第十三話「わからない」
第十三話です。
ではどうぞ。
「皆さんはご存じないと思いますが、魔法使い同士で子を成すことは法律で禁じられているのですが、彼女のような存在はこの世に皿にいるのですよ」
得意げに説明するチャームの目の前で、エフィは顔をうつ伏せたままだ。
「なんでエフィが『死神の子』だってわかるんですか?」
率直に私はそう尋ねた。
「『死神の子』がもつ魔力は一般の魔力とは少し違いますからね。なんとなく人の魔力が感じられるので。彼女だけがみなさんとは確実に違いました」
そうか。
あのときのエフィの魔力、確かに少し違ったのはそういうことだったんだ。
「いつかはバレるとは思ってました。けど仕方ないですね。チャームさんがいった通りです。私は父も母も魔法使いで私はその間に生まれました」
少し長い前髪から丸い目が覗く。
「けど告知するのはもう少し待ってください」
『死神の子』は国の法律によって排除される。
告知……つまりそれは『死』を意味する。
この世にとって危険な存在だから。
「なぜ?」
「私が私にはまだやらなければならないことがあるからです」
そのあとにエフィの言葉から出てきたものは普通に生活している私達には到底理解できないものだった。
「今からおよそ50年以上前突然失踪した、私の両親を探し出すためです。もちろんあなた達にも協力してもらいます」
その時のエフィの顔は少し悲しそうな顔をしていた。
「なるほど。両親を探すべく、少しでも情報を手に入れるために国が率いる研究員に入ったと。けれども、ほとんどの『死神の子』は自身が罪に問われないよう捨てられた子供。そんな両親を探してどうしたいのですか?」
「それはあなたが知ることではないです」
一直線上。エフィとチャームが見つめ合ったままの空気を裂いたのはキリア。
「なぜ、私達が貴方の目的に付き合わなければならないの? 私達には私達の目的がある。私はアーウェニーピットを一人でも多く抹殺する。そんなものに協力してる暇なんてないのよ」
今回はキリアに賛成だ。アフェもうんうんと頷いている。
「私達には私達の目的がある……ですか。それをそっくりそのままお返しします。なので、交換条件はどうですか?」
「何?」
「私の目的に協力する代わりにあなた達の目的にも協力します。あなたがアーウェニーピットを抹殺する目的にも」
「あなたがそんなことをしても、利益はない。私は情報でしか取引はしない主義なの」
ハアとため息が溢れる。しかし、エフィはまるで当然の反応であるとわかっていたかのように微笑んだ。
「情報。そうですね……六年前、あなたの母親がアーウェニーピットに殺された、とか」
「……っ!!」
それは私達に大きな衝撃を与えた。
キリアの顔が段々青ざめていく。
「なぜそれを……」
「単なる偶然です。長生きした分の暇を持て余していただけなので」
キリアがこれほどまでに、アーウェニーピットを殺すことに執着している理由がやっとわかった。
「母が殺されたのは、あいつらに濡れ衣を着せられたからだ。母はただ私達家族と平穏に暮らしていただけなのに……自分の勝手な都合で人様の命を奪ったんだ」
その目からはボロボロと涙がとめどなく溢れていた。
そして、刀を抜き矛先をチャームに向ける。
「だから、私はこいつらに復讐する。仇を目の前にして普通に生きるなんて、私にはできない。殺しても殺されても、誰もなにも言わないこの世界がなにもかも……間違ってるんだ」
彼女は今までどんな気持ちで生きてきたのだろう。
経験したことのない私が理解できると言えば無責任だ。
でも今の言葉を聞いて、少し安心した。
キリアも本当は誰も殺したくないのだ。当然だ。
誰だって好きで人を殺したくはないのだから。
「あなたは本当に、母親がアーウェニーピットが濡れ衣を着せて殺されたとお思いですか?」
エフィがニコリと含みのある笑みを浮かべる。
「ど、どういうことなの?」
「そのための取引です」
キリアの前まで歩き彼女の手を両手で包み込むように握る。その隣では刃物が光る。
「あなたにとってのこの『わからない』ことだらけの世界。知ってみたくはないですか?」
第十三話どうでしたか。
だんだん人間関係が複雑になり、困惑している方がいるかもしれません。
作者もです(?)。
「これからどうなるのか……」そう思った方は是非「☆」をタップして作者を応援してください。
これからもよろしくお願いします。




