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20話 エンカウント

「ミーシャ。どうかした?」


 さっきからちょくちょく山の方を見て警戒しているようだけど、まさか何かしらの獣じゃないだろうな!?情けないことに、俺には何も見えないし何も感じないからああいう行動は不安になる。出来れば何事もなく旅をしたいんだ。


「あ~・・・ううん。なんでもな~い( ̄△ ̄)」


 明らかに何でも無くない生返事だ。ミーシャってば好戦的だから、面倒くさい事になる前にさらっと戦闘回避を促しておかなければ!!


「ミーシャはさぁ、羆じゃん?この辺じゃ最強なんじゃないの?だからもしも獣と遭遇した時にはさ「「お!?やんのかコラ!!」」ってオーラとか出さなくてもさ、見かけただけで向こうから逃げて行くんじゃないかな~??」


「ま~ね~♪・・・そうね、勝てないのはオスの羆くらいかな??もっとも、普段私らは距離を置いて会わないようにしてるから発情期でも無い限りはダイジョブ( ´艸`)」


「無い限りって・・・今は違うの??」


「もう秋も近いからね~。()()位の頃に()()()()って感じかな!?プふっ♪しよっかだって( ̄ー+ ̄)」


「・・・そだね」


「まー、獣人だって獣だって命は惜しいかんね~!四六時中バトッてる訳じゃないのよ!?」


「・・・そうかな・・・「「おらワクワクすっぞ!!」」的な何処ぞの野菜惑星人かと思ってたんだけど?」


「・・・ん??ワカンナイけど、ソイツつぇぇのか?なんでね(*ゝω・*)ノもうちょっと休んだら一気に越えちゃおっか??私も熊のまんまだと気配で危ないからヒト型になっ・・・」


 横へ来てヒト型に戻ろうとした時「がさっ」と何者かの気配が。


「あ”あ”っ?(゜Д゜)」


 ミーシャがそちらの方に向かって物凄い殺気を放つ。未だに慣れないしマジでオッカナイ・・・“気”で吹っ飛ぶかと思った位だ!!


「じぃ~・・・-_-#」


「何かいるの??や・・・ヤバそうなヤツ?」


「どうだろ?あんまいい感じはしないかな?・・・実はさっきからずっと遠巻きについて来てて気にはしてたんだよね。けど、今のはちょっと近いなー(゜Д゜)」


「コッチに来るのか??」


 ものすごい不安に駆られてそっと水筒を取り出して川の水を汲み入れる。逃げる準備はしておかないとな。


「・・・私らの方が風上だから匂いじゃワカンナイ。けど、最悪は考えてね」


 汗が頬を伝う。ピリピリとする静けさはサラサラと流れる瀬の音すら、いや、まるで森そのものがミーシャに慄き息を殺しているかのようにすら感じる。


「・・・ハックション(*≧ω≦)」


「だあっっ!!・・・びっ!びっくりしたな!もう!!」


「いゃあ~、ゴメンチョヾ(≧∇≦)どっか行ったな~、って思ったら急に鼻がムズムズしちゃってさ(*ゝω・*)ノてへっ♪」


「お、お気楽な・・・。コッチは口から心臓飛び出る位にびっくりしたよ!!」


「えっ!?ヒトって口から心臓出せるの??ひくわ~(||゜Д゜)」


「出せません!ものの例えです!ってかさ、もう居ないの?大丈夫なの??油断させといて急に襲い掛かってくる!とか無い?もしそうならどうするつもり?」


「ン~?闘うよ?そしたらお魚じゃ無くてもよくなるかもね(ゝω∂)」


「えと・・・それってつまり・・・」


「イエ~ス♪自然の摂理なり~!最近お肉食べて無いからむしろ飛んで火に入るなんとやらだねっ(≧∇≦)b・・・じゃない!!戻って来た!近い!!」


「えっ!えっ!?」


「ヤバイっっ!!ケンチ背中に乗って!早くヾ(・ω・`;)ノ!!」


 咄嗟に躰が動く。サッとミーシャに跳び乗った瞬間


    ドッ、ボ~~ン!!


