魔物の街 72
「知力82か。使えますねえ」
「当然でしょ……って!武力72?ちょっと!西君!」
今度はアイシャが要に締め上げられていた首を抜いてようやく落ち着いた西を悲しげという言葉を超越した視線で見つめる。西はただ愛想笑いを浮かべながらデータを検索する島田を見つめていた。
「ああ、ベルガー大尉ですか。知力75、武力88」
「おい、西。なんで西園寺より私の能力が劣るんだ?」
西はカウラの言葉に今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。
「おい、島田。アタシのはあるか?」
そして先ほどまで部下達の様子を黙ってみていたランまでもが声をかける。
「ちょっと待ってくださいよ……クラウゼ中佐っと」
楽しげに検索する島田。完全にうつむいて動かなくなった西。
「知力83、武力96か。順当かな?」
「じゃあ私はどのようになっておりますの?」
今度は茜が顔を出す。島田は言われるままに検索を続ける。
「この前の撮影会の写真を使ったのか」
近くの豊川八幡宮の時代行列に参加するために嵯峨の私物の鎧兜の試着をしたことを誠は思い出していた。
「でもこの時代じゃ変じゃないのか?あれは源平合戦の時期の大鎧だぞ。まあアイシャは当世具足だからこの時代の設定でも良いかもしれないけどさ」
「こだわるわねえ。でも要ちゃんの写真良いじゃない」
ステータス値の出ている画面には必ず武将の顔が写っているが、そこの写真はすべて先日の鎧兜の試着の写真が使われていた。
「おい!誠!」
データを検索していた島田が誠の肩を掴んだ。気がついて誠もそこに映る自分の能力値を見てみた。
「知力63、武力58」
「馬鹿だな、そっちじゃなくて妻の欄見てみろよ!」
島田は誠の首を抱えて画面に近づける。そこには正妻が要、側室にアイシャとカウラの名前が並んでいた。
「良かったな!モテモテじゃん」
笑顔の島田とサラ。だが隣で明らかに殺気を帯びている二人を見て誠は後ずさる。
「神前。お前って奴は……」
「ひどい!私とは遊びだったのね!」
カウラとアイシャの殺気が部屋に充満する。
「いい身分だな。遼南皇帝にでもなれるんじゃないか?」
そう言いながら島田からコントローラーを取り上げて検索を続ける要。味方は誰もいないと気づいた誠はさらに後ろに下がりついに壁際に追い立てられる。
「オメー等馬鹿か?これは西の設定だろ?」
「西きゅんがこう見てるって事は整備の隊員が同じ事を考えているって事でしょ?」
「そうだな」
ランの説得もむなしく怒れる二人は壁際に追い詰められた誠を威嚇していた。




