第七話「魔女の姿」
第七話です。
ではどうぞ。
もしこの世になんでもできる魔法があったとすれば。
その名の通りなんでもできてしまうため、不自由なく今生を生きることができる。
大半の人々が、そんな魔法が自分にあればと思うだろう。
しかし、魔法でなんでもできてしまうと、喜び、怒り、哀しみ、楽しみなどの感情を全て奪われてしまう。
ある日少女はそう思った。
―――――それでも、あなたはそんな魔法が欲しいと思いますか?
チャームが言ったことに戸惑いを覚えた。
200年前の真相……?
「ちょ、ちょっと待ってください。質問していいですか? 200年前の歴史って、エレストリアのことですよね? それはもう学園で学んだんですけど、どういうことですか?」
巻物を閉じ、穏やかな表情を浮かべるチャーム。
「昨今、我々の研究で、200年前世界を滅ぼしたのは、エレストリアではないのかもしれないという結果が出ています。また、ゲルデットはエレストリアと戦っていないという結果もです」
「なぜ、そんな急に……」
「結晶越しですが、エレストリアの研究を進めているうちに、エレストリアが誰かと戦った痕跡が見つからなかったのです。まだ確信は持てませんが、我々は200年前世界を滅ぼしたのは、エレストリアではないのではという結論に至りました」
「で、でも200年前のことなんて、知っている人なんていないし、証拠もみつからないんじゃあ……」
「それを見つけてほしいんです。そのために貴方達たちは集められたのですから」
あまりにも無茶振りすぎる。私達にはどうしようもできない。
私達が歴史で学んだのは全部嘘?
じゃあ、それを決定づけたゲルデットが残したとされる書物は一体なんだって言うのだろう?
「それでは、今から貴方達は私と一緒に封印されたエレストリアを見に行きましょう。研究材料がないと研究なんてできませんから」
「え?!」
封印されたエレストリアの場所は王宮と少し離れたところにあった。
発見された時急いで作ったのであろう、大きな木製の建物の前まで来た。
「ここです。本当はエレストリアは王宮の側から見つかったのですが、危険性が高いため王宮から離れたところに移動させられました」
ドアの前でそう説明するチャーム。
「普段、誰も入れないよう結界が貼ってあるので、入る場合は結界を解かなければなりません」
そう言い、呪文を唱え絹がハラリと落ちるかのように結界が解けていく。
「さあどうぞ」
ドアを開けてくれ、中に入る私達。
最後にチャームが入ると同時に彼女が呪文を唱え、あたりにろうそくを灯す。
その中で見えたのは。
「……綺麗」
そんな言葉が最初にでたのは、私達の予想を穿つほどの容姿であったからだ。
輝くほどの銀髪に雪のように白い肌。
真っ黒のドレスを着こなし、目を瞑っている顔から美しささえ感じさせられるほどの女性が淡く光る紫色の結晶の中で眠っていた。
―――――まるで女神のようだった。
「この方がエレストリアであり、かつて世界を滅ぼした魔女と言われています」
チャームの言葉に見とれていた私は我に返った。
確かにパッと見た所だが、ゲルデットと戦ったふうには見えない。
やはり、200年前に世界を滅ぼしたのはエレストリアではないのだろうか?
建物から出て、結界を貼り直し、王宮に戻る。
はっきり言って……難しい。
200年前のことなんてどう調べればよいのか。
それなら魔法能力や学習能力が高い私達じゃなくてもできることではないのか?
これからどうしよう?
「あ、重要なことを一つ言い忘れていました」
王宮の門の前でなにか思いついたかのようにチャームが口を開く。
「研究内容は絶対に口外してはいけません」
「なぜですか?」
その問いかけに少し意地悪く笑みを浮かべ、
「皆さんの命が危うくなる……が一番の脅しになるのではないでしょうか」
第七話どうでしたか。
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