 何か大きなこげ茶の塊が上流の淵に飛び込み水柱が立つ。


「・・・ヤバッ!オスの羆だ!!サイアク!!面倒くさいから逃げる!!o(・ω・;)」


 上体を起こし両腕を目一杯広げて威嚇の咆哮をあげた羆は、彼女よりもだいぶ大きく肩の辺りの筋肉が半端ない!!


  ざばざばざば~~っ!!


 水しぶきを上げながら物凄い勢いで向かってくるオスは、ヒトならば苔などに足を取られてしまうようなチャラ瀬をものともせずに突き進んでくる。全力で逃げるミーシャとの距離が徐々に詰まってきてるのが気配で分かる。恐る恐る振り向くと確実に目と目が合ったと判る所まで迫っていた。


「ヒィ!!に・・・逃げ切れるのか!?ミーシャ!!」


「ワカンナイ!!アレ、私達みたいな獣人じゃないっぽいから話通じないと思う!!ん!?・・・えっ!?この匂い!!ウソでしょ?・・・もし追い付かれたらケンチだけ逃げて!!アイツの狙いは私!!・・・私がメスだから!!」


「メッ・・・今って繁殖期じゃないよな!?」


「だいぶ遅いよ!!きっと私がカワイイからガマンできなかったらんじゃない!?・・・(〃'▽'〃)ちらっ」


 俺の顔色伺うなんてそんな余裕ある・・・わけは無かった。ミーシャの顔色があからさまに変わったのを見て追いつかれた事を悟る。オス熊はここで俺もろとも叩き伏せようと走りながら右手を大きく振りかぶり攻撃を仕掛けて来た!!


「っっと!!ハハッ。ざ~んねん(*ゝω・*)ノ」


 ミーシャは左に急旋回して攻撃を躱すとそのまま逆走してオスとの距離を稼いだ。が、オスも直ぐに反応して力強く駆けり、あっと言う間にまた詰められてしまった。


「や・・・ヤバイね、アイツ!!今おちょくられたから匂いが強くなってる!!「「ゼッテェ~ブチ込んでやる!!」」って感じ!?キモいキモいキモい絶対にヤダっっ(*≧Δ≦)」


 記憶が無くなり獣化してるとはいえ、元は人間だものな・・・獣とおせっせなんて本能で拒否するってもんだ!


「だけど・・・ハァハァ・・・そろそろムリ!体力的に絶対に追いつかれちゃう・・・!もう、ダメかな!!私オスに捕まるよ!!時間を稼ぐから・・・そしたら直ぐに逃げてね・・・そんで後ろ向かないで・・・ハァハァ・・・私の方を見ないでね!その代わりに、ケンチは絶対に逃がすから・・・はぁ(*`Д´*)はぁ」


 息が上がって背中全体で大きく呼吸している・・・。確かに捕まるのは時間の問題みたいだが女の子を犠牲に俺が助かるなんて選択肢は絶対に無い!むしろ俺が犠牲になりたい所だが、()からしてみれば羽虫のごとくで何の役にも立たないだろう。

 俺に出来る事・・・・俺に出来る事は・・・。

 ある!!・・・あるじゃないか!!


「ミーシャ!川から上がって河川敷を走ってくれ!!俺に考えがある!!」


「ダメっっ!!ケンチは絶対に逃がすの(*≧Δ≦)」


「いいから任せろ!俺を信じろ!!」


「(゜o゜;)・・・分かった!任せる!!」


 小砂利を弾き飛ばしながら河川敷をミーシャが駆けるとそれに追従してオスの熊も川から上がってきた。


「今だ!喰らえ!!大型鱒連続召喚!!俺のミーシャに!・・・手を出すな!!」


「えっ!?俺の?(〃'ω'〃)」


 ミーシャの背中に乗ったまま右手から陸に魚を召喚!!ビチビチバタバタと水を求め魚達が跳ね踊る!流石に10匹程度の旨そうな魚の前にはミーシャにまっしぐらだったオス熊も立ち止まらざるを得なかったようだ。そのうちの一匹を前足で押さえつけるとその場でムシャムシャと食べ始めた。


