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魔法に永遠を  作者: にこだ
第一章
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第五話「本当の目的」

第五話です。

ではどうぞ。

昔、人は神になれないのだと信じられていた。

それは人間であっても魔法使いであっても同じこと。人は神には敵わないし、神にはなれないのだと。

しかし、ある少女が生まれてから、世界は色を変えてしまう。






―――――罪深き魔法使いに永遠の罰を。







「誰?!」

あまりにも強い風で目も開けられない。

だけど確実に私達ではない誰かが……いる。

「私の可愛い生徒達が危ない目にあってる気がして来てみたが、そうではないみたいだね」

渦の中心にいる人影から声が聞こえた。


この声どっかで……。

もしかして……!


風が弱まるにつれ人影が輪郭を成していく。

やや身長が高く、スラリとした手足。

そしてなにより、ひらひらと舞う顔を覆い尽くすように帽子につけられている布。

間違いない。




「学長?!」




マージェリー学園のビナード学長だった。

「学長、どうしてここへ?」

アルも驚きを隠せないようだ。

アフェなんかは口を開けたまま、かける言葉も見つからない様子。

「つい先ほど私も王宮に来たばかりなのだよ」

「学長も? なぜです?」

「こう見えて学長も暇ではないんだ。君たちが研究員になる手続きなどをしなくてはならないからね」

布のせいで、顔は見えないが学長は少し微笑んでいた気がした。


「そして、君」

学長が壁に寄りかかっているキリアに近寄る。

「その制服はシアン学園の子だね?」

「そうよ」

「アーウェニーピットである彼を殺しても罪には問われない。そうだとしても、その歳で人を殺すのは、荷が重いんじゃないかな? まあ大方、学長であり君の父君でもあるデミア学長からの命令なのだろう?」



「……違う」



声には出さずに口パクでそう言っているように見えた。

「さあ、長話はここで一旦やめて、みんな大広間に行って。私がここに行くと言ったら、ついでに呼んでこいと言われてね」

その言葉で、私達は立ち上がって服装を直し部屋を出ていこうとしたときだった。

「ねえ」

弱々しく、消え入りそうな声が聞こえ振り返ると、エフィが私の袖を掴んでいた。

「誰なんですか? あの人……」

「ん? 学長だけど」

私がそう言っても手を離そうとしてくれない。

よく見ると、掴む手は小刻みに震えていた。




「あの人は、ただの魔法使いじゃない……」




部屋を出て、大広間に行ったが研究員の手続きやなんやらをして、特に変わったこともなく、王宮を出た。

気付いたときには、ゲットとエフィの姿はなかった。




「ねえ、本当にこの研究員の中にゲルデットの末裔がいるのかな? アーウェニー教はエレストリアの封印を解くのかな?」

「でもそうだってゲットが言ってたし」

「そうだとしたら、マジでやばいから聞いてんの」

アフェの呟きに共感する。



「何言ってるの? 嘘に決まっているでしょう?」

私達の背後に箒の毛先をいじっているキリアと目があった。

「嘘って……なんでそうなるの?」

「そんなこともわからないの? 本当能無しね、あなた」

キリアが指さした方向にアフェ。

「能な……!」

アフェの場合、自分でバカということを自覚しているため、言い返せない。

「でも、そんなの証拠がないじゃん」

「証拠は彼がアーウェニーピットであることよ」

回りくどい……全く意味がわからない。

「もう少しわかりやすく説明してくれない?」

「はあ……アーウェニー教は世界の約3割を占める大規模宗教よ? そんなところが企んでることなんて、あんなふうに言いふらすものじゃないわ。わかりやすく言えば、世に進出して、発展し途中の超お金持ちの企業が社の秘密をスピーカーで触れ回っているカンジね」

「じゃあ、ゲットはなんであんなことを言ったの?」




「結論は一つ。彼は教会に利用されたの」



 

「利用したって……ということは」

「そう、教会の目的は他にあるっていうことよ。彼も知らない様子だったから、本当のことは教会に聞かないとわからない……ってとこね」

キリアの推理は筋が通っている。非の打ち所がない感じだ。


「でも、もっと恐ろしいのはここからよ」

キリアの表情が一気に重くなる。

「ゲットが言っていたでしょう?」






『……まるで物みたいな扱いだよな。あいつら教会は俺等信者を『物』としか見ていない。まあ仕方ねぇよ。逆らったら殺されるんだから』







「物は使い終わった後どうなるか」






物は使い終わった後、捨てられるか。それとも……。

そこまで考えた時、私とアフェは顔を見合わせた。


―――――暗い廊下の中、ゲット・ジェイナーは歩いていた。

その表情に一切余裕はない。

ピリピリと張り詰めた空気の中、重い足取りをただ前へ、前へと進めていた。

そして床から天井まである大きな扉の前で立ち止まる。

ノックを3回。



「司教様。ゲット・ジェイナーです。只今王宮から戻りました」



決して礼儀を忘れず。

そしてドアを開ける。

中はろうそくが3つほど灯っているだけで、あとは闇だった。

その部屋の中心にその者がいた。



「戻ったか」



黒い布で全身を覆われた体は、顔も見えなかったが、妙な威圧感を醸し出していた。

「ご命令通り、任務を遂行して参りました」

「そうか」

そっけない返事だったが、ゲット・ジェイナーはその者の機嫌を損ねないよう、細心の注意を払っていた。

しかし、彼の中には一つ疑問が残っていた。



「司教様。一つ聞いてもよろしいでしょうか」



「なんだ」

深く深呼吸をする。




「エレストリアの利用目的についてですが、教会はエレストリアの封印を解いてどうするのですか? もし世界をもう一回滅ぼすのだとしても俺達信者も滅んでしまいます。そこはどう考えて……」




ゲットが言いかけた時、ゲットの頭に衝撃が走った。

数少ないろうそくの光で見えたのは、赤い液体―――――自らの血だった。

頭部から吹き出す鮮血で部屋を赤く染める。

ゲットはその場に倒れ、そして動かなくなった。

……明らかに即死だった。



「後始末をしろ」

ゲットが司教様と呼んでいた者がそう命令し、黒い服を着た者が3人ほど部屋に入り、ゲットの死体を運ぶ。そして、その中の一人が問う。

「司教様。本当に良かったのですか?」

「なにがだ」

「彼は、世界に数多くいる信者の中でも多才かつ優秀な存在。そんな貴重な信者を処分しても良かったのか……と」



しばらくの沈黙の中、司教様は一息ついて答える。



「単なる自殺行為に過ぎなかったからだ。だから殺した……この手で。『知る』という行為はそれだけ残酷だ。身も心も……すべて捧げる覚悟がある者にしか成せることのできないこと―――――まだ齢20も行かぬ小僧が世界について『知る』ということは……いずれ自らを破滅に追い込むだろう」


第五話どうでしたか。

もう一つの作品の後書きにも書いたように、今日で春休みが終わるので投稿頻度が少なくなるかもしれません。

読者の皆様、大変申し訳ございません。

今後とも応援よろしくお願いします。

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