29話 通い合う
霧のなかシャボン玉の中に色んなイメージ。その中の1つ、懐かしい風景。テーブルを囲んで皆が食事。
「あぁ、ソントンさんの料理・・・美味そうだな・・・」
そんな思いが躰を巡ると途端に分厚い霧からスポッと放り出された。
「うっぎゃあ~~っっ!!」
「キャアアっっ!!」
そこは・・・空!?空かよ!!確かに崖から身を投げたけど向こうは平地ってのがセオリーじゃんか!
「おっ!落ちる!!もうダメだ!死ぬ~~!」
「きゃ~~!!ケンチ!ずっと、ずっと前から好きでした~~!!(*≧Δ≦)」
「俺もだあ~~!!」
ぬぽっ。
「・・・沼( ・_・)?」
「・・・うん。沼、だねぇ」
「・・・」
「・・・」
無言のまま陸地までぬかるみを歩き、そこで体育座り。
「そんなに高くなかったな・・・」
「そだねー(;¬_¬)」
「・・・ん?ミーシャ!!しゃべってる?ヒト形!!」
「わ!本当だ!いやった~!戻って来たあ…っ(。>ω<。)」
「うおぉぉっ!ミーシャあっ」
泥だらけの二人は抱きしめあって大声で泣いた。ひとしきり泣くと
「本当に戻って来られたんだよな?実は違う世界でした、とか、無いよな!?」
「ん、分かんないけどケンチと一緒なら私はどこだってヘーキ(〃ω〃)もう絶対何処にも行かないでっ(。>ω<。)」
俺、という存在を確かめるように強く、強く抱きしめてきた。
ああ、ミーシャ・・・ミーシャ・・・!
「ミーシャ!!ちょっと強・・・あばら折れる!」
「ごっ、ゴメン(>_<)嬉しすぎて、つい・・・」
「ハァハァ・・・だ、大丈夫。俺も気持ち的にはその位だから」
「ケンチ・・・(〃ω〃)」
ミーシャの瞳に吸い寄せられる。自然と二人の唇が重なり合い、彼女の頬をさっきとは違う涙がこぼれた。
「幸せな時にも涙って出るんだね(・_・、)」
ゆっくりと唇を離し彼女はそう呟いた。
「探したんだぞ?もう、会えないかと思ってた(。>A<。)」
「ゴメン。俺さ、向こうに飛ばされた時、記憶とんででさ。いつも通りに釣りしてて、いつも通りに生活して、いつも通りに働いてた。キミに出会ったあの日に戻ってて、キミと出会った事が無かった事になってて、気持ちの悪い毎日だったよ」
「・・・」
「でさぁ、テレビとかラジオでやたらと熊の情報が耳についてさ~・・・」
「ゴメンケンチ!!」
「ああ、ゴメン。自分の事ばっかだった。急にどうしたの?」
「私ね、あの霧が出てる所が分かるの。今まで黙っててゴメンなさい」
え?ちょっと何言ってるか分からないんだけど?」
「リョータを向こうに帰したのも私・・・」
「いや、意味わかんないって。リョータって??」
「あの人はいつも向こうの話しばっかりだった。俺にはかみさんがいて、とか、俺がいなくても生活できてるのか?とか・・・だから「海の方にいけば帰る事、出来るよ」って。そしたら直ぐに旅立って帰って来なかった。エンフェイには黙ってたから、悪いなって思って、だから死んじゃったことにしたの・・・」
「黙ってて本当にゴメンなさい」
「え?え!?分かるって・・・それじゃ俺がキミの前で呑まれた時は?おかしいじゃん!」
「・・・ケンチ、向こうの話し全然しないけど、本当は向こうに帰った方が幸せなのかもって。私達と居るより全部忘れて元の世界に戻して・・・私がまた、我慢すればそれでいいんじゃないかって・・・」
「何でそんな事考えた!」
「だって!ケンチがやっぱり帰りたいって言ったとき、苦しいもん!これ以上好きになっちゃったら私、どうにかなっちゃうもん!!」
「ミーシャ・・・」
「だけど!霧に呑まれて目の前からケンチが居なくなっちゃった時、息が出来ない位に切なくって、淋しくって・・・やっぱりケンチがいないとイヤだって・・・」
隠していた気持ちを吐きだす口をキスで塞いだ。
「謝るのは俺の方。今まであやふやにしてて済まないと思う。心じゃ好きだって分かってるのに、ここでキミと暮らしていける覚悟が足りなかったんだ。毎日が楽しいから何となくそれでいいかなと思ってた。帰ったら幸せ?ああ!帰って来たさ!!キミの元にね!
俺の居場所!俺の住む世界はここだ!!」
「ウワアァン!ケンチ~!」
「俺の傍にずっといてくれ!!いや、一生居てくれ・・・大好きだ。ミーシャ・・・」
その口づけ幸せで溢れていた。永遠の刻が流れているような・・・と、思った。が。