「やった!!上手くいった!!ミーシャ!このまま境界の川を越え風下へ!縄張り越えは危険なんだろうけど、それは向こうも一緒だろ!?今は目の前の危機をやり過ごす事が先決だ!」


「は・・・はい♡(っ´ω`c)」


 川を越え膝位の丈の藪を突き進み山中に潜る。ミーシャが()()の気配を感じない所まで逃げそこでやっと走るのを止めた。こちらが感じないということは向こうもこちらが分からないだろうし、何よりこちらは風下だから匂いでの追跡も厳しいはずだ。


「どう?追って来ないか?」


「・・・うん。・・・大丈夫!追って来てないみたい(*'▽'*)」


「はぁ~・・・そっか~!良かった~!」


 安堵とともに物凄い疲労感を感じてミーシャの背中に突っ伏した。


「大型限定の連続召喚なんて試した事が無かったけど、上手くいって良かった~!!必死になれば何とかなるもんだぜ!ってか、自信あったし!!」


「あの・・・私の為にありがとう(〃ω〃)ケンチが居なかったらきっと私今頃・・・ホントにありがとう!だ・・・ダーリン(〃ω〃)」


「なんか右手に違和感あるなぁ・・・ん?ダーウィン??ダーウィンなんてよく知ってるね!ああ、エンフェイんとこでかな!?獣人もギフトも進化の果てなのかねぇ~。俺には難しくてよく分からないけどさ!」


「何ゆってるのか分からないけど、私の為にありがとうってゆったの!!「「俺の!!」」って私うれしくって・・・( ´艸`)」


「ありがとうだなんていいって!いやぁ~良かった良かった!!男としてファミリーを守れた!って感じだね!!」


「ファミリー??いや、そうじゃなくってさっきケンチ「俺の!!」って・・・」


「おう!みんな大事な俺の家族だぜ!!」


「かっ、家族(゜o゜;)・・・ムカッ(●`ε´●)」


 キキ~ッ!!


「うわぁ~~!?」


 ガサササッ


 ミーシャが急に止まるものだから背中から放り投げ出されて草むらに落っこちてしまった。


「痛ってててっ・・・なに?ミーシャ!?いきなり止まらないで!?」


「熊のままだとね~気配ダダ洩れなんでぇ~よけい見つかっちゃうからヒト型に戻るわ~( ̄○ ̄)」


「へっ!?まだなんか居るの?」


「居ないけど~。ケンチ重いし~( ̄△ ̄)」


「あ、ごっ・・・ゴメン・・・あり??なんか機嫌悪い??・・・怪我かなんかしちゃった!?大丈夫??」


「べ・つ・に-_-#」


 なんだか分からないけどやっぱり機嫌悪い・・・あ!そうか!!ミーシャもホントは怖かったんだな?あ~見えても女の子だもんね・・・そうかそうか、うんうん。


「お嬢様・・・ヒト型に戻られる前に背中などお掻き致しましょう。さぞやお疲れでしょうから」


 肩甲骨に沿って背中をマッサージするように掻いてあげる。


「フンだ!なにが「「お嬢様・・・」」だっ(๑・౩・๑)べつに・・・気持ちよくなんか・・・あぁ(〃´ρ`)。o ○」


 よかった~、機嫌が戻ったみたいだ。コロンもこの手口でイチコロだったし♪


「ん?・・・んん~!?俺の右腕・・・こんなに産毛濃かったっけか?・・・いや、こんなもんだったかな・・・」


 きっと気のせいだろう。まじまじと特に自分の腕なんて見ないし。さて!ミーシャのご機嫌が戻ったら出発するとしよう!!

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