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魔法に永遠を  作者: にこだ
第一章
12/19

第十一話「裏切り者」

第十一話です。

ではどうぞ。

「みんな、ちょっと耳を貸してほしいの」

キリアが王宮に入ってくるなりそう言ってきた。

その言葉に耳を傾ける私たち。

そのとき衝撃の事実が告げられた。



「みなさん、おはようございます。今日で私と会うのは二回目ですかね。今日は本格的に研究を進めていきたいと思います」


意気揚々と喋るチャーム。しかし私たち誰一人チャームの話など聞いていなかった。

待っていたのだ。キリアの合図を。

キリアが目で合図をした瞬間、私たちは魔法使いを捕獲する魔法を放った。


チャームがほほ笑んだ。


それに気づいた瞬間、防御魔法で塞がれた。

ガンッと魔力同士がぶつかる音が部屋内に響く。

「なっ……」

私たちは今先ほど、チャームを捕獲しようという作戦を考えたのだ。

それなのにチャームはまるでそれが来るかとわかっていたかのように、私たちの魔法を防いだのだ。


「まだまだですぇ」


薄い膜の中でチャームはクスクスと笑う。

そして片目に黒い星が現れる。


「あなたたちは未熟です。優秀な生徒で研究員に選ばれたからと言って、まだ子供ですから。私たちのような大人とは考え方というものが違う。先ほど私を捕まえようと作戦をたてのでしょうが、まず、私の魔力を封印し、そのあとに捕獲したほうが適当かと」

淡々と話すチャームにはまるで余裕があるようにも見える。



……きっとそれらをしたとしても、結果は同じであっただろう。



「ああこの目の星はなんとか魔法で隠しているのですけど」と付け加えているが、それどころではない。

そして、キリアの視線が怖い。

恐ろしい形相でチャームを睨みつけ、フーフーと息も荒い。

それは、殺気だった。

全身からあふれ出る殺気でゾクッと悪寒が私の背中を走る。


「なぜ、私たちが魔法を仕掛けてくるのが分かったのかっていう顔をしていますね。呼吸や間合い、私を見つめる視線、顔の表情。それらすべてを情報源として、防御魔法で防ぎました。あなたたちと私の歳さ分の経験で得ることのできる力の一つですね」




格が違うのだ。



大人と子供の違いとかいう話じゃない。

魔法使いとしての格が。

あまりの強さに足がすくむ。

「それをいうってことは、最初から私たちのことを信用していなかったということですか?」

私はそう尋ねた。

「まあそうですね。信用というよりいつ襲われるかわからない状況でも対処できるようにしていただけです」

        ・・・・・・・・・

「それはあなたがアーウェニーピットであるから?」

「それもあります。しかし、常に人は周りを警戒する生き物。本能的なものですよ」

チャームが認めた途端、キリアの顔が一層恐ろしくなった。



王宮に入ってきたとき、キリアは言った。

学園からの情報でチャームはアーウェニーピットであるという可能性が浮上していると。

可能性というのはまだ確定でないということ。

情報は不確定要素ばかりだから、それが本当かどうかわからない。

それを確かめるためにチャームを捕獲して聞き出そうと思ったのだけれど。



「私はなんでお前たちのような人間がのうのうと生きているのかがわからないのよ」

キリアの声とは思えない、低く歪んだ声。

「キリア・ネイギー。教会での調べではあなたは確か母親を信者に……」

「黙れ!!」

落ち着いた印象とは裏腹に荒ぶる声と感情。

「キ、キリア……?」

「お前らなんか……!」

キリアは刀を振り上げる。



「死んじまえ!!!」



振り下ろした瞬間、チャームは小刀をすばやく取り出し、衝撃を受ける。

ガキンという音に続き、キリキリと金属が擦れる不快な音が耳の奥を突く。

爪で黒板をひっかくような音と似ている。

魔法を纏ったキリアの攻撃は、威力が半端じゃなかった。

少なくとも部屋が揺れるほどには。

「全く……あなたはこの部屋を吹き飛ばす気ですか」

ハアッとあきれた表情を浮かべるチャーム。

この部屋が王宮の一室でよかった。

もしこの部屋が木造の建物の部屋とかだったら、建物ごと粉々に崩れていただろう。

「いけませんねぇ。ちょっとのことで逆上してしまう性格は直したほうがいいですよ。大人になったときに苦労しますからね」

そしてガンッという音とともに間合いをとった二人。

さっきの魔力を30センチほどしかない小刀で受け止めきれるこの人はいったい何者なのだろう。

それでもキリアの怒りは収まりそうにない。

「まあいいです。それより私は今日進める研究内容より言いたいことが他にあるので」

小刀を鞘に直し、部屋を見渡す。



「私はあなたたち研究員に協力しようと思っているのです」



なんの躊躇いもなく、喉が渇いたら水を飲むような当たり前の如くそういった。

「どういう風の吹き回し? 教会の目的は?」

「どうもこうもただの私情です。教会は全く関係ありません」

「なにかおかしいこと言った?」みたいな顔をされているが未だに状況が呑み込めない。

「突然こんなことを言っても信じられないでしょう。まあ、信じるも信じないもあなたたち次第ですが、私があなたたちにつけば、私の知っている教会についての情報を与えます。そのあとは私を煮るなり焼くなり好きにしてかまいません」

「それは、あなたは教会を裏切るということでいいのかしら」

「そうです。しかし私が裏切ったことはすぐに教会に知られるでしょう。そのとき私は、教会に身を追われる羽目になります。あなたたちにつかなくても、教会を裏切っても私が辿る末路は結局同じ。なら、少しでも協力しようということです」

「わかったわ」

そのキリアの言葉に正直驚いた。

さっきまでチャームに対して殺気だてていた人のいう言葉とは思えなかったから。

「その条件にのるわ。けど少しでも変な動きをしたら、即その首を刎ねるから」

「ええ。いいでしょう。契約成立ですね」


第十一話どうでしたか。

作者が書いている作品たちは、ドキュメントのほうでまず下書きをしています。

この作品は、その下書きでまだ第十四話までしか書けていないので投稿頻度が少なくなるかもしれません。

土日や空いている時間で少しでも進めようと思っております。

是非ブックマーク、評価ポイント、リアクションで作者を応援してください。

これからもよろしくお願いします。

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