第六話「研究内容」
第六話です。
ではどうぞ。
『知る』とはどういうことか。
それは様々な情報をあらゆる手段で手に入れる行為のことを指す。
人々にとって『知る』ということは、切っても切り離すことのできない必要なことだ。
『知る』ことによって多くの新しい発見や価値を見出すことができる。
しかしそのことによって、後悔することもある。
―――――その後悔が人の心を少しずつ、少しずつ蝕んでいく。
朝。
カーテンを思いっきり開き、朝日を全身に浴びる。
雲一つない空。快晴。
私は大きく伸びをする。
今日は王宮に行って本格的にエレストリアの研究を進めるため、研究内容を伝えられる。
「今日も空が綺麗だ」
そう呟いた時、情報伝達用の鳥が知らせの紙を運んできた。
手に取りそれを広げる。
「えーと。『王家エギナ 兄妹結婚の縁談話どうなる? 王子・王女反対』か」
基本、王族は兄妹(もしくは姉弟)で結婚して、より濃い王族の血筋を残すことが普通である。
でも流石に兄妹で結婚したいとは思わないだろう。
「ねえアル。あんたさぁ私と結婚したいって思う?」
「俺は姉ちゃんとなら地獄まで行けるよ」
「あーはいはい、そーですか」
そんな穏やかな顔で、言われたら余計怖いっての。
ってか質問に答えてないし。
あと、このバックハグは何? 重いし、鬱陶しい。
いい歳なんだから、さっさと姉離れしたほうがいいと思うけど。
「アル、早く用意して。今日は王宮に行って、正式に研究内容を伝えられる予定でしょ?」
「はーい」
2回目とはいえ、王宮の大きさに慣れない私、アル、アフェ。
門をくぐり、大きな庭を歩くが王宮はまだ開いてないようだった。
そこには、キリア、エフィ、リルの姿があった。
しかし、ゲットは……いない。
「あれ、ゲットは?」
アフェも同じことを思ったのだろう。キョロキョロとあたりを見回す。
「ゲットは……殺されたんだ」
今まであまり話してなかった、リルが呟いた。
その言葉にみんながリルに視線を集める。
「殺されたって……誰に」
「アーウェニー教の司教」
「なんで知ってるの?」
「アイツの親から聞いた。俺とアイツは幼馴染だからな」
そういうリルだが、幼馴染が殺されたときの顔じゃあなかった。
「じゃあ、幼馴染なら彼がアーウェニーピットであることも知ってんじゃないかしら」
キリアが問う。
「ああ、知ってた」
「それなら彼がなぜ研究員に加わったのか、知ってるのをなぜ私達に隠していたのか」
「アイツが研究員に加わった理由は知らない。だが……」
俯いていたリルが顔を上げる。
「アイツが信者であることを、お前らに隠したわけじゃあない。言う必要がないと思ったからだ」
「その理由は? 彼ら信者は何を考えているかわからないのよ? その情報をいち早く聞いていれば、彼を捕まえて……」
「必要ない。なぜならアイツがたとえ信者であってもなくても俺には関係ないからだ」
キリアの言葉に食い気味に答える。
「俺にはって……私達のことは考えなかったの? 私の場合は学園からの情報で聞いていたけど、他の人たちは? そのためにも情報は大事でしょう?」
「お前らがどうしようと俺には関係ないって言ってんだ」
当たり前のように言うリルに少し腹がたった。
「気に食わないわ。それにその顔、幼馴染が死んだときの顔じゃあないわね。仲が悪かったのかしら? それとも……」
「いや、仲は良かった……と思う。家も近かった。だけどそれぞれ違う学園に入ってから、関わりがなくなった」
「仲は良かったのよね? ならもう少し相手のことを悼んだらどうかしら? そんな冷たい態度じゃあこの先苦労しそうね」
そう呆れた様子で毒を吐くキリアだが少し怒っている気がした。
そこにリルの追い打ち。
「冷たい? ああ、俺はそういう人間だ。それに人は関わりがなくなったら、今までどれだけ関係が深かったとしてもそこで崩れる。信頼も友情も、思い出と一緒に」
そこでついにキリアがキレた。
「不快にも程があるわ。あなたには人間の情というものはないのかしら?」
刀を引き抜き、リルの首筋に当てる。
「ちょっと待って!」
そう言った私だが、二人の耳には届かず。そしてリルは全く動じない
「だってそうじゃないか。思い出なんてただの過去だ。掘り下げてなんの意味がある? 信頼もそれだけのことだ。時がたっても切れない信頼なんてこの世には存在しない」
「人間のクズは排除すべき。まさにその通りね」
そう言い刀を振り上げたその瞬間。
「やめてください!!!」
大きな声とともに、体にビリビリと伝わる振動。
「エフィ……?」
「二人共! ここは王宮です! 大事を起こしたらただではすみませんよ! キリアさん、あなたはなんでも、首を突っ込むのをやめてください。それにリル君、あなたはもう少し、人の心を理解してください。ほら、もう扉が開きますよ」
ギギギ……と王宮の門が開く。
「今のは何……?」
さっきまでリルに好戦的だったキリアが青ざめている。
みんな同じ気持ちだろう。
エフィが叫んだ時、微かに魔力を感じた。しかし、それは一般的な魔力とは違った。
基本、魔力は発動すると、僅かでも風が発生する。
あの時、ゲットの眼帯がとれ宙をまった様に。
だけど、エフィは違った。
風は起こらず、振動が体に直接伝わった。そんな経験は初めてだ。
……何なんだろう。
今の私達はバラバラだ。
私とアフェとアルはなんとかなっているにしても、キリアとリルはさっきので険悪なムードが漂っているし、エフィともまだ馴染めていない。
それに……。
『あの人は、ただの魔法使いじゃない……』
あの時のエフィの言葉が気になっている。
エフィはなぜ学長をあんなに怖がっているのか。
いや、直接聞けばいいのかもしれないが、そんな雰囲気じゃないんだよね。
「私の名前はチャーム・ジューウィーといいます。この度皆様の研究員代表を務めさせていただくことになりました。以後よろしく」
下ろせば腰辺りまであるだろう髪を一つにまとめた、20〜30歳ぐらいの女性。
王宮の大分奥の部屋に連れてこられた。
この人は多分王族に仕えている人だろう。
「今日は、皆様に正式に研究内容を伝えます」
そして巻物を広げて、叫ぶ。
「王族に選ばれた由緒正しき者たちよ! 200年前の歴史の真相を突き止めること、ここに記す!!」
第六話どうでしたか。
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