第6話 ルビー、宴と今後の方針
「よくやったなあ~!嬢ちゃん!!」
「ああ、本当に凄いぜ!!あのダガーウルフを一瞬で片付けちまうなんてよ~!」
「あ、あはは・・・」
あの後村に戻ると、衛兵や村の人達に囲まれてそのまま酒場に連れていかれてしまった。
復興作業の方は交代制で行っているみたいで、自分も手伝おうと思ったのに英雄様はゆっくり休んでくれと言われて、今は何故か酒場で宴会三昧の皆さんと一緒にお食事をしているというわけであって・・・。
「それにしてもこんな可愛い嬢ちゃんがあんな一瞬でダガーウルフを倒すとは、、、嬢ちゃんはどこから来た冒険者さんなんだ?」
「あー、えっと東京ってところから来たんですけど、、、知ってます?」
これはチャンスだと思い、現実の地名を言えばもしかしたら日本について知っている人がいるかもしれないし訊いてみるのはいい事だ!!
「と、トウキョウ?訊いたことねーな・・・」
「そ、そうですか・・・」
やはりここは地球じゃないのかな・・・?
異世界転生みたいなことが自分に起こっているとするのなら、もう帰れないってことなのかも。
「嬢ちゃん、それだけ腕に自信があるなら王都へ行ってみたらどうだ?」
「王都・・・?」
隣で飲んでいた衛兵のおじさんの言葉で王都という単語が出てきて、自分は少し驚愕した。
王都と呼ばれる場所は【ドラグーンハンター】では4か所存在している。
【スペード】・【ハート】・【ダイヤ】・【クラブ】という名前の王都がゲーム内でも確かに存在していた。
自分の記憶が正しければ、シャイン村から一番近い王都は【スペード】だった筈・・・。
ここは名前を訊いてみるとしますか。
「もしかしてその王都の名前は【スペード】ですか?」
「なんだ、嬢ちゃん知ってるんじゃねーか!ここから徒歩だったら3日くらいだな。馬車を使えば丸一日ってところだな」
やはり王都の設定も【ドラグーンハンター】と同じみたい。
もうほぼ確定でここはゲームの世界なのは間違いなさそうだ。
「嬢ちゃんがその気なら馬車を手配することもできるが、どうだい?」
「すいません、もう少しこの村で考えてからでもいいでしょうか?宿も10日分まだあるんで」
「ああ、構わないぜ。もし行きたくなったら声を掛けてくれ~!」
ありがたいことにこれで王都への経路を確保することは出来た。
ここがゲームの世界ならば、もしかしたら自分と同じようにこの【ドラグーンハンター】の世界に来てしまってるプレイヤーもいるかもしれない。
王都なら必然的に広い場所だから、ここより情報が色々手に入るかもしれない。
そのためにもまずはシャイン村でやることもたくさんある。
「お姉ちゃん、お水どうぞー」
可愛いエプロン姿で宿の少女がお水を持ってきてくれた。
実はこの宿の裏口が酒場になっており、どうやら夜はこちらのお手伝いもしているみたいなのだ。
「ありがとう~。・・・ん~おいしい!そういえばまだ名前を訊いてなかったよね?」
「シャーリー!シャーリー・ブロッサム!お姉ちゃんのお名前はー?」
「私はルビー、ルビーラピスラズリ。それにしてもシャーリーちゃんかー。素敵なお名前ね」
「ありがとう!でもお姉ちゃんのルビーって名前も可愛いと思う!!」
「あら、ありがとう。それにしてもお母さんのお手伝いだなんて、シャーリーちゃんは偉いね」
「えへへ~・・・」
照れてる顔も可愛いわね、本当に・・・。
でもこんなレベルでゲームでNPCと会話することなんて出来なかった。
本当に生きている人間なんだと感じるってことは完全にこれって【ドラグーンハンター】の異世界ってことなんだろうなあ~。
もしこの世界で自分が命を落としてしまったらどうなるのだろうか?
今は考えても仕方ない・・・日本に帰れる方法があるのかどうかはわからないけど、精一杯生きていくしかないんだから!!
私はVtuberスターナインの一人、ルビーラピスラズリ!!
ゲームのことなら右に出る物なし!!!
今までそう自分に言い聞かせて、数多のゲームでプロを薙ぎ倒してきたんだから!!!
「ルビーお姉ちゃんはいつまでこの村にいるの~?」
シャーリーちゃんのその問いに腕を組んで真面目に考えだす。
とりあえず10日分の宿代は支払ってしまったので、10日間は滞在したいところよね。
銅貨は全部使い切っちゃったたし、始まりの森で少しモンスターを討伐してお金を稼ぎたいところだし
あとは武器のグレードも石の装備品にしたい。
その為にはまずは鍛冶屋さんにも明日行ってみよう!!
「とりあえずは10日間はいるつもりだよ。色々と王都へ行くための準備もしたいし」
「本当!?じゃあルビーお姉ちゃんにお願いがあるんだけど」
「なになに?」
「私に、、、剣術を教えてほしいの」
「え?」
こんなお人形みたいに可愛い少女に私が剣を?
シャーリーちゃんの表情を見ると遊び半分で言っている感じではないくらい真剣だった。
「私からもお願いしてもよろしいでしょうか?」
厨房から料理を持ってきたシャーリーちゃんのお母さんもそう私にお願いしてきた。
「この子、ずっと冒険者に憧れてて、、、うちの旦那も王都で働いているのもあってだと思うのですがもしご迷惑でなければ、少し稽古してあげてもらってもいいでしょうか?その分10日分の料理をタダで作らせてはもらいますので」
「ん~~わかりました。私が教えられる範囲であればですけど」
「わあ~~!ありがとう!ルビーお姉ちゃん!!」
ぎゅっと抱き着いてくるシャーリーちゃん。
本当に可愛い妹が出来たみたい。
でも私も小さいは小さいんですけどね・・・。
身長もすぐにシャーリーちゃんに抜かされそうだし、それに・・・。
ボインっ!と音がしそうなくらい豊かな胸を持つシャーリーちゃんのお母さんを見ているといつかシャーリーちゃんもスタイル抜群になっちゃうんだろうな~。
わ、私だって寄せれば少しは、ある、、、ない。
自分で言っててやはり悲しくなってくる。
ええい!こうなったら焼け食いだああああああっ!
次々と出てくる料理を食べてその日はわいわい楽しく叫んで飲んで食べてして眠りにつくのであった。
これが始まりの物語。
ゲーム【ドラグーンハンター】とまったく同じ異世界に転生してしまった少女の物語。
だが彼女はまだ知らない。
この世界に転生したのが自分一人じゃないことを。
そしてこの先に待つ様々な困難を――――




