの部屋は、彼女しか知らない秘密の部屋。

王宮の秘密の地下室。

そこで彼女は定期的にあるところへ連絡をする。


「こちら、チャーム・ジューウィーです」


―――――チャーム・ジューウィー。

王族に雇われた人間で、研究員の代表役、そして指揮官を務める。


『進捗はどうだ?』


連絡相手の声はおそらく女性の声であろう。

しかし、低く重たいその声がチャームの正常な心をかき乱す。


「はい。3日後指名された生徒たちの調査を行います。順調といっていいところでしょう」


しかし焦らない。

何度も心の中で落ち着くよう言い聞かせる。


『わかっているな? 貴様の任務は……』

「何度も聞きましたよ。私の任務は、指名された七人のうちからゲルデットの末裔が誰かを暴くこと……あ、でも一人確か……」

『ああ、私が殺した』

「そうですか」

『そのまま任務を続けろ。決して目的を見失うな。失敗は許されない』



最後の言葉が冗談ではない、だからこそ恐怖を感じる。

……逆らえない。必ず任務を遂行しなければならない。

さもなくば……。



「わかってますよ……司教様」


第九話どうでしたか?

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