33話 ホームにて
「ん~。本日も泰平にて候。ライオン殿の働き、実に見事!天晴れなり。さて、ケンチ殿らは海とやらに着いた頃であろうか?」
ひときわ背の高い木のてっぺんから恐らくあちらが海であろう方角に想いを馳せる。
「ふうむ。何も見えんでござるな・・・むっ?何やら森が騒々しい?」
怒濤の勢いで迫り来る大きな気配・・・。
「・・・来る・・・ひぃっ!!」
紅葉の美しい木々の合間からチラと見えたそれに恐怖し、木から滑るように降りると一目散にホームへと向かった。
「トンボさんのお目々をグルグル~、グルグル~♪」
「コロンちゃん。お皿下げでぎで。お客様一段落づいだがらひるまご飯にするべ。ニンジングラッセ作ったがらおいで~」
「わ~♡ありがとうございますぅ~。すぐ行きま~す!あっまいの甘いの~♡」
雲1つない秋晴れの、気持ちのいい昼下がり。皿を下げテーブルを拭きながらソントンさんの甘いニンジンがポワポワと頭に浮かび自然と歌ってしまう。
「♪こんな気持ちになるなんて それは全部あなたの所為なの
こんなに胸がいたいのは あなたと出会った私の所為なの
ニンジングラッセ♪
バターの香り
ニンジングラッセ♪
恋の予感
ツヤツヤコロコロ私のココロ
ハートグラッセ甘・・・いひゃ~~!!」
制服の胸ぐらを突然つかまれ、びっくりして変な声が出た。
「スゥちゃんどーしたんですかぁ?驚かさないで下さいよぉ~!それにとっても変顔なんですぅ。分かった!変顔選手権ですね?面白いですぅ!私も負けませんよ~♪きゅ~~(´-ι_-`)」
「何を馬鹿な!!たっ・・・大変でござる~っ!たたり神にござる!!ミーシャ殿がたたり神になって戻られたでごさる~っ!!」
「姉御?ケンチ様が戻って来たんですかぁ~!?わっ!わっ!!これはこうしてはいられないのですっ!」
「コロン。何を騒いでいるんだい。早くお皿もっておいでよぉ!私ぁ早く旦那の料理か食べたくて仕方ないんだよぉ。っておや!スゥアンジャン、どうしたんだい?変顔選手権かぇ?」
「猿妃様まで!大変でござる!!ミーシャ殿が・・・来たぁ!」
「フゥ~ッ。フゥ~ッ」
「ミミミ、ミーシャ殿!殿中にござる!殿中にござるよ!お気を静められよ!」
「スウッ!」
「ははいっ!」
「チチを・・・」
「は?」
「ミルク!!」
「せっ・・・拙者は出ないで御座るよ~⤵」
「貰ってくるの(*`Д´*)!」
「カシコマッタでござるε=┌( ><;)┘」
「たっ・・・ただいまぁ~・・・」
顔面蒼白でフラフラになりながらミーシャの背から降りる。いや、実際揺れないように気を配って走ってくれたからその辺は問題なかったんだけど、まるで遅めのジェットコースターに乗っているような気分で結構こわかった⤵
「わ~♪ケンチさまぁ~~♡お帰りなさいですぅ!!コロンさみしかったですぅ~!」
がばっと抱きつかれグリグリと頬ずりをしてくる。ミーシャの手前ちょっと後ろめたい気持ちになるけど、コロンの事を考えてこの位許してくれ。
「ただいまのチューは?」
「コロン!チョーシにのりすぎ(▼皿▼)」
「えへへ。姉御~!姉御にもグリグリですぅ~!お帰りなさいですぅ~」
「コラ!なんだ!はなれろ~(≧◇≦)恥ずかしいだろ!」
このドタバタ感!!帰って来た~!!ってい感じで涙がホロリと出ちゃう。
「なんだいなんだい!?随分と賑やかなお帰りだねぇ!」
「だねぇ!」
「にぎやか!」
「ああ、リュウとキュウ。ただいま!いい子にしてたかい?」
「リュウ君とキュウ君は小さい子の釣りの面倒みてくれてて、頼もしかったんですよ~?スゴいんですぅ!」
「そっか~!ありがとうな!!」
「えへん」
「えへん!」
「お待たせ申した、ミルクにござる。喉でも渇き申したのですか?それにしてもこれまた随分と急ぎのお帰りで。して、海はどうだったでござる?海水とやらはやはり塩辛いものでこざったか?・・・と、何で御座ろうか、そのバスケットは・・・まさかお二方のやや様!?」
「うわ~~ん!子連れで帰って来るなんてケンチ様のバァカア~!!」
ぱちん!・・・痛い。なぜ??
「いいから早くミルクちょうだい!・・・ホラホラ~、ミルクでちゅよ~?・・・違うもん!捨てられてたのこの子!!だから連れて帰ってきたの!悪い!?(*`Д´*)」
お皿のミルクをチロチロペロペロと舐める仔猫に一同ほやぁ~っと癒されて、しばらく眺め続けていた。
「じゃない!エンフェイさん。先ずはミーシャの肩のキズを診てやって下さい」
「なんだいミーシャ。ケガしたのかぇ?」
「撃たれたんです」
「撃たれ!?何でまたそんな!兎に角すぐに・・・」
「こんなん大丈夫だって!ヽ(`Д´#)ノ」
「ミーシャ!平気なわけないでしょ!?キミが大したことなくてもバイ菌はいってて化膿とかさ!可能性がゼロじゃないんだから!!猫ちゃんはソントンさんに任せて、キミはちゃんと診てもらいなさい!」
「・・・は~い(´-ω-`)」
あれ?やけに素直だな。普段なら「ウッサい(▼皿▼)」とか言いそうなのに・・・。まあ、色々あったしね・・・。
「・・・ふうん。弾は抜けてるみたいだし、このネバネバは私のクスリを使ったんだろ?だったら平気さね。化膿もしてないしキズがくっつきゃあ、大丈夫だねぇ・・・それより!ミーシャの肩よりもアンタがさっきから隠している手の方が私は気になるねぇ」
「いや、これは・・・俺は後でも・・・」
「いいから見せるんだよ!」
「・・・手だけ獣化しちゃって、戻らないんです・・・」
「わわっ!ホントです!ガオーになってますっ!!」
「・・・戻りますかねぇ」
「・・・」
あ、黙らないで下さいよ!チョー不安になってきた・・・。
「すまないけど、私には判らないねぇ・・・」
ああああ・・・エンフェイが判らないんならコレ、どうすんだ!?
(エンフェイなら何でも知ってる、何とかなると勝手に思い込んでた・・・。そうだよな・・・ギフトで知れるのはアッチの世界の事象だもんな・・・ヤバイ。マジでコレ、ヤバイかも・・・)




